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地球と人間のふしぎ
雨は、低気圧がくるから降るのではありません
  ましてや人を困らせようとして降ることはありません

 昔から今日までよく使われるお天気のことわざに「夕焼けは晴れ」というのがあります。太陽の光は、地表面に届くまでに地球を取り巻いている大気を通過します。そのとき、太陽の光が斜めに空気を通過すると青系統の光が散乱して赤色が人間の目に届きます。昼間のように真上から短い距離を通過すると赤系統の光が散乱するため青く見えます。夕方は太陽の光が大気圏を長く通過することになりますから、赤く見えることになります。また、水蒸気が少なく乾燥していると夕焼けは黄金色に輝いて見えます。このように西の空が赤く見えるということは、お天気が変わってくる西方の大気が水蒸気が少なく雲がないということですから、天気が予想できるというわけです。


北半球の気温分布
 さて、このような安定した大気の気温分布はどうなっているでしょう。上の図は、気象衛星を使って地表面や海面の気温を測定して分布図にしたものです。南北方向では、北が冷たく南暖かくなっています。障害物があまりなく、熱容量の大きい海の方が等値線は東西に平行走っています。これが、地球表面の温度としては普通の状態です。鉛直方向でも同じように理想的には、100メートルで約1℃(乾これは、乾燥空気の場合で、湿った空気の場合は0.6℃と言われていますが・・)低くなっていきす。
 ところが、何らかの原因で上空に冷たい空気におおわれ、例えば湿った暖かい空気が南の海上から流れ込んでくるとか、夏のように地表面付近の空気が暖められると(膨張して)軽くなって上昇を始めることになります。これは、普通の状態ではありません。さきほどお話したように空気は、5000bも上昇すると温度が0℃位になりますから、水滴は氷粒になり、重たくなって落下し始めます。そして、落下途中で温度が上がり、氷粒は解けて雨粒になり、地上に雨滴となって落ちてくるわけです。

 雨は大気のバランスをとるために降る
 見逃し勝ちなのがここからです。雨が降ると今まで暖かかった領域の温度は下がります。つまり、不安定の原因であった地表付近の温度を下げて、大気の状態を安定にすることになります。

 雨は、大気の状態を安定させるために降るのです。また、これと同じように、風が吹くときのことも考えられます。大きな南北の寒暖の差が生じると大気の状態を元に戻そうとして冷たい空気を南に運び、暖かい空気を北に運んで温度のバランスをとっているのです。

 ときには予定を狂わされる雨や風ですが、天気は、そのような意地悪をしているのではなく、地球上の温度バランスやエネルギーバランスを常にとっているのです。その過程で雨が降ったり、風が吹くのです。
−続く−

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