チェスターフィールド (C)VIC TOKAI
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このソフトは、私がまだ若かりし頃にりぐ氏から借りてプレイしたゲームであった。
今になって思えば、何故にこのソフトを借りたのかいまいちよく解らないのだが、このソ
フトを世に送り出した『ビック東海』に何かを期待していたのかもしれない。事実、「チェ
スター・フィールド」に出会うよりももっと前に、同社の開発した「アイギーナの予言」
にささやかながらも充実した満足感を覚えていたからである。 さて、今回取り上げた「チェスター・フィールド」は、主人公である勇者がドラゴンに さらわれた王女を助けにいく、剣と魔法のファンタジーアクションゲーム。確か、そんな 感じの内容のゲームだった様な気がする。この当時から既に、「習うより慣れろ」のプレイ スタイルを確立していた私は、当然のことながら取説を見ることもなく主人公の命を預か っていたため、一面のボスだと思われるドラゴンにいとも簡単にひねりつぶされてしまっ た。8割方は自分の責任なのだが、実に不愉快だった。そして、その一回のみの闘いで、 私はこのソフトをりぐ氏に返還することなく、中古ファミコンショップに封印することを 決意した。 |
見た感じ…普通なカートリッジ。 |
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実は…1年半後に発売されていた事が判明。 駄目です。 勝手に発売中止にしちゃあ。 ぷんぷん |
………それから、どのくらい時がたったのだろうか。先程まで部屋に降り注いでいたや わらかな陽光はすっかりとその姿を消し、代わりに冷たくも鋭い闇が私のまわりを包んで いた。どうやら、先のドラゴンとの闘いに疲れ果てた私は、しばらくの間眠っていたよう だった。気だるい空気を断ち切るように、私は「チェスター・フィールド」のソフトを箱 に入れ、このソフトを封印すべく中古ファミコンショップへと足を向けた。ふと、足下を みると、「チェスター・フィールド」の取説が寂しそうに転がっていた。 「かわいそうに。おまえも行き場を無くしたんだな。」 そう声をかけて取説を拾い上げ、おもむろにページをめくった私はその時、驚愕の声を上 げた。『アイギーナの予言』『チェスター・フィールド』に続くビック東海ファミコンソフ ト第3弾、『突撃ビッグバン!当たって砕けろ大作戦』の発売を匂わす告知があるではない かっ。しかもジャンルはコミカル・アクション・アドベンチャーゲーム。いいとこ取りの なんて欲張りなゲームなんだ。これだけでも、このソフト購入のための定期預金口座の開 設や、財形貯蓄を始めてしまいそうな勢いなのに、主人公と思われるキャライラストの活 きの良さといったら、この上ない極上物である。まさに垂涎の代物。 さて、ここまで盛り上げておいて、こんなことを言うのは大変つらいのだが、結局の所 このソフトは発売されることはなく告知のみに終わってしまったのである。世間からは「ハ ッタり野郎」の烙印を押され、追われるようにファミコン界から姿を消したのであるが、 その活きの良さと確実な鮮度、存在感のあるタイトルで、その後「ベスト・オブ・チョン パ賞」にノミネートされたことは、このソフトの魅力を語るに充分である。(すくるど) | ||||
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