<BACK> <HOME>

秋分の日


  カレンダーの数字は赤く染め抜かれてはいるが、
  それは即座に「 休日出勤 」と解釈された。

  が。

  カレンダー通りになってしまった。
  まぁ、土曜日は「 出 」になるかもしれないが。

  そんなわけで、
  目覚まし時計をOFFにして平和に就寝……な訳がなく、
  雑誌のコラムを眺めていたらいつの間にか朝になっていた。

  照明はそのまま、アンプもそのまま、
  カーテンは半開きで窓はフルオープン、
  フローリングの上に転がっていた。
  BGMは「 交響組曲宇宙戦艦ヤマト 」だった。

  時計を見ると、7時。
  自然に目が覚めたわけではない。
  携帯電話のアラームを切り忘れたのだ。

  二度寝に突入したことは言うまでもない。

  ところで。

  先日、午前1時頃だろうか、
  珍しく日が変わる前に消灯した日のこと。

  突然、

    ガタガタガタガタガタガタガタガタッ

  と、ラップ音。

  ……じゃなくて、
  携帯電話のバイブレーション。

  結構、恐い。

     ミ★

  前日の予報では、台風の影響で雨。

  の、はずが、快晴。

  気温はボチボチ、湿度は低め。
  ぽこぽこと雲が漂う良い天気。

  カーテンと窓を開けて風の通り道を作り、換気。
  両目とも0.1以下の視力でボヤけた空を眺める。
  これは……なにかしないとバチが当たるな。

  とりあえず三度寝に突入する。

     ミ☆

  着替えて、文庫本をポケットに突っ込んで、駅へ。

  どの路線を使おうかしばし迷ったが、
  有楽町線、市ヶ谷で総武線に乗換えることにする。
  目的地は秋葉原、いつものことである。

  ホームでの待ち時間、電車の中での時間、
  ともに殆ど記憶にない。
  ひたすら本を読んでいた。

  隆慶一郎著「 死ぬここと見つけたり 上巻 」。

  多分3度目、もしかしたら4度目。
  まだでない人は本屋に走るべし。

     ミ★

  市ヶ谷で乗換え。
  通勤ルートと同じなので、
  乗換えのタイミングは身体が覚えている。

  エスカレータの右側を歩く。

  左へ曲がると都営新宿線、
  右へ曲がるとJR総武線。

  右へ。

  階段を昇って地上のホームに出る。

  と、思わず、
  空の蒼色と、そして空気の軽さに心を奪われた。

  電車を1本やり過ごし、
  文庫本をぶら下げたまま空を眺めていた。


<BACK> <HOME>