| ♪ |
| 3度目のKISS |
| 慈音=玲音 |
![]() |
|
パーティー会場に、シド学園長の声が響いていた。 「・・・・・・それでは、ありきたりですがお二人の婚約を祝して・・・乾杯!!」 「乾杯!!」 あちこちでグラスの音が鳴り響く。 シド学園長も、横にいるイデアと笑顔でグラスを合わせた。 イデアに促されて主役の二人は列席者を1人1人挨拶してまわる。 「おめでとー。スコール、リノア!」 口々にささやかれる言葉を聞きながら、少し離れた場所でキスティスたちはそれを眺めていた。 あれから5年。ガーデンの再建に全力を注いでいた6人、スコール、リノア、セルフィー、アーヴァイン、ゼル、キスティスは、二十歳を 越えていた。 「22歳どうしかぁ・・・。わっかいねぇ」 立食テーブルの花をひとつ抜いてアーヴァインの胸ポッケに挿しながらセルフィーが言う。 「いいんじゃないのぉ。二人の気持ちは固まってるんだし・・・」 アーヴァインも負けずにテーブル花をセルフィーの髪に挿しながら言う。 食事をほおばりながら、ゼルはあきれた顔でそんな2人を 眺める。 「ふふっ、そう言うセルフィーたちだって、トラビアガーデン1のラブラブ教官だってウワサが聞こえますけどォ」 キスティスがちょっと意地悪く言うと、セルフィーはぺロッと舌を出して笑った。 再建したトラビアガーデンが優秀な教官を欲しがっていた。 教官の資格を取ったばかりのセルフィーとアーヴァインは、即、立候補 してトラビアに移っていった。 ・・・それが3年前。 2人とも、経験と持ち前の明るさを生かしてトラビアガーデンを盛り立てていた。 最初に教官試験に合格したスコールを追いかけるように、翌年ゼルが教官になり、年少クラスを中心に教えている。 そして2年前 キスティスも、再び教官になる決意をし、試験に合格した。 今度こそ、“半人前”なんて言われないように、前にも増して力が入って いる。 「あ〜あ、シュウ先輩の所でつかまってるよ」 「ここのテーブルに来るまでに時間がかかりそうだねぇ・・・」 先輩達にからかわれて照れまくる2人をぼーっと眺めていると、目の前を大きな男がふさいだ。 「キスティス、サイファー見なかったか?」 雷神である。風神も一緒だ。 「・・・私はまだ、見てないけど・・・」 「ね、サイファーも来てるの? ひっさしぶり〜」 セルフィーがはしゃぐ。 が、雷神が顔の前で手を横に振る。 「まだ来てないもんよ」 ゼルやアーヴァインも会場を見まわす。 「でも、あなたたち連絡はしたんでしょう?」 「未確認・・・」 風神が首を横に振る。 「招待状は送ったもんよ。 でも返事なかったもんよ」 キスティスは小さくため息をついて会場を見まわす、・・・がそれらしい人間はいない。 「・・・・・・探!」 「じゃ、俺たち探しに行くもんよ」 そう言うと風神と雷神は会場を出ていった。 (・・・サイファー、来てないのね) がっかりしたような、ほっとしたような気持ちになる。 「そういえば、サイファーって今ドールにいるんだってぇ?」 アーヴァインがゼルに聞く。 「ああ、そうらしいな・・・」 「ドールで、何してるの〜?」 ゼルは、口に入れたものをゴクリと飲みこむと、チラっとキスティスを見る。 キスティスのほうが詳しく知っているからだ。 「ん・・・学園長に聞いたんだけど、大きな病院で働いているらしいの」 「びょーいん??」 「・・・ええ、医療物資を各病棟のナースステーションに届ける仕事だって言ってたわ・・・、点滴液とかガーゼとか・・・」 「なんでまたドールに行っちゃったわけ〜?」 「んん・・・学園長が紹介したって聞いてるけど・・・」 「やっぱり、居づらかったんじゃねーか? いろいろあったし・・・」 「そぉっか〜」 セルフィーとアーヴァインは妙に納得する。 「でも、ガラスびんが1ケースとか、けっこう体力使うから、サイファーには向いているみたい・・・・・・まじめに働いているって 学園長が・・・」 キスティスはそう言うと、人波のむこうに赤いものがチラチラと動くのに気がついた。 「・・・・・・?」 (・・・・・・バラ?・・・の・・・花束?) 一瞬、会場がザワザワっとなる。 「あ〜〜っ サイファーだ!」 セルフィーが叫んでゆびさす方向には、真っ赤なバラの花束を肩にかついで、まるで “俺が主役だ” と言わんばかりの 存在感でサイファーが立っている。 会場を見まわしてリノアを見つけると、その大きな花束を差し出した。 「キッザ〜〜〜」 と、ゼル。 「リノア、うれしそ〜」 と、アーヴァイン。 「スコール、悔しそう〜」 と、セルフィー。 相変わらずな登場の仕方をしたサイファーだが、どこか違っていた。 以前のように、つっかかった感じはなく、 素直に二人を祝福しているようだった。 彼らのやりとりを眺めながら、セルフィーがポツリと言った。 「なんかさー、サイファー、すっかり大人になっちゃったね〜」 「ああ、なんか落ちついたな」 「この5年でさぁ、一番変わったのサイファーかもね〜」 「でも、中身はどうかしらねぇ・・・」 そんなことを言っていると、ふとサイファーと目が合う。 こちらに気づいたようだ。 片手をあげて挨拶をする。 (・・・・・・トクン) キスティスは心臓がひとつ大きく鳴るのを感じた。 |
| ◆ ◆ ◆ |
|
パーティーが終ってからも、久々の再会に盛り上がっていたので、キスティスたちはバラムホテルのラウンジで、パーティーの つづきをやっていた。 早々に酔いつぶれたゼルを連れて、主役の二人が帰ったあとも、キスティスはセルフィー、アーヴァインと飲みつづけていた。 「やっぱり2人がいなくなって寂しいわ、私もトラビアに行っちゃおうかしら・・・」 「おいでよ〜、キスティス〜」 「ふふふ・・・雇ってくれるかしら・・・?」 そう言って、またグラスを空にする。 「ねぇ、キスティス、大丈夫? ・・・けっこう飲んだよ〜」 「そう? 平気よ、まだ意識もはっきり・・・」 と、となりに誰か座った。 「・・・いや、相当飲んでるぜ、・・・先生」 低めのハスキーボイスがささやく。 「・・・・・・サイファー」 |