御伽ファンタ 〜赤ずきん編4〜



本日の配役
赤ずきんシルフィス
セイリオス
狩人レオニス
くろこシオン
お祖母さんアイシュ
お母さんメイ

早朝。
「あーーー。」
と、言う声で一日は始まった。
「何事ですか?お母さん〔メイ〕」
心配そうに覗き込む赤ずきん〔シルフィス〕。
「あ、ちょーど良かった。赤ずきん〔シルフィス〕。前にお祖母さん〔アイシュ〕借りた本返すの忘れてたのよ。ちょっと行って返して来てくれない?」
と、両手を合わせてお拝まれてしまった。
「どうして自分で行かないんですか?」
当然の疑問を投げかける。
「うん、行きたいのは山々なんだけどね。しくしく…」
と、キールに渡されてあった課題のった机を振り返る。
「…分かりました。」
途端にお母さん〔メイ〕の顔が明るくなる。
この人のこういう所が憎めないんですね。
と、赤ずきん〔シルフィス〕はため息を一つ吐いた。

そうして森の中。
現れるのは狼〔セイリオス〕である。
「向こうに花畑があったのだが、一緒に行かないか?」
いつもならば赤ずきん〔シルフィス〕もお受けするのだが、今日はお母さん〔メイ〕から頼まれ事をしている。
「でも、今日はお祖母さん〔アイシュ〕に本を届けなければなりませんので…」
「では、狩人〔レオニス〕にでも言って届けさせよう。」
行け行け狼〔セイリオス〕今日は押せ押せだな(笑)
『それ程お忍びに行きたいのでしょうか?』
ふふふ、だが赤ずきん〔シルフィス〕は分かっていないぞ。
「嫌かな?」
にっこりと笑顔で聞かれたのに対して「分かりました」と答えた赤ずきん〔シルフィス〕。
『仕方ありませんね。狼〔殿下〕もたまには羽を伸ばしたい時もあるでしょうから…』
…まだまだ分かっていない様だぞ。どうする?狼〔セイリオス〕

さて、所変わって花畑。
うまい具合に赤ずきん(シルフィス)を誘い出した狼(セイリオス)は始終にやけたつら……ではなくて幸せそうに笑っている。
赤ずきん(シルフィス)の方も、狼(セイリオス)が態々羽を伸ばしに来たのに何するでもなく自分の行動を見ているだけなのには小首を傾げたが、当人はいたって楽しそうなので気にしない事にした。
狼(殿下)が楽しいなら、私も嬉しいです。
と、赤ずきん(シルフィス)もにっこりと笑みを返す。
悩殺!
いやいや、何でもない。
ただ、誰かさんが余りの幸福に目眩を覚えたことだけ付け加えておこう。
にこにこにこ
にこにこにこにこにこ
「ええい、うっとおしい。」
二人の世界を壊したのは黒子(シオン)。
ああよかった。このまま話が進まないかと思った。
「口説くときはだな、こう肩でも腰にでもに手を掛けて…。」
と、赤ずきん(シルフィス)を引き寄せ腰に手を回す。
ちゃき
そしてそのまま続行しようとした黒子(シオン)の耳に金属音が響いた。
その音に我に返る黒子(シオン)。慌てて赤ずきん(シルフィス)を放す。
「…というようにだな。するんだよ、うん。」
開放された赤ずきん(シルフィス)を確認すると、狼(セイリオス)は静かに抜きかけた剣を納めた。
「?」
何が起きたのかよく分からない、っといった風情の赤ずきん(シルフィス)に「何でもないんだよ。」と優しく声を掛ける。
先程。黒子(シオン)に対したのと別人のような目だな、狼(セイリオス)。
「それで、何のようだい?黒子〔シオン〕。」
にこにこにこ。と、狼〔セイリオス〕。
こ、こえー
「いや、なんでも…ぶつぶつ。」
相手は邪魔をされてかなり不機嫌のようだ。ここは大人しく引いた方が無難だと思う。
それでも黒子〔シオン〕は恐いもの知らずだった様だ。
「へーんだ。甲斐性無し。」
と、ぼそっと洩らす。
ぐさっ(→至 空葉月)
…その言葉に返ってきたのは絶対零度の視線。
失言多いね。黒子〔シオン〕。
「あ!」
突然声を上げたのは赤ずきん〔シルフィス〕
「黒子〔シオン様〕も羽を伸ばしたいんですか?いつもしている様に見えますけれど。」
そうだね。いつも広場に居たりするもんね。
本当に何も分かっていなかった赤ずきん〔シルフィス〕に狼〔セイリオス〕はがっくりと肩を落し、黒子〔シオン〕は大爆笑したものだった。

一方そのころお祖母さん〔アイシュ〕宅。
「…届け物だ。」
こわ面の狩人〔レオニス〕から届けられた本をびくびくしながら受け取るお祖母さん〔アイシュ〕がいた。



おかしいな。狼と黒子の赤ずきんの奪い合いにする筈だったのに…
あっさり引いちゃってるよ、黒子
しかし、前回と今回の狼はまるで某チャットの…。