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斜里 → 弟子屈 ( てしかが )


  ■ 7月14日 (火) つづき

  昨日凍死しそうになったかと思えば、
  今日は汗ばむほどの陽気である。

  久しく感じることのできなかった陽の光。
  ああ、なんか、植物にでもなった気分だ。

  早めに寝床を探し、
  湿りきった荷物を乾かそうと心に誓う。

     ミ☆

  斜里から南下、ほぼ南南西方向ではあるが、
  屈斜路湖へ向かったと書いてしまった方がよほど判りやすい。

  左手に斜里岳の威容をのぞみつつ、
  乾いた、だだっ広い土地が広がる、
  いかにも北海道っぽい風景。

  いや、これはあまり正しい認識ではないだろう。
  観光旅行関係のパンフなどでお馴染みの風景、か。

  北海道らしい風景、代表的な風景……って、どんなだ?
  目を瞑れば幾百もの像が脳裏を駆け巡りはするが。

  試しに北海道経験のない知人の携帯を鳴らしてみたら、
  彼の場合、札幌の時計台がそれにあたるそうだ。
  写真でしか見たことがないと言う。

  苦笑するしかない。

  それなりに有名な話ではあるが、
  あれは、それこそビルの谷間に生えているような建物で、
  それらが写らないようにするには、
  ある限られた角度でシャッターを切るしかない。

  写真の中の時計台は、
  みな同じ方向を向かされてしまっているのだ。

  もひとつ因みに。

  会社の中国人技術者の皆さんは青森と知床が大好きである。
  津軽海峡冬景色、知床旅情。

  そーゆーこと。

     ミ★

  地図を見ると、野上峠という、
  こじんまりとした峠が目に入った。

  標高285m。等高線も見る。
  勢いで上れちゃうかな、って感じ。

  が。

  どうしたことか、上りに入る前に体力が尽きてしまった。
  うまい具合にチェーン着脱用のスペースがあったので、
  ピットイン〜、などと呟きつつ、停車。

  軽く筋肉をほぐし、現在時刻を確認し、休憩。

  路肩に座ってぼーっとする。
  たまに車が通る以外は、不思議と音というものを感じなかった。
  ほんの5分くらいだったと思うが、呑気にも睡魔と戯れた。

     ミ☆

  峠を越えると、硫黄岳。
  その影響なのだろう、植物の宝庫北海道としては、
  妙に殺伐とした、灰色っぽい景色。

  日没まではまだかなりあったが、
  どうも知床の疲れが抜けきっていないようなので、
  変な冒険はせず無難なルートを選ぶ。

  川湯温泉のホテル群をすり抜け、
  屈斜路湖畔のキャンプ場へ向かう。

  砂湯キャンプ場。

  前回もここで1泊しているので、
  勝手も分かり、安心して目的地として設定できる。

  潰れてるってことは……ないよな。

     ミ★

  と、小学生の群。
  あちゃー、てな感じである。

  まぁ、気持ちは分かるつもりだけど、ね。
  出来るだけ遠く離れた場所にテントを張る。

     ミ☆

  砂湯温泉。

  湖畔の砂を掘ると温水が沸き出すので、
  湖水と混ぜて水温を調整すれば立派に風呂になる。
  あまり入ってる人は見たことないが。

  財布以外の荷物をほったらかしにして、
  キャンプ場周辺をぶらついてみる。

  以前来た時と比べると、
  駐車場が整備されて売店が増えた程度だが、
  じんわりと観光地化が進んでいるようだ。

  波打ち際でぼーっとしてると日が沈みそうになったので、
  慌てて売店へ走り、観光地価格缶ビールを買う。
  サッポロ・クラシック。

  肴は良かったのだが、冷え方が不十分で、イマイチ。

     ミ★

  キャンプファイヤーが始まる。

  火の粉が飛んでこないことを祈りつつ、
  再び波打ち際でぼーっとする。

  今度は非常燃料のウィスキーを舐めながら。
  コンビニで買った余市である。

  もっとも、今住んでいるアパートから徒歩1分のコンビニにも、
  全く同じものが売っていたりもする。

  とまれ、今日は随分とぼーっとしている。
  ま、たまには、ね。

つづく     


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