別海 → 知床
■ 7月10日 (金)
海風に抗いつつテントから這い出てみると、
空は、いまにも泣き出しそうな表情。
いや、そのどんよりどよどよ具合は、
不機嫌に押し黙った警備員室のジジイに通じるものがある ( 意味不明 )
閑話休題、寒い。
随分と気温が低い。
管理棟へ行ってみると、
みな口々に寒い寒いと言っている。
雑談を30分ばかし。
どうやら天気はもちそうなので、出発。
ミ★
根室海峡の向こうに国後島がある筈なのだが、
曇天、怪しげな雲、サッパリ見えやしない。
天候の神様を呪いながら黙々とペダルを回していると、
いつの間にやら標津 ( しべつ ) の町に到着。
手持ちの小瓶ウィスキーだけでは不安だったので、
いつもの牛乳の代わりにワインを買う、小さいヤツ。
と、雨。
防寒装備はあまり持参しなかったので少々不安。
ビニール袋をフトコロに突っ込んで風よけにする。
またブツブツ言いながら北上する。
目指すは知床 ( しれとこ ) 、知床旅情でお馴染みの半島である。
ミ☆
呪いの文句が効いたのか、
雨は上がり、路面はドライに。
が、空の様子や、時たま擦れ違う対向車を観察するに、
この先は再び雨になる可能性が非常に高い。
知床は明日にして……などと思って地図を眺めるが、
期待できそうな町は無いに等しい。
地名が書いてるような場所に差しかかっても、
集落? というような風景ばかり。
空はいよいよ低い。
ミ★
コンビニ発見。
随分とひもじい思いがつのっていたので、
思わずコンビニ弁当を買ってしまう。
寒いでしょー、とは店員さんの言葉。
寒いっすよー、とは私の返事。
弁当を温めてもらいながら、外じゃ寒いだろうから、と、
倉庫の隅のテーブルを指差す店員さん。
ありがたや。
しょうが焼き弁当、値段忘却 ( そりゃそうだ ) 。
しょうが焼きといったら普通は豚肉である。
が、見た目は明らかに牛肉でも鶏肉でもない。
で、食感は、これって豚肉……じゃないよな?
原材料表示にはなぜか表記が無い。
謎は深まるばかり。
ミ☆
礼を言って外に出ると、雨。
羅臼の町までは約15km。
日没までは2時間ほど。
見渡すと、道路の他は何も無い。
BGMは砕け散る波。
遠くで海鳥がにゃーにゃーいっている。
行くっきゃないんだろうなぁ。
ウィスキーを一口含む。
北の果ての雨粒が肩を叩く。
ミ★
5分ほどでザーザーに。
どこぞの超絶美形主人公のオリジナルスペルではない (謎)
# いまだに暗記してたりして
ずぶ濡れで羅臼の町に突入すると、
お馴染みセイコーマートの看板を発見。
吸い寄せられるように軒下へ。
と、ひと目でチャリダーと判る、
きったないナリの3人組を発見。
挨拶&情報交換。
聞くとキャンプ場はすぐそこだという。
ただし、上りがあるけどね、だそうだ。
先導してもらってキャンプ場へ。
ミ☆
知床国立羅臼 ( らうす ) 温泉野営場。
道路を渡って徒歩数分の場所に熊の湯、露天風呂である。
どちらも無料で利用できるので、
結果、やけに長期間滞在者の多いキャンプ場となっている。
羅臼岳攻略や知床観光のベースキャンプにするのも良いし、
湯治をしつつキャンプ場の雰囲気を楽しむのも良いだろう。
と言っても、キャンプ場自体はそれほど広いわけではなく、
見渡すと色とりどりのテントやフライが密集して雨に濡れている。
運がいい。
目の前でおっさんがテントを片付け始めた。
喋りながらスペースをキープ、すかさず荷物を置いて占領。
小降りを幸い、一気に設営を完了する。
ミ★
用事をすませてテントに入り、ぐんにゃりと寝転がってみると、
気が抜けたのか、道々摂取してきたアルコールが効いてきた。
寒かったので風呂に入っておきたかったのだが、
こんな状態では下手をすれば命にかかわる。
体のほうも動きたくないと言うので、
素直にシュラフに潜り込み、目を閉じた。
つづく