冷蔵庫 戦略編
土曜日である。
翌日は日曜であって、その次は月曜である。
月曜には会社に行かなければならないし、
それは当然金曜まで、
運が悪いと土曜か日曜まで続くことになる。
さすがに、
買った冷蔵庫を担いで帰るわけにはいかない。
車は無いし、免許も無いし。
仮にあったとしても、
フツーは冷蔵庫の乗るようなのを個人で所有してはいない。
そんなこたねーだろとツッコム人も居るだろうが、
もし私が免許を取得して車を買うとしても、
余程の理由がない限り、でっかい車、
例えばデリカのような大きいのを選ぶことはないだろう。
# 他人が買うぶんには問題なし、便利だし(ぉぃ
ま、それはそれ。
趣味とか好みとかの問題。
そう、問題といえば、
問題なのは配達なのである。
冷蔵庫の購入とその配達は、
どーしてもセットで考えなければならない。
配達の費用は仕方がないが、
困るのは、その日時なのである。
ミ☆
おりしも4月、新人さんの季節である。
それはまた、引越しのピークでもあり、
つまり、家電の売上が大いに見込まれる時期なのである。
要するに、
家電屋さんは大忙しとゆーことだ。
そーすると、
半ば必然的に在庫の状態が不安定になり、
配達に余計な時間が掛かるようになり、
ついでに店員の態度もどこか尊大になる傾向がある。
タイミングが悪い。
とはいっても、
こればかりはどーにもならない。
冷蔵庫なしで1ヶ月も2ヶ月も暮らすのは、
いくらなんでも無謀である。
情けないくらい、電気に依存して生きているのだ。
在庫や店員は我慢するとしても、
問題は、さっきから何回も書いた名詞であるがとにかく、
問題は配達、
これから買うであろう冷蔵庫の到着日なのである。
ミ★
そこまで大袈裟に考えなくとも 近所の家電屋なら、
さすがに当日は無理かもしれないが、
翌日の日曜には届けてくれるだろう。
……ちょっと高いけど。
とはいえ、情報が足りなすぎる。
ここ数年の冷蔵庫業界 ( ? ) の動向、
それを基にした分析と対策、
さらには冷蔵庫のスペック表の読みかた等々、
情報が、そして経験が圧倒的に不足している。
ま、冷蔵庫なんてそうそう買うものでは無いので、
知らないのが普通なのだが。
ふと思いついて電話に手を伸ばす。
「 やー、どーも 」
「 なに? どしたん 」
「 あのさー、ちょいと聞きたいんだけどさー 」
「 なになに? 」
「 最近さー 」
「 ん? 」
「 冷蔵庫買った? 」
その後の反応は3人が3人とも同じ。
真面目に質問してるのにな〜。
ミ☆
新聞の折り込み広告を引っ張り出してみるが、
この日に限って不動産や求人ばかり。
仕方がないので、
徒歩7分のイトーヨーカドーへ偵察に行こうと立ち上がる。
申し訳程度の家電売り場でも、
参考くらいにはなるだろう。
早い時間帯に情報収集を済ませ、
できれば本日中に近所の家電屋に注文する。
で、なんとか翌日に到着するよう頼み込む。
平日の遅めの時間帯に配達可能ならそれでも良い。
これを理由にして残業から逃れるという手もある。
とにかく、基本方針はこれに決定、
決まったからには即行動。
残敵掃討 ( 庫内の整理 ) にてこずったので、時計の針は、
いまや12の文字を指そうとしているのだ。
# デジタルだけど
薄汚れたジーンズと着古したシャツ、
足元はこの陽気に合わせてウォーキングサンダルとゆー、
自称オシャレな小娘どもから石でも投げられそうな、
ひっじょーにアバウトな格好で外に出る。
# 別に臭いわけではなし
少々気が引けたが、
所詮は大衆の味方・我らのイトーヨーカドーである。
銀座でオシャレにディナーってわけではないのだ。
……と思ったら、
半月くらい前にほぼ同じ格好で銀座で晩飯を食べた事を思い出した。
困ったもんだ(笑)
# くだらない偏見です
ミ★
線路を渡らねばならないのだが、
駅を抜けて行くのが手っ取り早い。
歩くこと数分。
なにげに切符売り場の路線図を見た瞬間、魔がさした。
いや、魔とゆーよりも、
これこそ家電の精霊の囁きだったに違いない。
考えてみれば、秋葉まで1時間かからないやん。
ヨーカドーなんぞよりも、
秋葉で情報収集したほうがよっぽど効率良いやんか。
定期だって使えることだし。
立ち止まって改札を睨むこと1.6秒。
駅構内に突入したのは、そのわずか3秒後であった。
ミ☆
乗り込んだ東武東上線は、なぜか異様に混んでいたので、
ぼーっと人物観察をしているうちに池袋に到着。
あまりにも暇なので文庫本を一冊買い、
山手線に乗り換えて、新宿で改札を出る。
秋葉の前に、
新宿で情報を仕入れようという魂胆である。
といっても、行くのはヨドバシカメラだけ。
なんたってポイント還元が魅力。
秋葉その他と比べてみて、
値段に大差なければヨドバシで買うのがいつものパターン。
もっとも、家電はたいして安くないとの専らの噂ではあるが、
判断するのはこの脳ミソ。
自分の目で確かめてみない事には。
店員に尋ねてみると、やはり配達は遅くなるとのこと。
2週間待ちはちょっとキツイ。
ブックカバーに幾つかの数字を書き込みつつ、
JR新宿駅へ戻り、中央線のホームへ。
舞台は、主戦場たる秋葉原へ移る。
つづく