最終更新日:平成16年4月16日


1章 戦争と犯罪論

前書き
 本論述は私個人の見解である。こんな考えもあるのか位に読んでいただければと思います。また,本件についての著作権は放棄するものではありません。


 前書き
 ・戦争の起源と呼称
 ・2001年ニューヨーク、ツゥィンタワービル等への攻撃
 ・イスラムの怒りはテロを生む
 ・アメリカの対イスラム政策の検討
 ・イスラムの怒りを解くことが平和への道
 ・和平へのプロセス
 ・係争の地パレスチナの歴史的主
 ・痛みの分からぬアメリカ
 ・イスラムの地は地球文明の母なる地
 ・イスラムのジハードは紙一重注意を要す
 ・宗教者と言えども人を殺す者はいる
 ・力の政策は宗教には無力
 ・米兵の犠牲者が多数出ればアメリカは正念場に
 ・政治家である宗教者の苦悩
 ・テロの拡散と第二段階
 ・他国の国権を蹂躙するアメリカ
 ・イージス艦派遣は同盟の証
 ・民族自立と独立戦はテロにはあらず
 ・アフガン干渉戦史とアルカーイダの秘密
 ・恐怖のシナリオ



2部前書き
 21世紀は平和な世界が訪れるものと考えていたが、人間はなかなか賢くなれないようである。が平和への努力は続けるべきだし、歴史的に見れば確実に前進しているものと思われる。21世紀の幕開けの年に大規模な「テロ」が起こるとは想像だにしなかったことであろう。
 >索引に戻る


1章 戦争と犯罪論(H13.10-H14.5)
・戦争の起源と呼称
 人類の歴史を紐解くと、戦争の歴史であることは残念だが事実である。他の動物では、縄張り争いがあるが、そこにはルールのように同じ種では殺しあうことはまず無い。数が増えすぎたときに種の保存のために集団自殺する例はあるが、それを除けば、人間のみが例外なのでは無かろうか。勿論不名誉な。人類の歴史は聖書に拠れば兄カインが弟アベルを殺すことから実は始まっている。いやはやなんとも言えないこれが人間の性なのかもしれない。家族ができ、氏族ができ、民族ができ、規模が拡大するにつれ、人間の中にある「征服欲」が牙を剥き出しにして、他の民族に襲いかかってきたのだ。同じ集団に属する者への危害を犯罪と言い、利害を同じくしないほかの集団へ危害を及ぼすことを戦争と言ってきた。戦争の原因は何かを考えると、利害の衝突が最も多いが、権力者の征服欲から起こされる場合も実に多い。であるから、もともと理由などは後からもっともらしくつけ加えるのであって、理由などどうでも良かったのだ。要するに攻撃したいから攻撃するのであって理由など無い場合が歴史上の戦争には多い。ある日突然襲ってきた。と、まあ、こんな具合だ。ちょうど怒れる若者が、理由もなく「ホームレス」を攻撃するみたいに。
 現在では、民衆に支持されないとできないから、それなりの理由は存在する。 個人や小集団が集団の利害のために他に危害を及ぼすことを犯罪と言う。また、政治集団が他の個人、集団、国などに危害を及ぼすことを「テロ(暴力行為、恐怖政治、暴力革命。意味は広範囲にあるようだ。)」、国が同様のことを行えば、小規模なら「テロ」、大規模なら、「戦争」と言うようだ。であるから、テロも戦争もそんなに区別する必要は無いのかも知れない。どちらも殺人が行われるのに違いは無いからだ。戦争だって実際には責任の無い民間人(子供も含めて)が数限りなく殺されてきている。殺された者は不運というしかないのだろうか。
 >索引に戻る

2001年ニューヨーク、ツゥィンタワービル等への攻撃
 9月11日8時頃から1時間に渡って、同ビル、国防総省ビルへ3機のハイジャックされた旅客機が突っ込んだ。もう一つハイジャックされた旅客機は墜落炎上した。多分、ホワイトハウスを目指していたのではと考えられている。
民間人多数を巻き添えにした「テロ」であるが、規模と言い、被害者の数と言い、この種の「テロ」としては「超ヘビー級」である。米当局者の発表は、最初慎重であったが、様々な情報を分析した結果、「オサマ・ビンラーディン氏である疑いが濃厚である」との発表を行った。アフガニスタンの9割を支配する「タリバン」が同氏をかくまっているとも。
 アメリカは「これは戦争である」と位置付けた。これらテロ組織への報復(反撃)を大統領は誓った。国民は「星条旗」の下に見事な団結を示している。あれだけの被害をこうむったのだ。怒り心頭の思いであろう。
 民間人を巻き込むこういったテロはどんなに非難されても足りないであろう。
早速、イギリスをはじめとするNATO諸国をはじめ殆んどの国からテロを非難する声明が出された。
 アメリカは「テロを根絶する」と、宣言した。早ければ2年ぐらいでできると考えているようだ。もっとも楽観しているわけではない。もっと苦しい長い戦いになることも覚悟しているようだ。
 ところで、私は、減らすことはできても決してなくなりはしないと考えている。理由は、「テロ」の理由は、限りなく存在するからだ。ちょうど、いつになっても「犯罪」がなくならないのと同じである。そういうアメリカから「犯罪」が無くなったとは聞いていない。自国の犯罪すら思うように行かない国が世界をまたにかける「テロを根絶」と言って「アメリカの威信を傷つけはしまいか」できないときは、アメリカの威信は地に落ち、「アメリカに協力しない国は敵だ」と、言って恫喝した事実だけが残るような気がして成らない。口は災いの元である。
 >索引に戻る

イスラムの怒りはテロを生む
 自分たちの命も顧みずあれだけのテロをやったのだ。よほどに深い恨みでもなければ、果たしてするであろうか。死んだ人には申し訳ないが。アメリカの対イスラム政策の中に彼らの逆鱗に触れることが無かったかどうかを再検討してみることは必要と思われる。そうでないと、更にひどい「テロ」を招きかねないと、感じている。例えば「細菌兵器を使用する」「毒ガス兵器を使用する」とか。場合によっては「核兵器を使用する」とか。彼らは死を恐れていないどころか『聖戦』と位置付け、これによる死は殉教と考え喜んで死出の旅に出て行くのだ。聖戦に参加し殉教すれば、これまでに犯した全ての罪が許され天国の最上位に行くとコーランは記しイスラム教徒はこれを信じて疑わないのである。これほど怖いものは無かろう。テロはすぐ実行するとは限らない。10年、20年と柳生の草のように当地に溶け込んで冬眠している細胞もいるであろう。して、ひとたび指令が下れば戦士となって殉教の道を喜んでゆく。であるから無くなったといって安心はできない。およそテロの理由がなくならない限り心配の種は尽きまい。ミサイルなら飛んでくるから防ぎようもあろうが、人の中に埋もれている『テロリスト(我々の側から見ればテロリストであるが、信ずる者から見れば正義を具現化する正義の戦士であろう)』を発見し未然に完全に防ぐのは至難の業である。最近顔識別システムが開発されたそうだがこれとて欠点がある。テロリストとして登録されている者しか判別できないことは言うまでもない。また、顔を整形されれば無力である。新しい技術が生まれれば、当然のごとく対抗策をとるのは当たり前。民主主義社会の欠点だが、この種の装置を有効に活用したいと真剣に考えるのなら、これをどこそこに設置したなどという報道は、テロリストに教えているようなものでしてはならないものと思われるが。対策チームの手の内をさらしている事に他ならないからだ。もっともわざとそうしているのかも知れないが。それならそれでその者たちも仲間ということになるだろう。もっとも、テロに踏み切るのにブレーキをかけるのだという考えもあろうが、所詮やろうと思っている者はその原因を取り除かねば別の方法を取るだけであるから防御にはならない。
 >索引に戻る

