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とらつぐみ


  営団地下鉄有楽町線和光市駅。
  東武東上線和光市駅。
  くっついてる。うちの最寄り駅である。

  最近は有楽町線で通勤しているのだが、
  和光市はこの路線の一応の終点であるので、
  ざっと半分くらいは始発電車となる。

  残り半分は東武東上線から流れてきて、
  和光市駅から有楽町線へ連絡している。
  逆に、反対方面は和光市から東武東上線に。

  始発駅の利点は言うまでもなく100%に近い着席率であるが、
  その為には、10分前後であろうか、
  ぼ〜っと他の電車をやりすごさねばならない。

  また、混み具合によっては、
  次の次の始発を待つために20分くらい待つこともある。

  電車に乗っている時間は40分くらいなので、
  ここまで来ると本末転倒ぎみではあるが、まぁ、勢いってヤツ。

     # 時間がない時ゃ立って行くけどね

  文庫本を片手に、待つ。ひたすら待つ。

  さてこの状態、端から見てみると、
  座ることを目的とした一種の拘束状態、てな具合である。

     ミ★

  ホームにペイントされた乗車口のガイドの上には、
  次、その次、その更に次の電車を待って、
  お行儀の良い2列縦隊が幾筋も並んでいる。

  見た感じ、ドアの位置による偏りというのは殆ど無い。

  両端は空きそうなものだが、
  地下鉄の駅は出口があっちゃこっちゃにあり、また、
  ドアが1つや2つずれた所で大した問題ではないので、
  結果的に、うまい具合に分散している。

  因みに私は時間に余裕があるなら先頭車両を目指す。
  乗り換えの都合を考えて。

     ミ☆

  仮に10両編成で各車両にドアが4つ ( 片面だよ ) とする。

  だいたい次の始発待ちの行列では2×8人くらいである。
  これだと1車両あたりのイスの数では収まりきらないので、
  列の最後の方は競争となる、というのはともかく。

    10x4x16 = 640人。

  次の次を待つ行列もある。
  こちらは若干少なめになるので、とりあえず10人とすると、

    10x4x10 = 400人。

  更には、
  直通電車 ( これはまず座れない ) に乗る人のたまり場もある。
  これは列を成さないことが多いので、4人としてみる。

    10x4x4 = 160人。

  合計で1200人。

     ミ★

  これは有楽町線の上り方面ホームの数字である。

  他に東武東上線も走っているので、
  上り下りでホームは4本 ( 両面x2本 )

  上の1200人がダントツで密度が高いので、
  朝の通勤時間帯の、ある任意の時点で和光市駅にいる人間は、
  ごくごく大雑把に2000人てところだろうか。

  カウンタ片手に数えたわけではないが、
  きっとこのくらいの数字だと思われる。

     ミ☆

  さて。

  それは月に1回有るか無いか、
  それとも3ヶ月に2回くらいのペースなのか。

  その2000人が黙然と、
  数分後に電車が進入してくるであろう空間を睨んでいる目の前に。

  さすがに右翼の街宣車よりはボリュームは低めの様だが、
  それでも十二分に大きな、アンプで盛大に増幅された声で、
  好き勝手なことをしゃべりまくるバカがやってくる。

  良く澄んだ女性の声。
  その発音の美しさは日本語のお手本と言ってよいほどだが、
  内容はともかくとしても、それが騒音公害に分類されることは間違いない。

     ミ★

  政治家の宣伝。

  スピーカは無造作に駅のホームへ向けられている。
  こちらの状態は十分承知の上でと考えるのが自然だろう。

  BGMが入っていないのが不幸中の幸い、か。

  こーゆー輩を政治家と呼ぶのは余りにも差し障りがある。

  田中芳樹が良く使う言葉を借りるなら、
  政治屋とか政治業社とか、その類い。

  いや、少しベクトルが違うな。
  広告系の政治業社、ってところか。

     ミ☆

  石でも投げてやろうか?

