突っ込み入れてなんぼの人生〜公園にて〜


見覚えのある人物を見掛けオスカーは歩みを止める。
先程の女王陛下の謁見の後公園に来てみたのだが、その謁見で申し渡された女王試験の候補である。
茶の髪に優しげな面立ちの少女だ。
慣れない土地で色々物珍しいのだろう、飽きもせずその辺りの木やオスカーには見慣れた像なんかを眺めている。
落ち着いた雰囲気は気品さえ感じさせ、その髪は艶やかになびいている。
だが、とオスカーは思う。
顔には幼さが残り、彼女が未だ少女であることをはっきりと示している。
将来はきっと魅力的な女性になるだろうが、まだまだ「お嬢ちゃん」だなと結論付けた。
お嬢ちゃんとは守備範囲外のことを指す。
それでも、声を掛けなければオスカーの名が廃るというもの。
「お嬢ちゃん。どうしたこんな所で?」
さも、今し方通り掛かった様に話し掛ける。
先程ロザリアから紹介はされているので名乗る必要はないだろう。
少女は暫くポカンとしていたが、ややあって、
「公園の散策です。おじ様♪」
ピシッ
(オスカーの凍った音である)
何か用ですか?という問いに対してかろうじて「で、出来ればオスカーと呼んでくれるとありがたいんだが、アンジェリーク」と、言うのが精一杯だった。
−炎の守護聖オスカーが17歳の少女に敗北した瞬間である。−



誰か!あの男に「私がお嬢ちゃんならあなたはおじさんね」って、突っ込み入れろーー
という思いから書きました。
こんな切り返しをしそうな女王候補が思い当たらず、思い切って温和アンジェにしてみました。
オスカーファンの方ごめんなさい