Salad days 〜悪ガキ2名の友情〜
慈音=玲音
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 「また、あんた達かい!」

 生徒たちの“お母ちゃん”的存在の保健医カドワキの声が保健室の外まで響いていた。

 「いいかげんにしとくれよ。ガーゼ、消毒薬、抗生剤入りの軟膏…あんた達のこづかいから

ひかせてもらおうかね、まったく…」

 テキパキとキズの治療をしながらカドワキは、そばで手伝うキスティスと顔を見合わせてニヤリと笑った。

 「いてっ、うるせぇな…だから俺はいいって言ったんだ。なのに、おせっかいキスティスがっ!」

 金色の短い髪の少年は、顎を押さえつけられ口のはじっこを消毒されながらキスティスをにらみ付けた。

 「だってサイファー、唇切れてるんだもの…」

 キスティスはにらまれても少しも動じない。

 「はい、つぎ、スコール」

 診察用のイスからさっさと逃げ出したサイファーの代わりにそこへ座らされたのは、薄茶色の髪の

華奢な少年だった。目の横に大きな擦過傷…。

 カドワキは手際よく治療を続けながら、2人に話しかける。

 「サイファー、あんたいくつになった…?」

 「……14だぜ、知ってんだろ」

 ベットに大の字になって答える。

 「…スコールはっ?」

 「…………13」

 2人とも思いっきりふてくされている。

 スコールの顔にガーゼを貼りつけ、血のついた脱脂綿を片付けるとカドワキは、大の字のサイファーと、

診療用イスのスコールとの間に腰掛けた。

 「13と14なら、そろそろ子供みたいな取っ組み合いのケンカはやめたらどうだい…。…まったく2人とも、

せっかくきれいな顔に生んでもらったのに、毎日キズをこしらえて…」

 「…俺を生んだヤツなんか知らねぇぜ」

 「……俺も」

 「ハッ…こんな時ばっかり意気投合するんじゃないよ。……それより、SeeD候補に選ばれたんだろ…2人とも」

 「…………」

 「…………」

 「…SeeDになりたきゃ、もっと精神的に大人になるんだねっ」

 「…………」

 「…………」

 「…くだらないケンカはおよしよ」

 「…………」

 「…………」

 「……武器は何にするんだい?」

 「ガンブレード!」

 「ガンブレード!」

 意気揚々と2人が同時に答えたので、カドワキはぷっとふきだしてしまった。

 「ホラ、もう行きな、授業が始まるだろ…キスティスも…」

 笑いながら3人を追い出す。…生意気な口をきいても、まだ無邪気さのかけらが残る3人はかわいい

ものだった。



 「先生…こいつ診てやってくれませんか…」

 追い出した悪ガキ2名+キスティスと入れかわりに、1人の生徒が友達に抱えられて入ってきた。

 「どうしたんだい?…顔色が悪いね。…そこへ寝てごらん」

 処置用のベットに促す。

 「…腹を殴られて……」

 「誰に?」

 「……ニヒト」

 カドワキの表情が厳しくなる。

 「…ニヒトにやられたのかい?」

 「そうなんです。なんか言いがかりをつけてきて、それでコイツだけ…」

 連れて来た友達が興奮してカドワキに訴えた。

 「…わかったよ。話はあとで詳しく聞かせてもらうよ。…この子は様子を見てから帰すから、担当の教官に

言っておいておくれ」

 「わかりました」

 友達は心配そうな表情で出て行った。

 ニヒトはサイファーより3つ年上のSeeD候補生だが、しょっ中、暴力沙汰を起こしている生徒だ。

 しかし、表向きは非常にまじめで彼が暴力を振るうとは知らない生徒も多い。

 隠れた場所でお腹やわき腹など、見えないところを殴るという悪質なやり方で、見えるところに証拠を残さない。

 仕返しが怖くて、被害を受けても言い出せない生徒も多く、教官たちも頭を悩ませていた。

 「あの生徒はねぇ…サイファーやスコールと違って、たちが悪いから…」

 カドワキは大きくため息をついていた。