アメリカの対イスラム政策の検討
 アメリカの側から見れば当然のことだが「イスラム」の側から見れば我慢がならないことは無いであろうか。程度問題はあろうが、イスラム教徒はよく「自爆テロ」をこれまでなんども繰り返している。おそらくこれからも繰り返すであろう。彼らとて好き好んでやっている訳ではあるまい。おそらく我慢がならないと感ずるからこそテロをするのではないかと、私は考えてしまうのだが。
 私が、思い当たることを列挙してみた。後ろの( )内の数字はマイナスを点数化したものだ。今、思い当たるものだけでもマイナス23になる。いろいろ調べればどれだけになるか。また、受け止め方はもっと違っているかも知れない。
・アメリカはイスラム教徒の聖地エルサレムのある地にイスラエルの建国を認め第1番目に承認した(-1)。
・第二次世界大戦後アメリカは一貫してイスラエルを支持してきた(-1)。
・最新鋭の戦闘機をはじめ最新の武器をイスラエルに使わせてイスラム教徒の殺害に手を貸している(-1)
・パレスチナの和平に努力したがブッシュ政権になってからは小競り合いが激しくなっている、和平の斡旋をなおざりにしていると感じている(-1)。
・湾岸戦争ではイラクに対する攻撃はイスラムがやるとビンラーディンとその組織アルカーイダは言ったがアメリカは自国の利害からこれを無視し、対イラク攻撃にイスラムの地から出撃し、これに介入した。(-3)
・湾岸戦争でイスラム教徒であるイラクの民間人多数(100万人とも言われている)を殺している。自分たちの親兄弟子供が殺されて仕方がないと思える人がどれだけいるであろうか。大部分は仇をとってやりたくなるのではなかろうか。彼らとて同じであろう(-3)。
・聖地メッカのあるサウジアラビアに依然として異教徒の軍隊を駐留している(-5)
アフガン戦争では対ソ連との戦いでアメリカの尖兵として戦い多くの兵士が傷ついたが、ソ連撤退後、民衆は貧困にあえいでいるのにそ知らぬ顔である(タリバンは神学生の意味でパキスタンをはじめアメリカは対ソ連対策として彼らに武器を戦略物資を与え兵を養って育ててきたのだ。従ってアメリカにとってタリバンはもともと子分みたいなものだが、何故に反旗を翻したのでしょうね。利用価値がなくなったのでアメリカが捨てたのか。それとも敵を求め、敵と戦うのが仕事のように精神構造が変化してしまったのであろうか。人は殺人を繰り返していると、人格が変わるとも言うからね。それなら彼らは人格障害に陥った被害者でもあるが)(-1)。
・アメリカはアラーがイスラム教徒に与えた石油を奪っていると感じている。これを産するイスラム国は実に多い。彼らがこう思うのも自然の成り行きであろう。アメリカのアラムコをはじめ石油大資本がこの地に長く石油採掘権を獲得し採掘し続けている。これはアメリカがクウェートに介入し湾岸戦争を主導した理由でもある。つまり石油の権益を守るためである。(-3)。
・アメリカはスーダンの化学工場を巡航ミサイル、トマホークにより攻撃し多数の民間人を殺害した。アメリカはここで化学兵器を作っていると疑った(-3)。
・原爆実験をしたが、イスラム国家パキスタンへの経済制裁を継続している(-1)。
 ざっと、彼らが怒りに感ずるであろうことを挙げてみた、自国の都合で支持する国、支持しない国を選ぶのはアメリカの勝ってあるが、それと同様に、イスラム諸国にとっても自分たちの味方かどうかを判断するのも勝ってである。こうしてみるとアメリカの政策はやはりイスラム教徒には不愉快極まりなく感ずるであろうと思われる。
 >索引に戻る

イスラムの怒りを解くことが平和への道
 これを改善してゆくのは容易ではない。が、できることから順次すべきと思われる。
 真先にすべき事は、アラビア半島からの米軍の撤退であろう。理由は、イスラム教徒は異教徒が聖地を蹂躙ないしは汚していると少なからず感ずる者がいるからである。それが「テロ」の大きな理由となっている。出て行けといってもアメリカは出て行かないからテロに訴えているのだ。フセインがまたやりそうなときは改めて付近に空母艦隊を展開すればよい。侵攻を許さない姿勢を見せれば侵攻しないであろう。無用な摩擦は避けるべきだ。
 次に、積極的にパレスチナ和平を進めることだ。現在住んでいる所に分散して自治を認めるのではなく死海西岸地域一帯にパレスチナ人がまとまって住めるように住む地域の交換をしてしばらく自治をさせ、然るべき期間平和に過ごせ、その後も平和に共存できる見通しが立った段階で独立というプロセスをアメリカをはじめ関係諸国・団体の合意の下に決めることだ。勿論、イスラエル、パレスチナ暫定自治政府も含める、ハマスなどの団体も参加できるようにした方がより実行力があるだろう。会議の場に出させることがテロを防ぐことにつながる。テロに訴えるのは他に方法が無いからと思われる。
 厄介な聖地エルサレムの問題があるね。どちらにとっても聖地だから、西エルサレムをイスラエルに、東エルサレムをパレスチナとする。勿論、中心で分割するのだね。もし双方から受け入れられないのであれば、元のイギリスの植民地に戻し、イギリス領とするかである。どちらが賢明な選択か選ばせることだね。
 >索引に戻る

和平へのプロセス
 自治から独立に向かうプロセスでは国連軍の監視部隊を展開し、直接2つの民族が接しないようにすることも相互に存する怒りを静めるプロセスとして必要なことだ。無用な摩擦、テロなどが生じないように、国境を閉じることも必要だ。自由に行き来することができるのは理想だが、それではまだ、いがみ合いがある間は何が起こるか分からない。お互い不便でも国境を閉ざすことは必要だ。時間をかけ相互の怒りが解けるのを待つのだ。国境は4重くらいに厳重にすることも必要であろう。国境ベルト地帯を設けここに国連平和維持軍を30年間は展開する。両国の関係改善の程度により暫時兵力を減らしてゆくようにすればよいだろう。
 しかし、国民が生活できるように相当期間援助が必要であろう。後は、諸産業を起こさせ国としてやって行けるようにする。もし、パレスチナ人がイスラエルの資本でも働く場所が欲しいときは合弁にすると良い。治安は勿論パレスチナ人が自分たちの為にすることは言うまでも無い。何かあったら引き上げると言っておけば、彼らは生活のために必死に治安を守るだろう。
 こうして貧困を絶滅することしか真の平和は実現しないと思われる。これなくして彼らの怒りを静める方法があるのであろうか。
 要するに彼らに感謝される政策を進めることが最大の防御となるのではなかろうか。こうすれば彼らにとって攻撃の理由を失うからだ。
 >索引に戻る

