1999年の夏休み 中編
正丸峠に到着。
さらに階段を登れば旧正丸峠があるとのことだが、
あっそ、てな感じの消耗具合だったので、パス。
傍らには、時の流れの虚しさを感じさせるドライブイン風の店。
江戸か明治の頃から細々と……なら良いのだが、
70年代頃に建てられたと思われる、
古めの、コンクリートの、風情のかけらもないデザイン。
どーにも好感が持てなかったので通り過ぎる。
しばらく遠くに霞む関東平野を眺めていたのだが、
それほどの眺望では無かったので飽きてしまった。
写真を撮るほどの景色でもなかった。
体力はサッパリ回復しなかったが、
予定の数倍をこの峠で消費してしまったので、
とにかく先を急ぐことにした。
ミ☆
憂鬱である。
もちろん、下りであるから勝手に前に進んでくれるし、
ダウンヒルってのは基本的に楽しい。
のだ、が。
まず心配なのは路面である。
上りと同様だとすると、散在する落石、
ドライとウェットの混在、それにリバー ( とは言わんか? ) 。
先日の雨の影響か、いきなり川になっているのだ。
更には精神状態。
集中力は明らかに散漫気味で、
注意力思考力その他諸々、随分と低下しているはずだ。
それに筋肉もイマイチ不機嫌だったので、
果たして無事に下りきれるのだろうか?
ミ★
越えた川は3つ。
落石は2ヵ所。
ライン取りミスって対向車線にはみ出ること数回。
# 車線なんて無いけどね
因みに、コーナリングの基本はアウトインアウトである。
スピード面ならスローインファーストアウトなんてのもある。
スタックはラストインファーストアウト、
キューはファーストインファーストアウト。
ファーストへのインフィールドフライでアウト、
というのは野球 ( ちと苦しい ) 。
とまれ、無難に下りきった。
県道53号とやらに乗り、秩父市街へ向かう。
ミ☆
正丸トンネルの出口付近で肉球国道に再会する。
結構急な下り坂が続いた。
自動車の制限速度を越えない程度で距離を稼ぐ。
ところで、車道を走るのは、恐い。
特に土木関係の大型車が頻繁に通るような道は。
路肩が砂利だらけになる。
3〜4cm級がゴロゴロしている。
砂だらけもタチが悪い。
前輪でも後輪でも構わない。
乗り上げて、滑って、バランスを崩したら、こける。
右側に倒れたとする。
と、踏みつぶして下さいと言わんばかりの位置に、
そう、首から上が移動することになる。
試したことはないが、原付程度の質量&速度でも、
まぁ、脳漿が飛び散るか、それとも関節が増えるか。
うまい具合に踏み潰されれば、
手持ちぶさたのデュラハンの出来上がりである ( なにそれ? )
左側でも段差というものがある。
あれは、痛い。
肩からならまだ良いが、
頭や首から行ったら、まぁ、大変なことになるだろう。
交通弱者は、確かに弱いのだ。
ミ★
秩父の街は、特筆無し。
強いて言えば、
コンビニであぐら読みしていた小学生が印象的であった。
お子様が3人、床に座ってマンガを読んでいたのだ。
ついでに書くと、
そのコンビニにいた数人の中学生&高校生、
救い難いほどの脳ミソ密度であった。
それとも、あーゆーのが流行ってるのだろうか。
ま、いいけどね。
そうそう、
西武秩父駅から国道140号にぶつかるところの信号。
いっじょ〜〜なまでに長かった。なんとかしてくれぃ。
ミ☆
平均斜度1〜2%の道を10kmほど走って、
何度目かの「 もう駄目だ、足、うごかね〜 」。
地図を引っ張り出すと、うまい具合に道の駅がある。
余力を振り絞って道の駅・荒川村へピットイン。
かろりぃほきぅ〜、
などと上の空で呟きながら自販機へ向かって漂う。
と、何の因果か陰謀か、売り切れの嵐。
選択肢は350ml麦茶か500mlコカ・コーラ。
たまには、って感じでコーラを買う。
日陰にベンチを発見。
何の木かは判らないが、それを1本まるまる使ったベンチで、
長さは15mくらいあったろうか。
が、悪くはないが、良いともいえない。
モノは良いのだが、場所が悪い。
何が悲しゅうて隣家の金網を眺めながら旅の疲れを癒さねばならぬ?
腕時計とはあまり相談せず、
まばらな人影を幸い、ベンチの上に寝転がる。
が、5分ほどして人の気配、
1m程離れた場所に座った模様。
微かな衣擦れ、紙を弾く音、
ライターの擦過音、長めの呼吸音。
呼吸を止めたまま起き上がり、
傍らの地図とコーラの空き缶をひっつかんで足早に立ち去る。
気分悪い。
つづく