午前三時の出来事
−クラヴィス様談
・・・時間は私にとって苦痛以外の何者でもない。
ただ持て余すことしかできぬ・・・。
星空を眺めても、水晶球をのぞいても、時間は停止してるのかと思いまごうほどに、遅々として進まぬ。
眠ろうとしても、闇はなかなか私を捕らえてくれようとはしない・・・。
・・・夜、外に出て冷たい月の光を浴びると、心が洗われるような気がする。
月光浴・・・というのだろうか。あれは・・・よいものだな。
−ランディ様談
毎朝早く起きて庭園を走ってるんだ。
一汗かいてからの朝食はすっごくおいしいんだよ。
アンジェリークもどうだい?
ホラ、早起きは三文の得って言うだろ?
ある日庭園にて。
夜露に濡れた花を一撫でし、クラヴィスは月を仰ぐ。
良い夜だ。
月は下弦。美しく光り、満月のように仰々しくもない。
突然、たったった、と足音が聞こえた。
程なくしてランディが運動着姿で現れた。
ランディはクラヴィスに気がつくと元気よく挨拶をする。
「おはようございます、クラヴィス様。今日は早いですね。」
そう言って、瞬く間に走り去ってしまった。
「・・・・・・・」
帰って寝よう。
そう思い、クラヴィスは踵をかえした。
参考:「アンジェリークSpecial2メッセージコレクションVol.1」