係争の地パレスチナの歴史的主
 歴史的にはもともとここはパレスチナ人が住んでいた土地だ。イスラエル人は出エジプト(BC1220年頃)の後この地に侵入してきたのだ。最近では、と言っても1914年の頃だが、8万5千人位に増えたと言っても当時は大部分がパレスチナ人だったのだ。もっとも、ローマ時代はユダヤの国(ローマの属国)があったのだが。急激に増えたのは独立後、世界中から移住してきたからだ。従って、大昔のことを言えば別だが、パレスチナ人にとってはユダヤ人は侵入者に思えるであろう。現在の状況があるのはどう見てもアメリカやイギリスの後ろ盾があったからだと思われる。もっとも原因を作ったのはイギリスのバルフォア宣言だということもできるが。
 もともとアングロサクソン(イギリス人、アメリカ人(白人の大部分)等)は海賊のようなものだ。現地に住んでいた人々、古くはイングランド、ウェールズ、スコットランドに住んでいたケルト人を蹴散らしたアングロサクソン人、これが7王国をつくる。有名なアーサー王(物語になっているから知っている人もおろう)はその末裔。この民族がイギリスのもとを創る。一時期北方の海賊ノルマン人がノルマン王朝をつくるが。北米ではアメリカンインディアン、この呼称そのものはヨーロッパ人がインドと間違えたことから呼んだ呼称ではある、やアボリ人を蹴散らして自分(イギリス人)たちの国、アメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド等、を作っていったのだから、パレスチナ人を蹴散らしてイスラエル国家を作ることに何の疑問も感じなかっただろう。常にやってきたことだから。もっともことの走りはスペイン人やポルトガル人で、アメリカ南部にはフランスなども乗り出したが、レイジアナなどにその名残を感ずるであろうが最終的にはイギリス人が席巻する所となった。勿論、武力でね。カナダのケベック州はフランス人が開拓したのでフランス人が多い、ここではカナダからの分離独立を求める動きがよく報道されている。であるから、パレスチナ人が土地を返せと言って独立を叫ぶのには一理も二理もあるのだ。
であるが、イスラエルに出て行けというのも非現実的であろう。ここは、お互い「許しあいの精神で、共存する道を選ぶ」のが賢明な選択と思われる。
 >索引に戻る

痛みの分からぬアメリカ
 アメリカは建国以来自国民が傷ついたケースは極めて少ない、ましてや民間人が攻撃されたのは独立戦争の後ではおそらく無いであろう。
これまでアメリカは平気で民間人を攻撃することをなんとも思わなかった。できるだけ少なくなるように配慮したと言っているが。たとい少なくであろうが、殺された側は、かけがいの無い肉親を殺されるわけであるから、憎しみに燃えるであろう。それをアメリカは分かっていない。今回5000人くらいのアメリカの民間人が殺されたことになるが、これまでに彼らが殺した民間人はその何十倍、何百倍、もしかしたら何千倍に上るのではないかな。その位の犠牲で「他人の痛みが学べるのなら安いもの」と言っては語弊があるが、アメリカにぜひとも学んでもらいたいと思う。人を殺せばたといどんな理由があれ恨みを買うということを。
 やむを得ず殺してしまったときは怒りを解くことをしておくべきだ。そうでないと何十代にも渡って報復される可能性が、特に今回のアフガニスタンにはある。この民族は聞く所によると極めて執念深く復讐を忘れないとのことである。また、テロを批判するが、彼らにしてみれば「テロ」しか自分たちの考えを相手に分からせる術が無いからそうするのだと思う。良い悪いの問題を言っても始まらない。テロをやめないという意。べつにテロを肯定しているわけではない。
 >索引に戻る

イスラムの地は地球文明の母なる地
 イタリアの政府当局者の誰かがわれわれよりイスラムは遅れている。などと言ったそうだが、これも不用意な発言だ。確かに科学技術については、あるいは政治システムについても我々の側から見ればそうであろう。しかし、モラルはどうであろうか。性風俗の乱れはひどいものと思うが、とてもイスラム世界に比べて誇れる内容ではないと思うが。また、考えても見たまえ四大文明が栄えた場所を、中国文明を除けば全てイスラム圏である。しかも、中国文明は新しいから古い文明、メソポタミア、エジブト、インダス等全てはイスラム世界なのだ。彼らは誇っているに違いない。今でこそ威張っているが、皆われらから学んだのではないかと。中世も確かイスラム世界の方が進んでいた。だから、彼らの自尊心を傷つけるのは賢明ではない。
 要するにイスラム世界は宗教など精神を重視する世界なのだ。現代民主主義国家に住む住民と、イスラム国家に住む住民とでは世界観が、宗教観が、人生観が異なるのだ。我々と同じようには考えないということを前提に対策を考えねばならないであろう。
 >索引に戻る

イスラムのジハードは紙一重注意を要す
 たとい「オサマ・ビンラーディンの一派」が犯人と決まっても、捕らえる過程で、イスラムの民間人を殺したりすれば、彼らはジハードを叫ぶようになるだろう。もう既に、近隣諸国に「タリバン」への攻撃に反対の声が大きくなっている。全てのイスラム教徒は同胞という意識が彼らには存在するからだ。いずれにしても注意深く作戦をやらなければ犠牲者が更に増えることも大いにあろう。これらの声を軽視するのは危険だ。
 また、「オサマ・ビンラーディンの一派」を全て殺したとしても、それだけではテロはなくなりはしないだろう。どんなに雑草を取っても、やがて雑草は生えてくることと同じである。しかも雑草は栽培種より一般に強い。テロが生まれない環境を作ることがテロの撲滅に最も有効だ。手はある。貧困の撲滅と教育だ。食足りて礼節を知ると言う。国際的な愛の手のみがこれを解決するであろう。
 >索引に戻る

