スプライトを憶え、中規模ゲームの開発に乗り出した私は、当たり前ですが、まずどんなゲームを創ろうかということを考え始めます。
前回書いたとおり、ゲームのジャンルは「パズルゲーム」。
これを選んだ理由は簡単。「一番創るのが簡単そうだったから」。
すばらしく単純ですね、いや純粋と言った方が聞こえが良いですね。
とは言ってみたものの、本当はこの理由の他に「パズルゲーム」を創ろうと私に思わせるモノがあったのです。
当時私はゲームボーイ(初期型)にハマっていた憶えがあります。そして、何にハマっていたかというと、これがまた「パズルボーイ」という「パズルゲーム」です。
このハマっていたゲームが「パズルゲーム」だったから、創ろうと思ったゲームも「パズルゲーム」になったと言っても過言では無いでしょう。もしかしたら「創るのが簡単そうだから」という理由を付けて「パズルゲーム」が創りたかったのかもしれません。
私の場合何でも真似しようと思う傾向があるようです。まあ、真似と言うより「吸収」と言った方が正しいかもしれませんが、人がしてること、おもしろいと思ったことは何でも自分でやってみたいと思ってしまいます。
その証拠に「ぷよぷよ」がやりたくて(当時はメガドライブのみでのゲームで私はメガドライブを持っていなかった)、「ぷよぷよもどき」を自分で創った憶えがあります。
しかし自分で創ったモノはおもしろくなく、結局メガドライブと「ぷよぷよ」を買ってしまいましたが(^^;
落ちモノゲームは、思ったより造るのが難しい。「ぷよぷよ」を心からすごいと思った瞬間でした。
話がそれてしまいましたが、こうして私は「パズルボーイ」の真似ゲーとして、「ハメットくん」という「パズルゲーム」を創ることにしました。
これは床にいろいろ穴が開いていて、そこら辺に置いてあるブロックを動かして穴にはめ、道を造ってゴール(次のフロアへの階段)を目指すというものでした。穴にブロックを「はめる」から「ハメットくん」。
このように私のゲームの名前は安直なモノばかりです。
確か、この時はこの「はめる」となぜか「コメットさん」を掛け合わせて「ハメットくん」に決定した憶えがあります。それにしてもなぜ「コメットさん」だったのでしょうか? 私には私にもわからない謎が数多く存在します。
「パズルボーイ」ではテトリスのブロックのように複雑な形をしたブロックを移動させて穴にはめていましたが、当時の私の技術では1キャラ分(8*8ドット)のブロックを動かすことしかできませんでした。
でも、ただ「パズルボーイ」の真似ではおもしろくないので、自分なりのアレンジとして(いつもアレンジは心掛けてます)、ブロックは一度動き出すと何かにぶつかるまで止まらないという条件を付けてみたり、ぶつかると1回だけ右か左かに方向転換するブロックを創ってみたり、そういう工夫を重ねながら1ヶ月程度で「ハメットくん」は完成しました。
8*8ドットのキャラクター「ハメットくん」が何の目的があるのか、ある建物の中をブロックを穴にはめて道を造りながら上を目指すというゲーム、「ハメットくん」は、お世辞にもおもしろいと思えるゲームではありませんでしたが、私にパズルゲームのシステムを考えるきっかけを与えてくれた素晴らしい、記念すべきゲームでした。
もし、この「ハメットくん」を創ろうと思わなければ、そんなゲームの裏側のシステム構成なんか考えようとは思わなかったでしょう。
元をたどれば「パズルボーイ」を創った人に感謝。
中学時代に、こんなことを考える機会に偶然にも巡り会えたことを私は本当に運が良かったと思っています。言うならばこれが私のゲーム制作の原点であり、これからも楽しむべき事であります。
ゲームのシステムを考える楽しさをおぼえた私はますます、ゲーム創りにハマっていくのでありました。
この時周りにプログラムでゲームを創っている人なんか一人もいません。
この孤独な環境が私の独学力を育てていったのだと確信しています。
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