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地球と人間のふしぎ
 E花粉の飛散と気象の関係
  杉花粉は雄花の中で誕生します。その雄花は7月の初め頃から作られ始めますが,この時期に日照りが続き,雨が少ないと沢山雄花ができることになります。
 花粉症の最近の研究    

 2000年は2月上旬からで、花粉量は多い可能性が高い

 花粉飛散量は前年の夏の気候と関係がある
  「今年の花粉飛散量は例年に比べて・・・?」
 花粉をつける雄花は7月のはじめ頃から作られ10月頃に完成します。したがって,この期間の気象状態や前年の天候とと雄花の形成には極めて深い関係があることが東京医科歯科大学などで調査されています。
 例えば,前年の降水量が多く日射量が少ないほど、翌年花粉は少なくなります。これをおおまかにとらえれば,前年の梅雨期から秋にかけて雨が多く,梅雨の期間が長かったり,よく分からなかったりした時は,花粉の生産量は少ないということが予測できます。1998年の7月から10月は,雨が多く、この傾向から考えると,花粉症に悩むわれわれにとってはホッとする「1999年春の花粉飛散量は少ない」ということになりました。
 2000年はどうか、1999年夏は、降水量は7月は342(平年126)ミリ,8月は301(平年147.5)ミリで共に平年の3倍もの雨が降りました。では、日射量が少ないかというとそうではなく、7,8月共に平年値より大きい7月平均16.3(平年13.9)、8月平均17.4(平年14.6)でした。降水量が平年より多かった理由は、熱帯低気圧などがやってきて1日で100ミリを超えるような雨が降ったこともあり、この期間が雲が多くてじめじめしていたという分けではありませんでした。これらのことから降水量が多く日射量が少ないという条件にはあてはまらず、日射量が多いということから考えると「2000年の花粉飛散量は多いと考えた方がよさそう」です。


 1月の気温が高い年は、花粉が早く飛び始める。 (東京)
 さらに、花粉が飛散しはじめる時期についても統計があって,1月の気温が高い年は,花粉が早く飛び始めることが調べられています。これに基づいて考えてみますと,例えば1999年の東京の1月の毎日の最高気温の1ヶ月の積算値は333℃でした。これを、1月1日から何日目に花粉が飛散し始めるかという一次回帰式に当てはめると,2月10日頃から関東地方は花粉の飛散が始まることになります。2000年1月はどうかというと最高気温の積算値は325℃でした。2月5〜10日くらいには飛び始めるということになります。九州ではこれより10日位早く,東北・北陸では10〜20日位遅く,北海道では約1ヶ月遅くなります。

 こんな日は,気をつけて下さい
 花粉は,次のような気象条件が揃うと飛散量が増える傾向があります。めがねやマスクの着用も有効だと言うことですから,お気をつけ下さい。
1.晴れて気温が高い。
2.空気が乾燥していて風がやや強い。
3.雨が降った翌日に1,2の条件が整うと飛散量がさらに増えます。

 花粉と花粉症のふしぎ
 花粉は,風に乗って空中を漂い,やがて雌花の内部に入って雄細胞を作り,この雄細胞が卵核と合体して次代の植物のもととなり、周辺の保護組織とともに種子を作ることになります。このように花粉は雄のDNAを雌花に運び、子孫繁栄の役割をしているのです。杉花粉が沢山でるようになった背景に,建築に洋材が多く使われるようになり,杉林の手入れがあまりなされないことや,杉自身のわが子孫が最も多く残るようにというDNAの働きによって花粉が多く作られるようになってきたということも考えられます。
 一方,花粉症は,人体にとって異物である物質が体内に入ると,これを無力化して病気の発生を抑える物質(抗体)が作られます。この作用が過剰に起きる状態をアレルギーというわけですが,花粉症は花粉に対するアレルギー症状であるといえます。
 さて,花粉症ですが,ちょっと面白いデータがあります。平成7年に千葉県内で調べられたものですが,花粉症に感染して発症する人の割合が最も高い世代は20〜40才にあるということです。その年代から離れるほど発症率は低くなっていきます。60才以上では感染する人の割合も5分の1程度に減っているのです。どうしてなのでしょう。不思議ですね。
−おしまい−

□e−mail : cos_hn@silver.plala.or.jp       □GO BACK

KEN   花粉症の最近の研究   関東ローム層の赤土が促進?
 関東ローム層の赤土の微粒子が、スギ花粉症を促進する可能性が高いことを、日本自動車研究所(茨城県つくば市)、東京慈恵会医科大、大阪医科大の共同研究グループが、動物実験で確認した。スギ花粉症を促進する物質としてすでに指摘されているディーゼルエンジンの排気ガスと同程度の促進効果があると見られる。
 実験では、密閉した部屋に様々な物質を混ぜた空気を送り込みながら、約半年間、ハツカネズミを30匹ずつのグループに分けて飼育。スギ花粉症を起こす「スギ花粉IgE抗体」が、血液中にできるかどうか調べた。赤土は、関東地方に多い火山灰層「関東ローム層」の微粒子を使った。
 スギ花粉のみのグループで抗体ができたのは33%だった。これに対し、花粉と赤土を一緒に吸わせたグループでは63%、花粉とディーゼル排ガスでは73%にのぼった。いずれも「花粉のみ」に比べて高く、赤土とディーゼル排ガスがほぼ同程度の促進効果をもつことがわかった。
 研究グループの日本自動車研修所の前島一仁・主任研究員は「スギ花粉症は都市部に多い。道路沿いではディーゼル排ガスに加えて、車が巻き上げる土ぼこり中の赤土も発症要因の一つではないか」と話す。
 国立環境研究所の藤巻秀和・生体機能研究室長(免疫毒性学)は「空気に混ぜて吸わせる実験なので信頼性は高い。」関東フォーム層の土だけでなく、ほかの土や大気中の様々な微粒子について詳しく調べることが今後の課題だ」と話している。(朝日新聞 1999.7.1)
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