神奈川県出身のK.Sさんから以下のような体験談をお寄せいただいたのでご紹介いたします。
神奈川県秦野市のヤビツ峠は以前から『チョットヤバイ場所』として、地元民の間では有名な場所でした。
当時、私は高校2年生(今からざっと20年前です)秋(10月)の中間テストの頃でした。
夜中勉強に煮詰まって気分転換のためにバイクに乗ってヤビツ峠への山道へ行きました。
この道は車2台がやっとすれ違えるくらいの幅でもちろん街燈はありません。
昼間は見通しが悪く飛ばすのは危険なのですが、夜は対向車のライトが見えなければノープロブレムということで、地元の高校生にとってはコーナーリングの腕を磨くのにちょうどいい場所なのです。
さて、その夜も私は『俺は秦野のケニーロバーツだ』とか言いながら、コーナーをガンガン攻めてました。
そして、ふと気付くとバックミラーに自動車のものと思われるヘッドライトが写ってました。(後から考えると妙なのですが、車の本体ではなく、ライトが照らす影が写っていたのです。)
その道は深夜になると東海大や神奈川大の学生がラリーの練習に来ることで有名だったので私は『大学生の車になんか負けられない』といっそうアクセルを開けたのです。
何しろ、コーナーの巻込み方から路面の凹凸まで全部頭に入っている道ですから、かなりのペースが出せます。
しばらくして300M位の直線にでると後続車は無し! いい気分で次のコーナーを立ち上がると・・またバックミラーにライトの影が・・『このヤロ』と思ってアクセルを開けようとしたときに気付きました。
『あの車、この狭い道をいったいどんなスピードで走ってきたのだろうか?』と・・そう、車1.5台分位しか幅のない山道を約300Mも5〜6秒で走り抜けてきたことになります。
ゾ〜っと鳥肌が立ったので、さらにハイペースでコーナー群を抜け「菜の花台」のコーナーで後続車を待つことにしました。が、いっこうに車がやって来る気配はなかったのです。
『確かに自分は車のライトが照らす道端の草の影を何度も確認したのに・・』と思うといてもたってもいられずUターンをして、道を下り始めました。
麓の道幅が広くなる場所まで降りる間に車一台はおろか、人にも会いませんでした。
ほとんどパニック状態になった私は、家へ飛んで帰ると勉強を放り出して寝てしまいました。
しかし、話はこれで終わらなかったのです。
翌日、学校へ行こうとした私は母親に『熱でもあるんじゃない?顏が真っ赤だよ』と言われビックリしました。
というのは、確かに身体は熱いけど、ちょうど運動をした後の様な感じで、熱があるときの悪寒がまったくなかったからです。
でも、半信半疑で取り出した体温計は38℃を示していました。
とりあえず、学校を休むことにして家で寝てました。
部屋の布団の中でウトウトしていると、勝手口をガラガラと開ける音がして誰かが家の中へ入ってきました。
その勝手口は母親が仕事へ行くときに中から鍵をかけたハズなのですが・・(しかもその戸は鍵が壊れていて、外からは開けられないはずなのです)
『お袋のやつ、まったくしょうがないな』と思って起き上がろうとしたら・・金縛りでした・・いまだかつて、あんなに意識がはっきりした状態での金縛りには出会ったことがないのですが、とにかく布団の中でうめいていると、その侵入者は廊下を歩いて私の部屋へやって来るではないですか。
しかも、家族の誰でもない足音をたてて・・私は泥棒だと思ったのですが、何しろ身体が動きません。
そうこうするうちに、その侵入者は私の部屋のドアを開けて、ス〜っと中へ入ってきました。
そして、ジ〜っと私を見下ろしている気配がアリアリと伝わってくるのです。
30年以上も生きてきてこんなに怖かったことはありません。
私は必死でもがき、ようやく金縛りから開放されたのですが、その時には人の気配は跡形もなく消えてました。
もちろん勝手口の鍵が掛かっているのを確かめたのは言うまでもありません。
『夢にしてはリアル過ぎる』! とても落ち着いて布団に入っていられる状態ではなかったのですが、母親にもらった解熱剤のためか、その出来事から数時間後、私はまたウトウトとしていました。
すると、またガラガラと勝手口の開く音がするではないですか・・その後は・・先程と同じ事が起こりました。しかし、違ったのは金縛りが解けた瞬間、私の傍らには青いワンピースを着た22〜4才位の女の人が立っていたのです。
私は、それまでこの類いの話をまったく信じていませんでした。
その後、数ヶ月にわたって私は同じ夢を見る羽目になったのです。
場所は決まってあの峠道自分は、車の助手席に座っています。
隣で運転しているのはたぶん若い男の人。そして、車は猛スピードで山道を上っていきます。
『この先のコーナーはこのスピードじゃ曲がれない!!』と思った瞬間、車はガードレールを突き抜けてガケ下へ・・秦野の街と空が2〜3回入れ替わった後、私は空中4M位の所に立っていて、逆さまになった車と投げ出されてうつぶせに倒れた女の人を見下ろしているのです。(青いワンピースの女の人はそこにいました)
その後彼女は、もう一度私の前へ現れて以後、この夢とともに私のもとから去って行きました。
後日、友人達にこの話をすると(笑ってバカにされるのが落ちだなと思ったのですが)皆は『やっぱり』と言って次々に「オッカナカッタコト」を話しだしました。
いくつかの、話の中で共通しているのは
・「菜の花台」を夜通ると目の前を人が通る。
・車のライトが追いかけてくるが、車体は見えない。
・「菜の花台」の展望台に深夜女の人が腰掛けている。
と言うものでした。
一人の友人は、夕方その展望台に彼女を連れていって、彼女が『女の人がいる』といって、動けなくなったとも言っていました。
私のお話は以上です。あれ以来、何度帰省しても夜の「菜の花台」へは行っていません。
(その道をさらにのぼった先に、おいしくて有名なわき水のでる場所があるのですが)"こんな長い話どうすんだよ〜"というkocyunさんの声が聞こえてきそうなのですが・・私たち(当時の友人達も含めて)は、今でも『あれはいったい何だったのだろう』と思ってます。