プロローグ 〜 はじまりの言葉 〜
「綺麗だ…。」 この言葉が僕の恋の始まりだった。 文化祭での演劇発表の舞台で堂々と演技を する彼女を見て自然と口から漏れた。この瞬 間から僕の身体は熱くなり、身体全体で鼓動 が感じられるようになった。もう彼女しか目 に映らない。 「おい、タカ。何ボーッとしてんだよ。はは ーん、さては俺の彼女に見とれてたなー。 しかし、おまえにやるわけにはいかん。残 念だったなぁ。」 「な、何で僕がお前の彼女に見とれなきゃい けねーんだよ。」 突然の声に僕はハッと我に返り、すぐさま そう言い返した。その声の持ち主は僕の親友 の「三井茂則」というやつで僕とは小学校か らの仲であり、演劇部員の彼女を持っている。 もちろん僕が見とれていた子とは違う。それ からその隣で寝ているのが「高木真乃介」。 そして僕は「白石貴広」。図書委員をやって いて、夢はシナリオライターだ。学校ではた いていこの三人で行動している。 演劇が終わってからも、この日は一日中彼 女のことで頭が一杯で何回もシゲに「今日の お前はおかしい。」と、言われる有様だ。こ れが噂に聞く『ひとめ惚れ』というやつだろ うか。それから数日後にこれは『恋』だと気 付いたが、きっかけがつかめず何もしないま ま高校二年生になってしまった…。 |