宗教者と言えども人を殺す者はいる
 アメリカは「テロ」とイスラム教は別だと言ってはいるが、私は、やはり宗教の教えを、コーランを信ずればこそ命を担保にあれだけのことができるのだと考えますね。ジハードで死ねば天国にいけると考える、これ自体が既に教えを信じているということだ。であるから気持ちは分かるがイスラムの教えに基づくジハード(彼らの立場からは、我々から見れば勿論、テロである)ということになる。アメリカの立場からそう言うことは、『戦略としては正しいこと』ではあるが。問題は、アメリカの言う論理をどれだけのイスラム教徒が受け入れてくれるかにかかっている。受け入れてくれれば、アメリカの誠意を受け入れたことになる。犠牲が少なく、様々な配慮を彼らが理解すれば受け入れる確率は高くなろう。だいたい、宗教は信じない者にとっては、狂気にも思えるだろう。マルクスも阿片と言ったくらいだから。殺人をする者は宗教者とは言えないという立場だね。しかし、これも無理がある。実は、宗教者も限りなく殺人を犯しているからね。例をあげたらきりがないが、中世の宗教裁判はその最たるもの、オルレアンの少女、フランスをイギリスから救った自由の女神と言われる、『ジャンヌ=ダルク』を魔女として、焚刑に処した。十字軍ではキリスト教徒は、エルサレムを攻め、極めて多くの人々を殺害している。アメリカに渡ったピューリタン(キリスト教の清教徒)は限りなくインディアンを殺害している。切がないから止めるが。これだけ言えば十分であろう。
 >索引に戻る

力の政策は宗教には無力
 力の政策は特に宗教に対しては無力である。これは歴史的事実である。最近のことで言えば、共産主義が宗教弾圧を徹底してやったが、あのソ連のその後継者であるロシアで復活しているところを見ると、宗教を奪うことは、歴史の時間の流れの中で見るとやはりできないというべきであろう。古くは、ローマにおけるキリスト教弾圧の歴史を学べばいかに力が無力かが分かる。磔にし、コロセウムでライオンに食わせ暴虐の限りを尽くし、殉教者を増やすことはできたが、捨てさせることはできず宗教心を高めキリスト教を広める結果に終わっただけだからだ。滅びることはないと思われたローマ帝国ではあったが、キリスト教はその内臓を食いちぎり、葬り去った。もっとも直接的には、西はローマの傭兵隊長オドアケル、実際は内部崩壊のようなものだ。東(ビザンチン帝国)はオスマントルコにではあったが。後に残ったのはキリスト教国家群である。もっともキリスト教は愛の教えであり希望を与えるものであったから多くの人の支持を得ていった背景はあるが。
 しかし、これとてやがて堕落する。教会は淫乱の巣窟となり、ドイツでは免罪符すら現れたのであるから、宗教改革はキリストの悲痛な叫びであろう。時は移り現在の状況だがキリストはなんと思っていることか。きっと、さめざめと泣いているであろう。実体のない教えだけが空疎にこだましている(教えを述べる人はいても、それを実践する人は極めて少ないという意味)と言っては怒られるかな。
 こうして見ると、人間の考えることはどの道不完全はやむを得ない。従って、よりまともな選択と思える選択を選ぶより他ないだろう。我々としては今回のようなテロを野放しにはできないから武力による排除はベストのシナリオではないが、該当者がおとなしく出てこない以上他に現実的な方法はないのでやむを得ない選択であろう。他の方法を併用することで痛みをカバーする他ないであろう。
 日本でキリスト教弾圧が有効であったのは、島国で、強力な統一国家ができており、逃れる術も場所もを奪われ、ほぼ根絶やしにされた上、既に世界宗教である仏教(慈悲の教え)が多くの人に支持されていたからだ。今でも少ない。多分2%未満くらいであろう。キリスト教が布教された地域で、こんなに少ないのは、日本とイスラエル(ユダヤ人はユダヤ教、パレスチナ人はイスラム教)くらいであろう。日本はその意味で特異な国である。日本ではアミニズムがまだまだ健在で生活の中に自然に生きている。
 >索引に戻る

米兵の犠牲者が多数出ればアメリカは正念場に
 テロ対策として、イスラム教徒を全て抹殺するなら話は別だが、インディアンに対してやったように。原爆を多数落として全て焼き尽くせば。もっとも、これとて完全ではないが。アメリカ国内にも、イギリスにも、フランスにも、勿論、日本にもいるからね。彼らが破壊された母国に戻ったら、なんと思うだろうか。日本みたいに羊のように従順な親米派に変わるだろうか。難しい問題である。だが、原爆投下等によるイスラム国家群の殲滅は世界が許さないだろうし、多分アメリカもそこまではやる気は無いと思いたい。ただ、アブガンの地上戦で米兵の犠牲者が多数出れば、いつまで冷静でいられるか疑問の残るところはある。犠牲者が出れば、人間は、アメリカ人でなくとも冷静さを失い非寛容になるからだ。カナート、アフガン人の命の綱、を破壊し尽くすこと位はやりかねない。何せ、アメリカ人は『冷酷になれる民族』だから。『お前達が先に仕掛けた、悪いのはお前らだ』と、理由はいくらでも見つかるだろう。原爆投下のときもそうだった。本土作戦に突入すれば、多数説で100万の米兵の犠牲を防ぐことができるとして、原爆は投下された。日本人の犠牲者の数は問題ではないのだ。他にも理由はいろいろあるが。権力者は後世からいくら非難されようと何とも思わない者は多数いる。まずは、今を凌ぐのが先だという理屈だ。今生きている者の犠牲を少なくするためだと。破壊した後、建設は他国にやらせれば良い。などとね。アメリカとしては、米兵の犠牲は少なくなるわけだ。国民の支持もそれなりに得ることができる。では、多数の米兵の犠牲者が出でもいいのかと言ったら、米国人はどちらを選ぶか、アジアにおける通貨危機で米国民が示した反応を見れば、米兵の犠牲が少なくなる方を選ぶだろう。つまり、カナートは破壊される確率は極めて高い。悪魔の囁きが聞こえてくる。これをすれば仮にカナートを再建しても、それまでの間、水がなくなるわけだから、アフガン人の犠牲者は計り知れない数に上るだろう。果たしてアメリカはやるのだろうか。ソ連すらしなかったことだが。犠牲者が少なく解決すればアメリカはこの決断を迫られないで済むから、ベストのシナリオだ。
 >索引に戻る

政治家である宗教者の苦悩
 政治家には自国民を守る義務があるから。あの結論が自国民を守る最も有効な方法だと信じて疑わないのだろう。吉とでれば良いが。が全世界に広がるイスラム教徒がジハードに参加しない確証はないだろう。
 アメリカ、イギリス、フランス、ドイツもキリスト教を信じている国々だ。キリストの教えは、「右の頬を打たれたら、左の頬を差し出しなさい」と、言っているが。聖書のどこに、「殴られたら、殴り返しなさい」と書いてあるのだろうか。彼らはクリスチャンではないのだろうか。クリスチャンのふりをしているのだろうか。それとも時と場合に応じて使い分けをしているのだろうか。選挙のときだけ、敬虔なクリスチャンの振りをしているとか。危機のときは、宗教者を捨てるのであろうか。その矛盾は考えれば深いに違いない。
 >索引に戻る

