御伽ファンタ 〜人魚姫編1〜



本日の配役
人魚姫ディアーナ
王子シオン
王子の婚約者セイリオス

初めて踏んだ地面はまるで針の筵のようで人魚姫(ディアーナ)はその場に座り込んでしまった。
「初めての筈ですのに針の筵を知っているなんて変ですわね。」
うるさいよ人魚姫(ディアーナ)!
「言ってはいけない事でしたのね。…とにかく痛いですわ。」
頑張って立ち上がってヨロヨロと歩くがすぐに萎えてしまう。
「お、王子様(シオン)に会う為ですもの。このくらい平気ですわ。」
そうは言ってもその瞳には涙がにじんでしまっている。
「ふ、ふえ〜。」
遅いぞ王子(シオン)。人魚姫(ディアーナ)が泣いてしまうではないか。
「やあ、お嬢さん。遅くなってすまん。婚約者(セイル)の妨害にあっててな。」
岩陰からやっとこさ王子(シオン)の登場。
がこん
ならず。
「そうささせんぞ。王子(シオン)。」
目の色変えた婚約者(セイリオス)何故かオイル缶を武器に登場。
「兎に角、服を着なさい。人魚姫(ディアーナ)。 この男の前で全裸は危険だ。」
「何故私が人魚の姫だとしっているのかしら?」
「それは話の都合上というものだよ、姫(ディアーナ)。」
にこやかに答えて婚約者(セイリオス)は携えていた衣服を渡す。
「まあ、ありがとうございます。」
「早く着てしまいなさい。この男が起きる前に。」
そう言うと何処からともなく縄を取り出しお、王子(シオン)をぐるぐる巻きに仕上げていく。
「まあ、置物みたいで可愛いですわね。」
「…だろう。解いてはだめだよ。」
「はい。」
肯くと慣れない手つきで姫(ディアーナ)は衣服を着始めた。
完了。
「よくできました。」
婚約者(セイリオス)が頭を撫でてやると姫(ディアーナ)の極上の笑顔が返ってきた。その笑顔に婚約者(兄)は骨抜きだ(笑)
「はっ」
王子はようやく目覚めたらしく、あたりをキョロキョロと伺う。
「って、姫(セイル)見逃したじゃねーか。」
「あ・た・り・前・だ。」
ぎりぎりと縄を締め上げるその顔は真剣だ。
「ロープロープ。」
「それは兎も角、二人とも姫じゃ呼びにくいな。かといってそれ以外の呼び方だと長くなってしまうし。」
「まったく無視かい!」
王子(シオン)は呪文を唱え素早く脱出を図った。
「設定はどうした。王子が魔法を使ってどうする。」
「うるさい。構ってられるか。」
激しく咳き込んだ末、王子(シオン)は反論する。
「とっとと城に帰れ王子(シオン)。」
「いやだ。」
「まあ、どうしたのかしら?あなたには私というものがおありでしょう(注:婚約者(セイル)の台詞)」
「き、気持ち悪い。」
ばきぃ
「誰もこんなこと好きこのんでやってるわけじゃない。これも可愛い人魚姫(ディアーナ)のため…」
アッパーを食らった王子(シオン)は姫(セイリオス)の嘆きを聞くどころの騒ぎではないようだ。頬を押さえ必死に痛みと戦っている。
「だから王子(シオン)を近づけさせるわけにいかんのだ。」
姫(セイリオス)は熱弁を揮っている。
「…いててて。姫(セイル)何か忘れちゃいないか。」
「何がだ。」
生き返ってきた王子(シオン)の言葉に姫(セイリオス)は聞き返す。
「この場合。俺と人魚姫(ディアーナ)が結ばれなかったら姫(ディアーナ)は泡になってしまうんだぞ。」
「………。」
凍った時。それは姫(セイリオス)の現実認識の時間である。
「…作者は何処だ。」
「あっち(何処を指差したかは私も知らない)」
「…そうか。」
ちゃきん。
金物の光をきらめかせながら姫(セイリオス)はその場を静かに立ち去った。
その後取り残された王子(シオン)と人魚姫(ディアーナ)がどうなったかなんて私に書けるわけがない。



なにやら私は生命の危機を感じます。
ので、コメントしないで逃げます。