妖怪みんな
現在進行形のプロジェクトのメンバーは、
10人のうち実に8人が在日中国人で、残り2人は日本人。
因みに私はその2人の片方、念のため。
プロジェクトリーダも中国の人で、
来日して確か5年くらいだと言っていたが、
日本語はかなりのレベルに達していて、下手をすれば、
その辺の大学生なんかよりもよほど正しい日本語を操る。
日本人よりも文法に詳しいというのは良くあることだが、
技術用語や、普段はあまりお目にかからない学術的な単語にも、
日本的な曖昧な言い回しなどにも通じる、かなり優秀な人。
欠点もある。
その1つ。
希にだが、とても詰まらない言い訳をすることがある。
なんで○○が□□□なんですか?!
知らないよ!
んじゃなんで□□□?!
みんなやってるじゃないか!
みんなって、誰です!
ミ★
彼の弾劾が目的ではありません。
この「 みんな 」ってのは日本特有の概念かと思っていたのですが、
よく考えてみれば、根拠がないことオビタダシイ。
中国にも存在するのか、それとも、
こちらで身につけてしまったのかは確認してません。
狩猟採集民族よりも農耕民族で育まれそう気もします。
とはいえ、いかんせんデータ不足。
まぁ、便利な言葉ではあります。
ミ☆
昨日、浄水器のセールスマンが来ました。
水道水の検査に来たと言ったので、
最初はお役所の人かと思いましたが、さにあらず。
コップに水道水を入れて試薬を数滴。
残留塩素とやらに反応して、色が変わりました。
で、化学的な説明を素人のフリをして聞いていると、
今なら本体と設置の費用はいらないから、
浄水器を取りつけたらどうか、とのころ。
この時点では、まだ役所の人かと思っていたので、
タダなら良いや、それにしても、
最近の行政サービスは気が利いてるね、などと独りごつ。
# 甘すぎる
ああ、これなら冷蔵庫の横に設置すれば良いですね〜
なるほど、と頷く私の隣で、
彼はついに本題に入った。
1日あたりジュース1本くらいの費用がかかりますが……
ん?
1日140円ですね、固定です。何リットル使っても140円で……
って、月あたり4200円くらいですよねぇ
私が1日に、体内に取り込む水道水の量なんてタカが知れている。
飲む、米をとぐ、茶を飲む、カップラーメンを作る。
紅茶の味が変わるかも、というのはそれなりに魅力的だが、
それで4200円は高い。
使用量を考えると、ミネラルウォーターの方が安い。
もちろん手間はかかるが、ここでは大した問題ではない。
そもそも、現状に不満はないのだ。
その旨を伝えると、来た、必殺技が。
他の、殆どの方には、安いと言って頂いてますが……
100%がそうだとは言わないのがミソ。
というのはともかく、彼は、
みんな付けてるんだからあんたもそうしなよ、
という、なんとも不思議な理由を引っ張り出しました。
これがまた、判っていてもやっぱり効くんですわ。
0.2秒ほどふらついた後、
他人は他人、と意識のどこかが囁き、
短い攻防の後、さようなら。
ミ★
1週間前に来た布団のクリーニング屋も同じこと言ってました。
みんなやってるよ、と。
テレビでもたまに耳にします。
みんなやってるじゃん。
最近は「 みんなって誰さ? 」と聞き返すことにしています。
たいていはコレで終わるのですが、理屈が好きそうなヤツには、
「 具体的に言ってみろよ 」と、つけ足すこともあります。
名前を挙げ出したら途中でさえぎってトドメ。
「 で、それが君とどーゆー関係があるのさ? 」
ほんと、みんなって誰なんでしょう?
ミ☆
数年前、ヨーロッパ帰り ( ただの観光 ) の叔母が、
イギリスの高級な紅茶とやらを買ってきてくれました。
盆か正月で帰省していた時なので、
そーゆーことにやけに詳しい兄が、
キチンとした手順で紅茶を入れてくれました。
実家の水は地下水で、
手前味噌ですが、かなり美味です。
数年前に、あろうことか、
この水源近くに産業廃棄物処理場を造るという動きがあり、
かなり騒ぎましたが、幸い、中止になってくれました。
閑話休題、そのアールグレイ。
まずいぞ。
楽しむような香りとは思えず、
味もサッパリ。
砂糖を放りこんでも、
やっぱ不味いものは不味い、駄目。
水が悪いのか入れ方が悪いのか、舌が悪いのか。
茶の間が空になるのを見はからって、
窓の外へ廃棄して、知らんぷり。
ありがたそうに飲むなよぉ、ったく。