エピローグ 〜 その後の二人 〜  


 あれから一年が過ぎ、僕達は卒業の時期を  
迎えていた。今では自他共に認める公認のカ  
ップルとなっており、堂々と付き合っている。 
 二人とも卒業後は自分の夢を実現させるた  
めにそれぞれの道を行くことにするのが今の  
関係をずっと続けていくつもりだ。      
 今はもう1月の終わり。2月になると授業  
はほとんどなく、3年生は休みとなる。もう  
この教室で授業を受けるのもあと少しになっ  
た。4月になったら僕は専門学校に行って、  
本格的にシナリオライターを目指す。これは  
もうずっと前から決めていたことだ。いつか  
僕が映画の脚本を書いて、その脚本で立派な  
女優になっためぐみちゃんにあの素晴らしい  
演技を見せてもらうんだ。たくさんの人に色  
々なことを教え、そして感動を与えるような  
…そんなシナリオをめぐみちゃんに書いてあ  
げるんだ。そしたら僕だけのスターだっため  
ぐみちゃんがみんなのスターになる。それは  
ちょっと悔しい事だけどいい事なんだ。だっ  
てめぐみちゃんの幸せが僕の幸せだからさ。  
そうなるためにも僕は頑張るぞ。       
 放課後の教室で僕は自分の夢に向かって気  
合いを入れる。               
「おーいタカ、ちょっと来いよ。」      
 シゲである。3年生になってまた同じクラ  
スになれた。しかし残念ながら真乃介やめぐ  
みちゃん達とは一緒ではない。        
 シゲのいる席に向かうと何やら机に本を広  
げている。                 
「なんだよシゲ。何かあったのか?」     
「じゃーん!!タカ、これを見よ。名付けて  
 『卒業記念温泉旅行サブタイトル夜空が綺  
 麗だね』だ!!」             
「何だよそのサブタイトルってのは?…でも  
 それおもしろそうだな。行こうか!」    
「お、そうこなくっちゃタカじゃないぜ。も  
 うすでに後の二人には連絡済みだ。」    
 相変わらず手際のいいことで。こいつは全  
然変わってないなぁ。            
「おーいタカくーん。」           
「あ、めぐみちゃん!それにゆかりちゃんも。」
 最高のタイミングで彼女が二人揃った。こ  
うしていると何かとってもいい雰囲気だ。こ  
れからもずっと仲良くしていきたいな。    
「ねぇ茂則君。どこの温泉行くの?料理は美  
 味しい?部屋は和室?それとも洋室?」   
「それはこの本のここんとこを見てくれよ。」 
「あ、ここね。ふむふむ、へーっ、結構いい  
 とこじゃない!」             
「拙者達もついていってよろしいでござるか?」
「真乃介!?」               
 いつも通りどこからともなく現れる。    
「真乃介。さっき拙者達って言ったよな…あ  
 !!」                  
 よく見ると真乃介の後ろに女の子が隠れて  
いる。それはなんとあの『藤村涼子』であっ  
た。こいついつの間に…。          
「あれ?藤村さんじゃない!?もしかして今、 
 高木君と付き合ってるの?」        
 めぐみちゃんが少し驚いた感じで彼女にそ  
う尋ねると、彼女はすまなそうな顔で首を縦  
に振った。                 
「あんなに貴広君の事追い回していたのに…  
 真乃介君のどこが気に入ったの?」     
「失礼でござるな、ゆかり殿。涼子は拙者の  
 心に惚れたでござるよ。はっはっはっは。」 
 「自分で言うなよ」という視線が4つ真乃  
介に向けられるが奴は全く気が付かない。自  
分で「拙者に女は必要ないでござるよ」なー  
んて言ってたくせにいつの間にか彼女をつく  
ってやがるとは…しかもすでに呼び付けだし。 
「ほんとのところどうなんだ?藤村さん。」  
 僕はその事が気になったので藤村さんに聞  
いてみる。別に悔しい訳ではないが、僕と真  
乃介にどんな共通点があるのか確かめたかっ  
たのだ。                  
「え?その…白石先輩が椎名先輩の元へ向か  
 った後に色々とあって…。その時のしんち  
 ゃんのシブさにひとめ惚れしちゃって…。」 
「しんちゃん!?」             
 予想外の彼女の言葉に僕達は驚き、そして  
笑いの渦に巻き込まれた。真乃介は一人「お  
ぬし達何がそんなにおかしいのでござるか?  
」と不思議がっている。           
 …という訳で僕達6人は卒業後に温泉旅行  
に行く事となった。僕達の事だからどうせま  
ともな旅行はしないんだろうな。特にシゲが  
…。                    


こうしてまた新しい恋物語の糸が紡がれていく… 


         Fin.         





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