テロの拡散と第二段階
 オームにできたのであるから、オサマ・ビンラーディンにはなおさら何でもやればできるのではなかろうか。「細菌戦」も「毒ガス戦」もである。これらの兵器は簡単に持ち運べるし、送りつけることもできよう。空中散布だってやろうと思えばできる。
細菌なら食品に混ぜる事だって可能だ。遅効性のある菌を混入させる事だってやろうと思えばである。水源に菌をばら撒く事だって。さらには、人間に限らず犬などのペットにを使ったテロだって。意思のあるところにはどんな恐ろしいことも生じかねない。細菌戦に突入すれば、第二段階ということになろう。既に「炭疽菌」が世界中の各所に送りつけられ多少犠牲者が出ている模様である。これはアフガンを攻撃しても止めることはできまい。テロ組織というものは頭を切り落としてもまた生えてくる怪物のようなものなのだ。宗教の絡んだテロ組織はさらに恐怖だ。死を恐れないからだ。
 極めて恐ろしい事態を招く危険が十分にある。慎重にことを進めるに越したことは無い。死んだ人は生き返らないのだから、これ以上、犠牲者が増えないことをメインにした方が良いと思われる。
 恨みを買わない賢明な方法を選んで「テロ撲滅作戦」は実行されることを祈る。
 >索引に戻る

他国の国権を蹂躙するアメリカ
 アメリカは「テロ」といって批判するが、アメリカ自身はこれまでに散々やってきたことではないかな。他の者がやると大騒ぎするが、独立国パナマの「ノエリガ将軍拉致」もそうだし、このときは、パナマまで乗り込んでいってやったわけだから、国権の蹂躙そのものだ。たいたい、国家によるその種のことを禁止したこと自体が、これまでしてきたことの証である。だが、こういうことができるアメリカは色々欠点はあるが、やはり、素晴らしいと言うべきであろう。自分たちのまずさを自ら改め実行できる国になったのだから。賞賛に値する。けれども、国によって発展の度合いや方向も様々である。発展段階が過去の自分たちの段階と言っても、発展の過程ではそれを通過するのも一時期必要なことと考えている。先に行ったものはある程度の忍耐もまた必要かと思われる。でないと、大国の横暴と彼らは言うであろう。
 これらのことを多くの国ないしは組織がするようになったのにも多分にアメリカは責任があると思うのだが。アメリカがやってきたことを真似ているという意味でね。アメリカには「CIA」があり、この種の謀略は日常的に行っていたのではないか。
自分たちはやっても他の者には許さない身勝手さはいつもの事だから驚きはしないが。もっとも、冷戦に勝つためには必要なことだったと言うであろうが、それはそれで分かっているつもりだ。
 民間人殺害うんぬんを言うなら、原爆で死んだのは「ほとんど民間人だよ」「東京大空襲」で死んだのもだ。戦争と言えども、民間人は殺してはならないのだ。それをすれば国際法違反の虐殺なのだから。ところがこれまでにアメリカは「民間人の大量虐殺」をやってきたのだ。そもそも「戦略爆撃」は大量の民間人を殺害することなのだから。
 それ以前に、彼らは政府組織でもないし、まして、条約を結んだわけでもないから、『戦争法』に縛られない(理論的には)から、民間人も軍人も区別する必要はないのだ。だから、アメリカ人は全て敵だといっている。民間人も反イスラム政策をやる政治家を選んだ責任を問うているのだ。彼らなりの理由でね。  アメリカに限らず、人のやっていることはよく気が付くが、自分がやっていることは意外と気が付かないのであろうか。気がつかない振りをしているのかも知れないが。この点も深刻にアメリカは反省したほうが良いと思われる。勿論、我々自身もだが。
 >索引に戻る

イージス艦派遣は同盟の証
 そうは言っても日本にとって、アメリカは「最も頼りになる大切な同盟国」だ。だから、アメリカと共にあり、最大限の協力をすることは厳しい国際社会を生きてゆくためには極めて重要なことだ。出せる力を出し惜しみはすべきではない。イージス艦こんごう、この極めて高価な護衛艦はアメリカ製だが、アメリカはイギリスにも与えていない、いや、買っても良かったのだが、高価すぎてイギリスは買えなかったのだ。日本だけに売却したのだ。最近の報道ではスペインも一隻保有しているようだが、後日購入したのであろう。と言っても、アメリカの為に買ってあげた面もあるが、どこにでも売るわけではない。台湾や、イスラエルには売却しなかったのだから。それだけ日本を信頼しているということと私は理解する。この艦は同時に多数の攻撃目標を捉え迎撃できる能力を持った優れた艦だ。従って、空母をミサイルから守るのには最適な艦だ。これを派遣して、米空母は、日本が守るというスタンスを見せるだけでもよい。まさかのときに備えるのだ、どこかの国(どことは言わないが展開によってはあり得る国、分かるかな)からミサイルが飛んでこないとも限らない。そのときは、打ち落とせばよい。日本は、迎撃だけでよいのだ。こんなときこそ、その宝物を使うべきだ。アメリカは日本を心強い同盟国と思うだろう。アメリカ国民に感謝されなければ意味がない。集団的自衛権は権利としてはあるが、『憲法は認めていない』と、変なことを言う議員がいるが、こんなことを言っていれば、アメリカは、『何を世迷言を言っている』と、思うだろう。口に出して言わなくとも。同盟条約を結ぶこと自体が、集団的自衛権を認めて行使することを国際的に認めた証文を取り交わすことだ。アメリカと一体となった軍事作戦をして良いのだ。戦前のことを心配する人がいるが、英米とともに行動する限り何の問題もない。戦前はこれと敵対し、事実上単独(ドイツ・イタリアと同盟しても共に戦ったわけではない)でやったからいろいろと問題になった。国連と言う人もいるが、国連が日本の安全を保障している訳ではない。アメリカとの同盟にわれらの生存をかけた事実を忘れてはならない。同盟国なら助けるのは当たり前。まさかのときに助けてくれないのなら、それは同盟国ではない。紙切れに価値があるのではない。実態としての同盟に価値があるのだ。このイージス艦がいれば米軍との共同作戦は極めてスムースに行われよう。イージス艦を派遣すべきだ。
が、せめてアフガン人やイスラムから恨まれないようにフォローだけはしっかりやって欲しいと思うよ。これはアメリカのためでもある。それがテロに遭わないためには絶対に必要なことだと考えるからだ。このフォローによって感謝されるに至ってこそ、イスラムの怒りを解くことができると考える。
 フォローには難民救済は勿論だが、その後のアフガニスタン政府の下の民生の安定の為に尽力することを当然含む。彼らから等しく感謝される援助の手を差し伸べることこそが極めて重要だ。感謝されない国への援助を大幅に削ってでも大いに援助すべきだ。それが「テロの根絶」のシナリオが一歩も二歩も前進することに繋がろう。世界から貧困の撲滅を目指すことが世界の平和への道と思われる。
 最近,イラクの国際査察に関して,イージス艦を派遣すれば,国民に対する脅しのように,「テロに遭う」と真剣に言う自民党有力者の古参議員,「野中広務ら」もいるようだが。まあ,そういう者はカモフラージュのためには多少いてもいいだろう。が,程ほどに矛を収めたほうが良い。テロをやるのは一部のイスラムで,決して全部ではない。イスラムのほとんどは『テロ』には反対なのだ。誰だって,できれば平和的に解決したいのだ。どこの政権でも,国民を苦しめる政権が生き延びることが正義とは思わないであろう。私は,どちらを取るかと言われたら躊躇せずアメリカを選ぶね。たとえ安保が無くとも。『テロ』に遭うと言うなら,イージス艦を派遣しなくとも『テロ』に遭う。日本は既に自衛隊を派遣しているのであるから。危険はあっても,イスラムのために,戦後復興に尽力すれば,日本の真意は必ず伝わる。感謝されるまで尽くすことだ。されば,『テロ』など起こるはずも無い。アメリカにしても敵対しているのは,「独裁者フセイン大統領」に対してであって,決して,イラク国民に対してでは無いことを留意しよう。何もしなくとも「テロ」は起こるときは起こる。オームだって,その他暴力革命を目指した共産主義者の火炎瓶闘争だって,「テロ」と言えばテロになる。不名誉だから,そう言わなかっただけの話だ。「テロ」を恐れてはならない。暴力に屈してはならない。それでは,国民の命,財産,正義は守れない。
 >索引に戻る

