御伽ファンタ 〜赤ずきん編3〜



本日の配役
赤ずきんディアーナ
シオン
狩人セイリオス
黒子シルフィス

前置き略

「赤ずきん〔姫さん〕。向こうに俺の育てた花畑があるんだが寄っていかないか?」
はて?
赤ずきん〔ディアーナ〕は首を傾げる。
「狼さんが育てた花畑って話でしたっけ?このお話。」
「まあ、気にしない。その方が俺らしいだろ?」
ま、らしーと言えばらしいが……
「んじゃ、納得した所で行こう。」
…どうゆう理屈だ。
ぱーーん
弾丸は後ろからこめかみをかすめ近くの木に命中した。
「…いきなり発砲する事ないだろ!!」
狼〔シオン〕は後ろに怒鳴る。
…少し涙目だぞ。恐かったのか?
対し、狩人〔セイリオス〕は涼しい顔で次の弾込めなんかしてたりする(笑)
「前置きのかわりに命中させてはいないだろう?」
と、にっこりと狩人〔セイリオス〕は言う。
狩人〔セイリオス〕…目が笑ってないぞ。
「こういう役どころなんだから仕方ないだろ。」
「台本には腰に手を回すなんて書いてなかったと思うが…」
…書いてあるわけない。
「おや、いつのまに?」
さも今気付いた様に言う。あくまでしらを切るつもりだな。
「(怒)ならば、すぐその手を放せ。」
えらい!よく耐えた狩人〔セイリオス〕。
「いやだね。」
とシオン。その言い方は相手を逆なでするだけだ。
じり、
黒く長い筒の先端を向けられ狼〔シオン〕は息を飲む。
「おい、くろこ〔シルフィス〕。見てないでこの馬鹿何とかしてくれ。」
狼〔シオン〕は、台本を持ったまま二人のやり取りに呆然としているくろこ〔シルフィス〕に助けを求める。
…あー、そこの出演者。むやみにくろこを劇中に引っ張り出さない様に。
が、突然話を振られてもくろこ〔シルフィス〕にはどうする事も出来ない。
まあ、当然だろう。
「危ないからくろこ〔シルフィス〕は下がっていて、今このけだものを始末したらゆっくりと二人の将来について話し合おう。」
どさくさに紛れて何をのたまっている。狩人〔セイリオス〕。
「誰がけだものだ!誰が。」
君の事だよ、狼〔シオン〕。それとも狼はけだものではないと?
「赤ずきん〔ディアーナ〕も危ないからこっちにおいで、」
赤ずきん〔ディアーナ〕は少し困ったような仕種を見せたが、ややあってパタパタと狩人〔兄〕の元に走り来る。
その後姿さえ愛らしいと思ったのは誰の感想だろう。
一方、狩人〔セイリオス〕は勝ち誇った笑顔を狼〔シオン〕に向ける。
「まあ、当然だろう。女性に見境の無い狼なんか…」
いや、単に銃口向けられてるやつの隣が危ないと判断しただけだとおもうが、
「見境くらいちゃんとあるぞ。」
否定するなら語尾が小さくならないように気をつければ?狼〔シオン〕。
「…昨日2時13分頃。町で20代前半と見られる女性と歩いていただろう。(ぼそっ)」
そういう情報を何処で得ているんだ?狩人〔セイリオス〕。
「髪は明るめの茶色。青い花柄のワンピースを着ていた。ちなみに家族構成は両親と弟、それに愛犬のビネガー。 趣味は盆栽。特技は和裁。古風だがなかなかよく出来た娘さんと近所でも評判で……」
だからそういう情報を何処で!
「そこまで分かってて何故年が分からない!?」
お、狼〔シオン〕。それだけか?言う事は(いや、確かにそうなんだけども…)
「あれは、単に道を聞かれてただけだ。」
狼〔シオン〕は、ああ言ってるが、
「その後食事に誘う必要があるのか?
まあ、良い。では一昨日の森の中での10代の娘さんは?」
毎日だな狼〔シオン〕。
「そんな男に赤ずきん〔ディアーナ〕を近づけられるか!」
あれは…といい訳する狼〔シオン〕。
ネタの尽きない狩人〔セイリオス〕。


「「……」」
狼〔シオン〕と狩人〔セイリオス〕の戦いは白熱してきている。
既に遠巻きに傍観者を決め込んでいた赤ずきん〔姫〕にくろこ〔シルフィス〕が声を掛ける。
「行きませんか?お祖母様がお待ちですよ。」
「…そうね。届け物しないといけなかったですわね。」
その後、バトルは赤ずきん〔ディアーナ〕不在を知らぬまま夕刻まで続いたそうだ。
ご苦労!