□fushigi3                                    RETURN    
地球と人間のふしぎ
 B天高く馬肥ゆる秋/紅葉
 秋の空は、一年中で一番青空がきれいな季節です。もっとも、工業地帯、都会のように車の工場などの排気ガスやこれらを基に二次的に発生する光化学スモッグなどが発生しなくなる年末から年始にかけてもきれいになりますが・・・。
 秋の空がなぜ青々として美しいか? それは、対流圏中・上層を流れる空気の帯、ジェット気流と関係があります。つまり、ジェット気流の周辺では、大気中の塵や煤煙が拡散されるため、空気が澄んできれいになります。このジェット気流は、偏西風とも呼ばれ、地球の周りを鉢巻きのように流れている西風ですが、これから冬に向かって風速が100メートルを超えることも珍しくありません。また、季節によって鉢巻きの位置が北に上がったり、南に下がったり位置が変わっています。秋は、北から南下してきたジェットの帯がちょうど日本付近にあります。ということは、中国大陸でも同じ緯度付近にジェット気流があるわけで、空の青さは、中国大陸でも同じだと言うことがいえます。「天高く馬肥ゆる秋」の「天高く」は、こうした季節を表しているのでしょうね。

 ところで天高く馬肥ゆる秋ですが、今日では、ダイエットの失敗の言い訳のように聞こえることもありますが、もとは中国のことわざで、随分昔のことでしょうが、中国では秋になると北西方の草原から異民族が馬で農作物を略奪にやってくることがあって、秋になって天が高くなった、北西方の民族の馬は沢山餌を食べて肥えて元気になっている。そろそろ侵入してくるかも知れない。防備を固めよう。というのが本来の意味のようです。

 さて、秋は行楽の季節。この季節の自然の営みといえば、代表的なのがわれわれの目を楽しませてくれる紅葉です。
植物の茎葉の表面の構造 紅葉はどうして起きるのでしょうか?
 これは、乾燥期(日本では秋から冬)に温度が下がってくると、落葉植物の茎に含まれている糖分が固まり、根などの貯蔵器官に養分を回収して、水分の蒸発を弱め、酵素の働きで紅葉すると言われています。この働きを植物内のクチクラ層というところがやっているようですが、この作用は、まさに天地自然の巧妙な仕組みの過程で起きていると思いませんか。
 別の見方をしますと、植物は、葉の
内側と乾いた葉の外側との水蒸気圧差によって、根から水を吸い上げ、二酸化炭素と太陽エネルギーによって気孔から酸素を排出します。しかし、冬季、気温が下がって氷点下になれば根から吸い上げた水分は凍結します。こうなると、細い枝の植物などは凍死してしまいます。実は、これを防ぐために、枝から水を抜き、糖分で栓をして根から水が上がってこないようにして、凍り付かないようにするのです。
 どうでしょうか。植物は、人間をはじめ、生物が生存する上で不可欠な酸素を供給してくれているのは、紛れもない事実ですが、これこそ、天地の神さまが用意されたものとしか言いようのない仕組みであると思いませんか。しかも、自らの葉を落として、冬を越えて春をじっと待つ、そのしばしの休息の前に見事に色づいて、私たちの目を楽しませてくれるのが紅葉であると考えると今は盛りの紅葉の観かたもまた違ってくるでしょう。

□GO BACK