民族自立と独立戦はテロにはあらず
 世界に存する独立を求める諸民族の闘いはこれをできるだけ尊重し援助するのが正義だろう。その姿勢を示し、かつ実行することは人類の歴史の方向だ。ただし、EUのような動き・運動も大切だ。それぞれの民族や人たちが望み、その権利が尊重される環境であれば問題ないであろう。国の支配下にある民族については慎重にする必要はある。人権が十分に尊重され、政治的、経済的な自由が十分に考慮されている場合はその中で生きるのも方法である。十分でなければ、まずそれを改善するのが先であろう。改善する意志が国になければ、民族は独立をする他ないであろう。
 これを抱える国は少なからず存在するから長い道のりとなろう。多民族国家には常にこの問題が付きまとう。私が知っている限りでは、
 中国チベット。ここでは最高指導者、ラマ教の高僧ダライ・ラマがインドに亡命している。日本にこの高僧が来ようとしたことがあるが、政府は中国に恐れ入ってビザを発給しなかった。日本は本当の意味では独立国ではない。中国の威光の下にあるのだから。いったい田中首相のやったことは何だったのだろうか。国交回復にだけ目が行くが中国の属国に成り下がることだったのであろうか。中国の言うとおりにして付き合った方が経済的にプラスだからそうしたのだと詭弁を弄するであろうが。
 中国の新疆ウイグル自治区もそうである。この地に住む民族ウイグル族は、むろん漢民族ではない。イスラム教徒で当地にある石油を漢民族に奪われていると考えている。漢民族である共産党の支配に異を唱えているのだ。中国はここで独立闘争をしている人たちをテロリストと呼んでいる。いったい200万ものチベット人を虐殺した漢人(中国共産党)の方がよっぽどテロリストだと思うが。勝手なものだよ涼しい顔をして、これ幸いにテロ呼ばわりする。彼ら中国当局者は利害が一致するから「テロ」と言っているに過ぎない。彼らウイグル族の独立派を弾圧するもっけの幸いの「口実=お墨付き」が見つかったって訳だ。彼ら中国要人はほくそえんでいるに違いない。規模から言ったらビンラーディンどころではない。だが、こんな不正義を認めたら「正義」が泣く。
 台湾、この国は同族だが事実上の独立国である。もっとも高砂族などの高地族は漢民族ではないが。
 ロシアチェチェン共和国もそうだ。この国は現在内戦状態である。ロシアはドサクサに紛れてテロと言っているが、独立のための戦いだ。ロシアが独立を認めないから戦いとなるのだ。かつてのアメリカもそうだった。そうイギリスと戦ったのだ。だからここの戦いはテロではない。独立戦争なのだ。絶対的正義などというものは存在しない。無理を通せば道理は引っ込むとはよく言ったものだ。だから「力は正義なり」などという言葉が残っているのだ。このロシアはもともとは小さなモスクワ公国が東ヨーロッパからシベリアにかけて住んでいた様々な民族を平定あるいは蹴散らして広大な領土を獲得してきたのだから、各地で反乱が起こったって不思議はない。従って、これらは全て独立を目指す戦いになるわけだ。
 マケドニア在住のアルバニア人分離独立運動などもいつ爆発してもおかしくないね。
 インドネシアは多くの部族の連合国家だが、この中にもくすぶっている(独立したいと思っている)部族,確かスマトラ島北部アチュ州の部族がある。最近政府と和平条約を結んだようだ。東チモールは既に独立した。最近の報道によるとインドネシア政府は、パプア島のパプア州にも自治を与える決定をしたそうだ。先の大戦の頃は、ニューギニア島だ。こちらの方が日本では有名かもね。オーストラリア軍と戦った地である。サンゴ礁海戦はこの島の東部の海域で日米が死闘を演じた場所だ。該当の自治政府はこれで石油収入の8割を利用できることになる。資源ナショナリズムが分離独立運動の動機になっている構図が見えるであろう。
 イラク在住のクルド族(人)もそうだ。この民族は1988年毒ガス攻撃で多数(5000人位という)殺害された訳だからサダム・フセインによる人権蹂躙どころの騒ぎではない。などがすく浮かんでくる該当国である。このとき西側は,変な奴だが,敵イランの敵イラクは味方という理屈でこの殺害を黙認したのだ。いやはや恐れ入るよ。これが国際政治の現実だ。
 まだまだ地球上には虐げられている民族が多数いるから争い、戦争の種は尽きていないと言えよう。
 >索引に戻る

