まどかの自己満足的思い出話
第1弾 「私とMSX」


第9回 「気合いの4ヶ月間」


 自分の運命を託した「The しょうか」を送り出してから数週間が過ぎ、TAKERUから結果が返ってきました。

 結果は…… 惜しくも不合格。だめでした。

 「残念ながら今回は販売を控えさせていただきます」の文字を見た時、私はこの事実を信じたくありませんでした。というのも、自分的には今まで販売されている同人
ソフトのレベルから見て、私の作品もそれに劣っていないと自負していたからです。

 しかし、結果は不合格。考えが甘かったということです。

 不合格の主な理由は、グラフィックが弱いとのこと。
 (販売できない理由という6項目のうちのひとつでした。)

 確かに1キャラが8*8の大きさで、色も1キャラにつき16色中2色というものでしたからね。
 この仕様はゲームで使用しているスクリーンモードにより制限されているからですが、やはりゲームには綺麗さ、華やかさが少なからず必要です。
 さらに、キャラも小さかったことから、弱いと感じられたのでしょう。

 しかし、納得がいきません。というか、ゲーム業界を目指すということをあきらめたくないので、何か救済はないかともう一度書類を読み返してみると、こんな言葉がありました。

 『しかし、ユーザーフレンドリーなシステム構成は、同人ソフトの水準以上だと思います。』

 「水準以上」…… なんだ、これで良かったんだ。ただグラフィックが弱いだけなんだ。グラフィックを作り直せば合格できるんだ。
 自分を励ますように、私はこう思いました。

 もう1度送れば合格できる。

 それはもう勝利を確信した気分になりました。
 グラフィックをやり直せばいい。そればかり頭に浮かびます。

 希望が見えた私は8ヶ月かかって創ったものをグラフィックのシステムやら何やらを総替えで作り直しました。

 作り直すこと4ヶ月。ついにトータル製作期間1年の「The しょうか」が完成しました。
 キャラクタは8*8から12*12に変更し、色数も全体で256色中16色を使用し、「The しょうか」は生まれ変わりました。

 そして2度目の投稿…… 見事合格。

 私は「ゲーム業界への道」を1歩踏み出しました。

 投稿した「The しょうか」も1996年10月6日にめでたく発売され、残念なことにTAKERUの活動停止という出来事がありましたが、北海道のMSXサークル「Syntax」さんに通信販売を委託して、現在もインターネットで購入が可能となっています。

 私は今MSXと触れる機会が少なく、ユーザーのサポートが出来ないため、「The しょうか」の売り上げは「Syntax」さんに、MSX界に、役立ててもらっています。

 おかげさまで「The しょうか」も好評だったらしく、MSXの同人誌に情報が掲載されたり、ユーザーさんから手紙が来たり、いろいろ良い思いをさせてもらいました。

 やはりTAKERUの全国ネットの力は大きかったです。

 こうして、私は高校卒業後、現在の専門学校に進学し、仲間とともにゲーム制作にいそしんでいます。

 まだまだ先は長いですが、好きなことなので楽しくやっていけます。


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