帰郷

「キール。又、ベットに魔法書持ち込んで…安静にしてなきゃだめです。」
様子を見に来たシルフィスはベットの上で書物を読みふけているキールを注意する。
この人は…本当にシオン様の言う通り治す努力をしない人だ。
この分では何時王都へ帰れることか…
「いいじゃないか少しくらい。」
目端を上げてキールは口答えをする。
夜通し読んでいたな、とシルフィスは目測する。
「だめです!」
本を離そうとしないキールにかまわず取り上げる。
「あと少しだったのに。」
キールが恨みがましそうな目で見上げるのを無視して彼をベットに押し込める。
「きちんと休んでください。」
キールの視線と背後の気配に気付き振りかえる。
「アイシュ様も何か言って下さい。」
ドアを少し開けてこちらを伺っている人物を見受け声を掛ける。
どうやら食事が出来たらしく手に持ったトレイからは湯気が上っていた。
「わ、私は、いたたまれません〜」
そのままパタンとドアは閉じられた。
−夫婦喧嘩は犬も食わない、というやつである−
ドアの外ではアイシュが嘆息を漏らした。
はー、私はさっさと王宮に帰りましょう。
一方、王都でも不平を漏らす者が一人。
ちょっと、キールの奴いつ戻ってくるのよ。
私は一体何時元の世界に帰れるのよーーーー。




祝・初ドロップアウトエンディング
狙っていたのはセイリオスだったのに予想してた通りキールが釣れました。