  ホームに居並ぶ人たちの、ふむ、
  10人に9人はそう思っているに違いない。

  9割なら1800人だ。
  数だけなら関ヶ原の島津勢よりも多い。

     # なんだそりゃ

  因みにヤツは自民党の人間である。

  この町にいる限り、
  自民党に投票することはないだろう。

     ミ★

  帰宅して郵便受けにを開くと、
  民主党の衆議院議員の名前の入った「 討議資料 」。

  A4の紙を三つ折り、
  微かに緑っぽいクリーム色のかかった紙にモノクロ印刷。
  コストは抑えられているようだ。これは悪くない。

  開くと、A4の見開きに、
  「 今、霞ヶ関が一番恐れる上田きよし代議士は何を変えたか!! 」
  として、4つほど実績らしきものが並んでいる。

  参考までに見出し部分を引用してみる。

    ・ 特殊法人改革を実現 97.12
    ・ ODA ( 政府開発援助 ) の見直しへ
    ・ たった1人の勇気が日銀を変えた ’98.4予算委員会
    ・ ぺーパーカンパニーのいいかげんさを厳しく追求
      「 公的資金投入の基準の適正化へ 」 ’99.3予算委員会

  で、本文を読んでみる。

  「 ふーん 」てな感じ。

  会社の書類なら、修正で真っ赤になっているか、
  端折って「 振り出しに戻る 」とでも書いて突っ返す所だ。

     ミ☆

  全く自慢にはならないし、
  それどころか恥ずべき事なのだろうが、
  私は政治についてはかなり疎い。

  ので、内容については、こんなもんなのかな?
  という程度の印象で立ち止まらざるを得ないし、また、
  話の裏 ( あればの話だが ) を読むほどの力も微々たるもの。

  ま、それはそれとしても。

  さてはて、あんたはなんなのさ?
  などと呟きつつページをめくると、

    「 政治は何をしなければならないか 」

  とある。

  ふむ……。

     ミ★

  文章は、お世辞にも上手とは言えない。
  因みにレイアウトも御同様。

  ざっと数えてみたら、
  30桁x14行で、400字詰め原稿用紙1枚ちょい。
  文字数だけならちょっと短かめの受験用小論文てところだ。

  3回くらい読み直してみたが、やはり下手だ。
  文句なしに、問答無用に下手くそだ。

  偉そうなことを言ってしまうが、
  高校生でももう少しマシな文章を書けるだろう。

  そして致命的なことに ―― もちろんこれが一番大切なのだが、
  何を言いたいのかがサッパリ伝わってこない。

  論旨はとりあえず読み取れる。
  が、文章に力が無い、魂が入っていない。

  「 政治をタックスイーター ( 税金を食べる人 ) の政治から
    タックスペイヤー ( 税金を納める人 ) の政治に転換して
    こそ21世紀の日本の未来があります。」

  だそうだ。
  リンカーンの演説は何年前だったろうか。

     ミ☆

  まぁそれはそれで良いのかもしれないが、

  で?

  なのだ。

  あんたは何をしたい?
  何を考えている?
  いま、何をしている?

  疑問符を大量に飛ばしながらページをめくると、

    「 上田きよしプロフィール 」

  ときたもんだ。

  隣で羽田さんが演説してたって、
  ブッシュ前大統領と握手してたって、
  土屋県知事と握手してたって ( って、誰だ? )
  ニュージーランドのボルジャー前首相と握手してたって ( む、知らん )
  「 ミッキー安川のズバリ勝負 」にラジオ出演してたって ( はぃ? )
  別に構いやしないけど、さ。

  違うだろ?

  おまえは政治家になりたいんだろう?
  もしくは、政治家のつもりなんだろう?

  何のために資料ばらまいてんのさ?

     ミ★

  改めて表紙 ( にあたるページ ) を眺めてみる。
  民主党のロゴの下には、

    「 てきとうにやれない いいかげんにできない 」

  と。

  まるで、ヌエだ。

  いや、つーか、
  辞書引いて出直してこいよ。


     # 件の資料にはボイルジャーとありましたが、ボルジャーだそうです。
       指摘は藤ノ宮千歳様☆ ほんで、土屋ってのは埼玉の知事でした(汗)


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