冷蔵庫 煩悩編
それにしても。
冷蔵庫がないとゆーのは、予想以上に不便である。
もちろんこれは冷蔵庫の使用頻度に大きく依存するものであって、
たとえば年がら年中コンビニや吉野家でエサを確保するよーな人にとっては、
あまり問題にならないのかもしれない。
# 誰のことなんだろう?(汗)
たとえば牛乳。
私の生活と牛乳とは、切っても切れない関係にある。
朝食、時間が無い時に流し込むコーンフレーク類。
牛乳が無いと、ただの味気の無いスナック菓子である。
チョコ味やイチゴ味なら食べられない事は無いが、
朝からそんなことはしたくはない。
カフェオレ。
どこぞの柄の悪い王女のことではない。
# 深い意味はない
牛乳がなければ、もちろんタダのコーヒーである。
インスタントは砂糖とミルクを入れないと胃を悪くすると、
自称コーヒー通の友人が言っていたのを信じているので、
飲みたくなったら自販機まで走らねばならない。
# 走るこたないか
クリーミングパウダーは嫌いだし、
コーヒークリームもまた然りである。
それに、あれはクリーム入りのコーヒーであって、
カフェオレとは別の飲み物である。
クリームを大量に投入してエセカフェオレを作るという手もある。
が、一部のキワモノ系飲料愛好者の方々ならともかく、
間違っても他人に勧められるような代物ではない。
ミルクティー。
葉っぱの安さを誤魔化すのにも有効だが、
単純にミルクティーが好きである。
でも、どちらかというと「 紅茶っぽい牛乳 」を好むので、
とにかく、牛乳がないと困る。
その他、風呂上りの一気飲み等、その手の目的以外にも、
栄養学の見地からも、なにはともあれ、困る、困った。
ミ☆
とはいえ、無いなら無いで、どーにでもなる。
例えばキャンプ場には冷蔵庫なんてないのだ。
もっとも その代わり、
アパートの中には小川なんぞ流れてはいないが、それはともかく。
実際、牛乳だけでなく、食材にはずいぶん難儀はしたが、
無ければ無いで、要冷蔵以外でもどーにでもなるのである。
我々には文明の偉大なる加護があるのだ。
具体的には、カップラーメン、コンビニ弁当。
って、結局それかい(汗)
グルタミン酸の香りが苦手とゆー人は、
一味唐辛子を振り掛けるとゆーワザを紹介しよう。
特にカップヤキソバに絶大の効果を発揮するだろう。
# たぶんね
ま、そんなわけで、
インスタント食品、コンビニ弁当、レトルトカレーという、
一人暮しの三種の神器を活用しつつ、
たまに外食や断食でアクセントを付けつつ、
冷蔵庫さま御到着の日までなんとか生き延びる事ができた。
ミ★
当日、午前10時過ぎ。
家電屋の配送係から電話。到着は17〜19時とのこと。
これが、こーゆー電話が無い場合、
朝から晩までヒタスラ待ち続ける事になる。
何度か経験したが、非常ぉ〜に嫌なものである。
# なんであいつらは決まって夕方に来るのだろう?
まぁ、配達時間を指定できるのが一番ありがたいのだが。
とはいえ、世の中には配達時間を指定しても、
アッサリ無視して、オノレの都合を優先させる配送屋もいる。
例えば、夜間配達指定の荷物を15時に持ってくる黒猫ヤマトなど。
かの運送業者全体がそーゆー訳ではなかろうが、
ただ1人のマヌケのために、企業全体のイメージが悪くなってしまう。
組織や集団てのは、そーゆものだ。
正義の名の元に人を殺そうとも、
NATO加盟国の国籍を持つ人間全てが殺人者というわけではないのだ。
我々はともすれば知識や経験などを材料として構築した価値判断の
類いを基準として描いた己の脳ミソの中のそれを現実の世界と取り
違えて自ら墓穴を掘る嫌いがある。
# ややこしいわ
例えば、アメリカとはどーゆー国かと問われれば、
様々なアメリカに関する事柄を頭の中でごっちゃにし、
それを基にしてそれなりの答えを形作るだろう。
しかしながらその答えは、
飽くまで解答者の持つ有限の情報から形成されたアメリカ像であって、
実際にアメリカという国の全てを表現しているわけではない。
無論、正確にその対象を表現するのは非常に困難であろうし、
質問者もそれを期待してはいないだろう。
具体的な質問には具体的に答えることが出来る。
首都はどこかと聞かれれば、ワシントンと返すだろう。
同様に、抽象的な質問には抽象的な答えを返すしかない。
アメリカがどーゆー国かと問われて、
首都がワシントンの国だと答えるのは見当ハズレというものだ。
# 皮肉ならともかく
問題は、その抽象的なイメージや既存の知識だけで、
目の前の現実を割りきろうとしてしまうことである。
ミ☆
例えば、ある人物と知り合ったとする。
少々ぎこちないが、会話に支障のない程度の日本語を話せたとする。
話してみたら、在日イギリス人であったとする。
で、そこへたまたま別の人から英語で話しかけられたとする。
この場合の私は、日本人にありがちな、
中学・高校で非実用的な英語を学んできたとする。
さすがにそれでも、
英語で道を尋ねられているくらいは判るとする。
ずいぶん仮定を積み重ねているが、
そう不自然な状況設定ではないだろう。
さて、私は英語に自信がないので困ってしまったが、
幸いにも隣に在日イギリス人がいる。
で、彼を振り返って、なんて言っているのかと聞いてみたら、
「 わたし、英語、わっかりませーん 」
と言ったとする。
なんじゃこいつは? と思うのが、まぁ、普通の反応でしょう。
ミ★
分析は簡単。
イギリス人 = 英語を話せる
というのは、必ずしも真ではないということです。
これは、
割合が非常に低いと考えられる為に陥りやすい落とし穴といえます。
あまり良い例ではないかもしれませんが、
この類の落とし穴が、
特に想像の延長線上には無数の落とし穴が存在するのです。
知り合い & 旅先で喋った人々が悉く「 どこか変わった人 」であろうと、
長州人が全て変人であるわけでは無いのです。
# もっとも、全て変人である可能性も否定できませんけどね
……って、どのへんが冷蔵庫の話なんだ?
人間の認識力の限界は、
とりあえず そのへんにあるんでしょうかね?
ミ☆
待つこと7時間、
狙い済ましたようなタイミングで電話が鳴る。
時計を見ると17時ちょうどである。
家電屋に在宅の旨を伝え、電話を切る。
その1分ほど後だろうか。
ドアフォンが鳴った。
戦いは、ようやく終わろうとしていた。
# オチはありません