アフガン干渉戦史とアルカーイダの秘密
 この国はもとは国王が東西等距離外交をしていて何の問題もなかった。共産政権ができ国王を国外追放してから国内がおかしくなったのである。列強の生き残り組の干渉を招いた共産党は罪作りなことをしたものだということであろう。いかに理想を掲げても、「結果が悪ければ」、「悪い」と、言われるし、犯罪ともなるだろう。
 1979年12月ソ連が共産政権を支援するためのアフガニスタンに侵攻したことから全ては始まる。この頃イランでのイスラム革命が起こり、パーレビ国王は国外追放となる。まもなく亡命先からイスラム教シーア派の最高指導者ホメイニ師がイランに帰国する。やがてイランでイスラム革命が起こる。政治の最高指導者もこの権威の前に服すのであるから、現代における神政政治復活の意味がある。この影響を受けてアフガニスタン各地で反ソ連のイスラムのゲリラ活動が活発になるのである。
 対ソ連の視点からアメリカのレーガン大統領はアフガンゲリラであるタリバンを援助し、目標をレーダーで追尾する高性能なスティンガーミサイルなどの軍事物資を供与すると共に、技術者等の軍事顧問団を現地へ送って指導したのである。これを使って彼らは米人技術者の前でソ連の軍事ヘリコプターを撃墜するまでに腕を上げていくのである。また、パキスタンからは戦車などの軍事物資をふんだんに供給された。パキスタン北西部に在住するパシュトゥンは、アフガニスタンの多数を占めるパシュトゥン人と同じ民族で、彼らには国境は元々無かったのだ。現有国境はかつてここを植民地として支配したイギリスが勝手に引いたと、彼らは考えているのである。またインドと対立するパキスタンにとって、後背地のアフガニスタンは死活的に重要な位置を占めていることが分かる。でパキスタンは彼らタリバンをこれ幸いと積極的に人も金も軍事物資もつぎ込んだのだ。であるから、運命の日の後、その子飼いのタリバンを攻撃することに手を貸すことをアメリカから要求された時、これに同意することは、正に断腸の思いであったろうことは想像に難くない。ちょうど家康にとっての信忠・築山御前であろう。制裁をしていて、よく要求すると思うよ。『要求に応じなければ、つぶす』と、きっとアメリカはパキスタンのムシャラフ大統領を脅したのだと思うよ、信長のようにね。脅すのはアメリカの得意中の得意だからね。自国の思い通りにさせることは、戦争に勝つことに同じなのだ。こうやって屈服させることは最も安上がりな戦争なのだ。自分は血を流さず相手にだけ血を流すことを強いることができるのだからね。なんとずる賢いやり方だろう。ちょうど、自分は手を汚さず、脅した者に「あいつを殺せ」と冷ややかに命じた者がいたが、実に手口が似ていよう。国際政治とはこんな物なのだろうか。おまけにこの政権がつぶれた後のシナリオまで考えているアメリカは、いわばやくざの親分だな。アメリカに同意することは、これに反対する人々が多いパキスタンではいつ大統領暗殺が起こって政権が崩壊したっておかしくない。それを承知であえて要求するのであるから非情な世界だ。
 話を戻すが、この後全世界からイスラム義勇兵が集まるのであるが、その中にオサマ=ビンラーディンもいたのである。彼はイスラムに敵対するソ連との戦いとして、サウジアラビアの王族が代表して、オサマ=ビンラーディンを送ったのである。豊かな生活を捨て貧しいアフガンに義勇兵として行った彼は尊敬されたのである。
 アフガンに渡った彼は、ペシャワールにある神学校でイスラムの教えを学ぶのである。ここでは、イスラムの敵と戦うことは聖戦(ジハード)であることをアッザーム師から学ぶのであった。アルカーイダの最高幹部の一人であるアイマンザワヒリ氏もエジプトから来た義勇兵である。今、イスラム教徒で彼を知る者は彼を「敬虔なイスラム教徒」と、評するのである。立場が変われば見方も変わるのである。
 1989年100万人のアフガン人の犠牲者を出してソ連はアフガニスタンから撤退する。同時にアメリカもアフガニスタンに興味を失う。敵がいなくなれば用はないという訳だ。戦場になったアフガニスタンは荒廃しているであろうにだ。復興に手を貸すことをしなかったのだ。破壊には手を貸したが。彼らが怒るのはもっともと言えはしないか。大国はつくづく勝手なものだと思うよ。もっとも今になってアメリカはこのことを反省してはいるが。もっと早く気づいて欲しかったですね。この頃のアメリカはソ連という敵がいなくなって、やっと枕を高くして眠れると、内向き、つまり自国優先になって外に余り注意を払わなくなったのだ。アジアの通貨危機もこの流れの中で起こった。アメリカの基準を国際標準として、すべからく押し付けていったのだ。
この戦いを通して、彼ら義勇兵は超大国を破ったのだと、自信を持つようになる。アメリカに援助してはもらったが。
アッザーム師が殺害された後、ビンラーディンが義勇兵の指導者に選ばれる。ビンラーディンは義勇兵を把握するために兵の動きを記録することにしたのである。この記録をアルカーイダと言ったのだ。この名がその後この組織の名称となる訳だ。
 一方、エジプトはイスラエルと平和条約を結ぶことになる。イラン人イスラムブーリは平和条約を結んだエジプトのサダト大統領をアラブに対する裏切りとしこれを暗殺する。このテロをイランはジハードと言うのだ。これも我々から見ればテロであろう。が、彼らにはジハードなのだ。同様に、サダト大統領をイスラムに対する裏切りと、ビンラーディンも見るのである。狂信的(急進的でもいいが)なイスラム教徒の思いは同様のようだ。彼ら義勇兵はアフガンから故郷の各国へ戻った。湾岸戦争では、イラクは我らが始末すると言ったのだが、アメリカは、これを無視し、聖地メッカのあるアラビア半島に異教徒の軍隊を駐留して、『砂漠の嵐作戦』は実行された。ブッシュ大統領は勝ちはしたが、大量のイラク国民を誤爆と称して殺害したようだ。ビンラーディンが言うには、その数は100万人に上るという。実際の所はどうであったか。当時10万人と言われていたのだが、戦後、戦争が原因で死んだものを含めて100万と言っているのだ、これには子供の餓死者を含む。この責任はもともとフセインがクウェートを攻めたからだが。このクウェートもイラクにしてみれば、自分たちの土地からアメリカが石油の利権を確保するためにもぎ取ったと見ているのだから利害の調整は難しいと言うほかない。事実はその通りであろう。が、現実の重みはそれを超えるものがあるのも事実だ。だから戦争になるのであろう。昔のことを言えばアメリカも、カナダも、オーストラリアも、ニュージーランドも国を失うことになるからね。彼らはとても認められないであろう。勿論、イスラエルもだ。更にさかのぼればイギリスだって。
が、アメリカに対するジハードを叫ぶ彼らはアメリカと友好関係にあるサウド家(サウジアラビアの王家)にとって彼の存在は危険であるから、英雄として迎えられなかったばかりか、彼らを政府は危険視するようになるのは自然の成り行きというものだった。やがて、ビンラーディンは国外追放となる。国を追われた彼は1991年スーダンに行く。ここでは英雄として迎えられた。土木工事などの事業をして彼は成功するのである。成功して財を成した彼はアフガンで共に戦った仲間を呼び寄せ、テロリストとして訓練することになるのである。
 1993年世界貿易センタービル爆破事件を起こす。この頃、アフガンで内戦が始まる。パキスタンのイスラム神学校で学んだ彼らは国に帰りタリバンを名乗り内戦に突入してゆくのである。1996年タリバンはカブール占拠、瞬く間にアフガニスタンの大部分を掌握し、アフガン人に歓迎される。麻薬はなくなり、治安も良くなり、道路もきれいになった。タリバンは、どこかの議員とは違い、賄賂を貰わず、正直な人たちだった。で、民衆に支持されたわけだ。
 こんな中パイプライン建設のため米国のユノカル社はタリバンに接近するのである。タリバンの兵士に実務を教えた(グッテエヤー米大学教授の話)。タリバンの兵士や政治担当者は神学校でコーランを学んだだけで、使用人をやった経験くらいしかなく一般教養は無く行政は何も分からなかった。先の事件が原因でスーダンを追われたビンラーディンは、アフガニスタンにつてを頼って来る。土木工事をしながらテロの拠点を作る。聖地メッカのある地からから来た教養のあるビンラーデンをはじめアルカーイダのメンバーが宗教の指導的立場に立つのは自然の成り行きであった。尊敬の的だったのだ。
 1998年2月ビンラーディンは「米国人の殺害はイスラム人の義務」と、宣言。ここから本格的な対米テロが始まるのである。
アルカーイダの組織はケニア、タンザニアにある米大使館を爆破する。このテロで200人以上が死亡。これに対し、アメリカは対ソ連のために自国の援助で作った拠点を巡航ミサイル「トマホーク」で攻撃した。国連は制裁を実施し、600万のアフガン人が危機に陥る。このままでは大量の餓死者がでるので、タリバンはビンラーデインを管理下においているとして、各国に援助を求めた。1999年8月 オマル師邸で爆破事件が起こった。2001年3月 国際社会の制裁への報復として、世界遺産であるバーミヤンの仏像遺跡を異教徒のものだということで、これを破壊する。現在タリバンを率いるオマル師とアルカーイダを率いるビンラーディンは盟友関係にある。姻戚関係でもあるようだ。だから渡すわけはないのだ。
 >索引に戻る

