続々・スキーでの話


さて,今回も玉原スキー場に行った際のお話です。
で,玉原でのお話も今回で最終回です。残念?ホッとした?
前回,前々回とお話しましたように,行きもスキー中もイベントがありましたから,帰りはもう何もないだろうと思うでしょ?
でも,これまた,あったんだなぁ。

今回の玉原スキーは日帰りだったので,朝から夕方まで滑りつづけ,もう日が暮れるというころに車に戻り,帰る仕度を始めました。
ほとんどのスキーヤー達は,すでに,家や宿に向けて行動を開始したようで,駐車場は閑散としています。
そんな中,道路上の雪もすっかり溶けてなくなっているので,チェーンを外し始めました。
そこへ,またまた,知らない青年が登場。チェーン装着編の青年とは別人です。念のため。
「すいません」と声をかけてくる青年。
「今度は,なんじゃいな?」と思いつつも「どうかしましたか?」とやさしく答える私。
青年曰く,夜間に駐車場についたために,車内で夜を明かしたとのこと。
その際,寒いのでヒーター&エンジンをつけたままで寝ていたところ,朝になってみて気がついたら,燃料残量の警告灯が点いており,燃料があとどの位入っているか分からないので,最寄のガソリンスタンドまで辿り着けるかどうか心配なので,ガソリンを分けてくれと言うではないか。
ガソリンが惜しい訳ではないが,「どうやって,分けたらいいの?分けようがないじゃない。」と言うと,「大丈夫,ポンプがありますから」と青年。
「ポンプがあるって・・・」ちょっと,唖然とする私。「なんか,道具があるならいいけど・・・」と私。
それを聞くと青年は喜び,戻って自分の車を私の車の横に移動させた。
そして,トランクより取りだしたるポンプとは,「石油ポンプ」だ!
あのドクター中松が発明したというポンプ,正式名称は「醤油チュパチュパ」だったかな?
まぁ,石油ストーブの燃料補給の際に使う手動式のポンプと言った方が分かり易いかな。
青年よ何故にそんなものを持っているのだ?そんなものを準備しておくくらいなら,山道に入る前にガソリンスタンドに入って,燃料タンクを満タンにしておけ・・・
ま,まさか青年。おぬしは,普段燃料ドロボーしているのでは・・・
と色々思う私であった。
無事に燃料を分け終わると,青年はお礼を言って,千円札一枚をおいていった。
一万円位ふんだくってやろうかとも思ったが,一緒に来ていた友達に悪人と思われたくなかったのでやめておいた。(笑)

少し離れた所へ車を移動させた青年の車に女性2人が着替えを済ませて戻ってきたようだ。
どうやら,男1人に女2人で来ていたようだ。
こちらも帰りの仕度を済ませ,さぁ帰ろうかという時に,その女性二人が駆け寄ってきた。
お礼でも,言いに来たのかな?と思っていると,先ほどのお礼にと,缶コーヒーを差し出してきた。
おおっ!気がきくねぇ。チェーンを外す作業で,手が冷え切っちゃったもんね。
こんな時に暖かい缶コーヒーは最高だね。マヌケな青年とは大違いだ。
と思いながら,女性からその缶コーヒーを友達と同時に受け取った。
受け取った瞬間,思わず私達は顔を見合わせた。
「冷たい・・・」言葉にこそ出さなかったが,二人はそう思っていた。
2人の女性は,申し訳なさそうに「自動販売機であたたかいのを選んだんですけど・・・」とうつむきかげんだ。
どうやら,悪気はないらしい。
スキー場の営業時間も過ぎているので,明日用にと係員が商品を補充した直後に買ってきたのだろう。
「い,いいんですよ」と答える私の顔が,ちびまる子ちゃんが気まずい時にする縦線入りの表情と同じ顔になっていたことは容易に想像できた。
お・わ・り