茶番劇〜世界は逆転の運命を辿る〜

世界は逆転の運命を辿る 3



ぺちぺち。
「おい。兄貴起きろ」
キールが兄(アイシュというのだと言う。)を起こしに掛かっている。
取り敢えず召喚してしまったものは仕方がない。アイシュを起こし事情を説明した上で今後の対策を練ろうということになったのだ。
なかなか起きないアイシュに業を煮やしキールは、アイシュの持っていたスーパーの袋を脇へどかし、本格的に起こしにはいる。
確か家からは少し離れた場所にあるスーパーだったとキールは記憶している。
安いので有名な店で、恐らくアイシュは夕飯の買い出しの帰りだったのだろう。
「おい(怒)いい加減に起きろ、兄貴」
「う、うーん。あ〜、キールどうしたんですか〜?」
なんとも気の抜ける言い方である。
「兄貴が口を挟むとややこしくなるから黙って聞いてくれよ。」
随分な言い方だがアイシュの方は慣れているのか気にした様子は全くない。
「そ…(それでだな…)」
「あ、キール今日は帰ってくるんですか?どうしましょう、夕飯の材料が足りませんね。買い足しに行かなければ…」
「こ…(ここはな…)」
「あれ?お客様ですか〜。こんにちは」
アイシュ。聞いてあげなよ。
「あ、」
「今度は何だ兄貴。」
今度はアイシュの言葉が途切れた。
「ここは何処でしょう?」
と、途方に暮れた顔でキールを振り返る。
…キールでなくとも血管切れるな。きっと。

キールに変わり自己紹介もかねてメイが事情を説明する。
アイシュは、「あ、そうなんですか〜」と意外にあっさり事情を飲み込んだ。
「やっぱり怪しいのはこの本だな。メイ、何処で手に入れた?]
シオンはページをぺらぺらめくりながら聞く。
「先週の日曜。広場でね、お腹が空いたって行き倒れている男の人に持ち合わせていたシチューをあげたらお礼にってくれたの」
(友情出演:レーティス)
持ち合わせていたって…シチューをどうやって!?
「なんだそりゃ!?」
シオン。声が裏返ってるぞ。
キールは平静を保とうと努力しているのが傍目から見ても痛いほど分かる。 余り無理するなよ。身体壊すぞ。
「いい話ですね〜。」
うんうん、ってアイシュあんた…
「……まあ、それは兎も角。この分けの分からない本に若しかしたら帰る方法も書いてあるのかもしれないな」
「シオン、分かる?」
「それがな、さーっぱり」
「筆頭魔道士でしょ」
「関係ないって。今、一通り目を通していたが見た事もない呪文やら魔法陣やら…中には知ってるのもあったが、そんなのはごく僅かだ」
シオンがそうならばメイはなお更だろう。
「本文の方も全く関係ない事ばかり書き連ねてあって役に立たない」
だろう、海の幸・山の幸やらが魔法と関係あったら恐いって…
「お、」
あるページを開いた時にシオンが声をあげた。
「なに?」
「これ、さっきの続きみたいな書き方してあるな。『そう、味の宝庫。魅惑の魚類甲殻類。さんま・いわし・さば…(中略)…。ああ、でも栄養が片寄るといけないから、やっぱり山の幸も忘れては駄目だな』」
……ふざけた魔法書だ。
「「「………」」」
キールどころかメイ・アイシュまで黙らせてしまった。
「……試しに読んでみるか、」
シオンも本を叩き付けたい衝動にかられたが何とか押え込み、呪文を読み上げる。
どごぉぉぉぉぉぉ
爆音と共に端にあった植木が消えていた。後ろの壁と共に…
「俺のユリがぁぁぁ!」
シオン、言いたい事はそれだけか?
植木は跡形もないが、後ろの壁は黒々と焼けたあとが残っている。
更には、その壁から外に大きく抉られた地面となぎ倒された大木が覗いていた。
これを生身の人間が受けたらただでは済まなかっただろうとキール・アイシュ・メイは青くなる。
「……さて、これで取り敢えず試してみるというのは出来そうにないということだな…」
シオン。立ち直りが早いな。
「え、どうして?」
「危険だろうが、はずれるたびにこんなのが出てきたら。今だってたまたま外に人が居なかっただけで居たらどうなっていたことか」
…その通りだ。
「じゃあ、どうする」
「そうだな、まずは文献を漁りながらどうゆう呪文か大体のあたりをつける。後は関係なさそうなこの文面だな。本当に関係ないのか、あるとすればどう関係するのか…今は未だ何も分からないがな。」
どっちにしろメイには荷が重い。
「それから、この本をくれたっちゅう男が気になるな。まあ、見かけたら問い詰めてみてくれ。持っていただけだろうとは思うが若しかしたら何か知っているかもしれない」



最後のつっこみ。友情出演てレーティスと誰が友情?
また、書きたいことが入りきらなかった。持ち越しだ。