恐怖のシナリオ
2001年9月11日 運命の日
2001年9月30日 頃爆撃開始
2001年10月 日 細菌テロ発生
2002年 1月8日 「ノブル作戦」アフガン空爆終結。ビンラーディン補足を逃れる
200X0年Y0月Z0日 アフガン暫定統治機構崩壊、内戦の再開。
200X1年Y1月Z1日 アフガン人・米兵士とも多数の死者を数える
200X2年Y2月Z2日 第2次テロ撲滅作戦、ソマリア戦開始。
200X3年Y3月Z3日 パキスタン、ムシャラフ大統領暗殺される。どこまで持つか。時間の問題との見方もあろう。平和条約を結んだだけでもサダトは暗殺されているのだ。
200X4年Y4月Z4日 パキスタンの核施設をタリバンが制圧する(同国の軍内にタリバンの支持者はいるから大統領が暗殺されれば、たがが外れ事は一気に進むであろう)。
200X5年Y5月Z5日 直ちに米軍は奪還に向かうが、反米感情の極み中で不成功に終わる。対米感情が良好なら成功する確率は高くなる(民衆の支持が期待できる)が、この状況では極めて不利となろう。
200X6年Y6月Z6日 アメリカで核汚染物質による「核テロ」が発生する。なにも核兵器である必要はない、少量の核物質があれば「核テロ」は実行できよう。被害は、量によっては、チェリノブイリのように半径400kmの範囲を汚染することもできよう。ちょっと臨界に達しただけでも東海村は記憶に新しいであろう。
200X7年Y7月Z7日 アメリカは戦術核兵器の使用について各国の同意を取り付ける働きかけをするが、イスラム諸国は断固反対する。また、これまで支持してきた国もこれには反対となり。米英は孤立する。
200X8年Y8月Z8日 絶対負けられないアメリカはアフガニスタン、パキスタンに対し戦術核兵器の使用に踏み切る。イスラム人多数の死者が発生する。アメリカはこの前に劣化ウラン弾を使用するかもね。その効果は湾岸戦争の自国兵士で実証済みだから。このときは自国の兵士もやられたが、今度はへまをしないだろう。より性能をアップして登場しよう。
200X9年Y9月Z9日 世界各地のイスラム教指導者は対米ジハードを宣言する。こうなると、以下は自然の成り行きでしょう。
200X10年Y10月Z10日 全世界のイスラム教徒はこれをうけて準備に入る。
200X11年Y11月Z11日 全世界のイスラム教徒は事実上反米闘争を開始する。
200X12年Y12月Z12日 米軍内にひそかに潜入していたイスラムがアメリカの核をジャックする。直ちに起爆装置を改装してニューヨーク・ワシントンに向けて発射する。これは、アフガン・パキスタンへの報復だとして。誰がイスラム教徒かは実は、黙っていれば分からぬであろう。心の中までは覗けないのであるから。
200X12年Y13月Z13日 アメリカの中枢は麻痺し全世界が大混乱となっていく

という展開になるのは恐怖だ。現在の所、細菌テロは関係ない模様だが真実の程は不明。最新の情報では炭素菌の種類から米国が開発したもののようで元米軍関係者が関与しているようだ。いったいこの国はどうなっているのであろうか。自国で開発した炭疽菌を自国民に対して使用するなんて、アメリカは病んでいる。病巣の根は深いと言わねばなるまい。アメリカの脅威は、パキスタンの核が奪われることのようだ。現政権が崩壊すれば、アメリカは核の確保に動くことになっているが、はなはだ身勝手とも見えるが、自国防衛のためやむを得ない結論と考えているようだ。上のシナリオを考えればこれは自衛の為の行動ということになるであろう。我々は同盟国アメリカの側に立っていることとは思うが。無論、アメリカの描いたシナリオ通りに事が進む保証はない。この後の展開は目が離せないであろう。世界が核テロにあう恐れもあるのであるから。シナリオの早い段階で終結させねばなるまい。
 >索引に戻る

イージス艦こんごうの性能(16.1.13一部訂正)
こんごう(H5)はイ−ジス艦第一番艦。他に姉妹艦、きりしま(H6)、みょうこう(H8)、鳥海(H10)がある。( )内は整備年度(出典はJ、平成7年7月20日現在と最近の報道)。いずれも艦名は山の名である。このクラスは艦の中で最大級なので海に浮かぶ山になぞらえたのだろう。こんごうの名は朝鮮(北)の金剛山(1638m、朝鮮名クムカン山)から取られた戦前の戦艦『金剛』に由来する。海自最大の強力な護衛艦である。米海軍が開発した艦である。その概要は、イージスシステム(目標の捜索・探知、情報処理、撃破までコンピュータで自動処理する対空ミサイルシステム)を搭載。NHK報道では500km以上をカバーすると。NHKは軍事機密などという考えが無いのであろう,性能を明らかにしすぎると身を危険にするのだという考えが無い。『馬鹿か』と言いたいね(H14.12)。対空ミサイルSM-2MR(慣性誘導+アクティブホーミング、射程160km以上)、を74発搭載。同時に12目標(16.1.13確認の海自HPでは15目標)に対処できる。主要兵装:イージス装置(VLS=90セル)一式、CIWS20mm機関砲×2、対艦ミサイルハープーン発射機×2基、対潜ロケット、アスロック発射装置一式(16発)。3連装魚雷発射管×2、搭載砲:OTOメララ127mm単装速射砲(45発/分,最大射程2万3千m以上、砲弾の装填から発射まで自動、砲塔内無人の優れ物)、電波探知妨害装置一式、対潜情報処理装置一式。イージスとはギリシャ神話の最高神ゼウスが娘アテナに与えた、一切の邪悪を追い払う楯の名に由来する。
基準排水量・7250t、長さ・161m、幅・21.0m、深さ・12.0m、船型・平甲板型、動力・ガスタービン4基2軸10万馬力、速力・30Kt、乗員・310名
 >引用に戻る