言い掛かり ぱーとU

その日は災悪〜言い掛かり ぱーとU〜



男はその日青い髪の青年に口で負け、眼鏡を掛けた呆けた少年に権力で負け(実は青い髪の青年の方が偉かったりするのだが) 本日の収穫が得られぬまま通りをとぼとぼ歩いていた。
どん。
「おい、ねーちゃん人にぶつかっていて挨拶もなしかい?」
運の悪い日はあるもので、そういう日は大人しく過ごすのが得策なのだが、ついつい言い掛かりを掛けてしまうのがチンピラの習性というものだろう。
チンピラは一瞬声を掛けてしまった事に不安をおぼえたが、相手が年端もいかない女の子であることが分かると本日の名誉挽回とばかりに凄む。
だが相手が悪かった。
彼女は騎士団の隊長にたくましいと言わしめた人物である。
「あんたね、車だって子供が飛び出したら車の方が悪いって事になるのよ。まして、今のはあんたの方からぶつかって来たんじゃない。」
車?はて車とは何ぞや
「何分けの分からないことを言ってるんだぁ?」
チンピラは彼女が異世界人だと言うことを知らないらしい。有名なのに…
知らないことは恐ろしいことである。
二人のやり取りに段々野次馬が集まり出したのは言うまでもない。

同じ頃、レオニス=クレベールは珍しく外出していた。
実直な彼は普段私用で出かけることは少ない。
しかし、この日に限って出掛けていたのは話の展開からいって無理からぬことだ。
兎も角、彼が外出しなければ話が進まない。

彼の唯一の趣味である骨董の店から出た時、当然のごとく大通りの野次馬の群れを見つけた。
雰囲気で喧嘩らしいことはわかった。
野次馬の中から「そこだ!」とか「がんばれ。ねーちゃん」などという野次が聞こえたからだ。
?ねーちゃん
続いて聞き覚えのある声。
「なによ!やるっていうの」
誰であるかは明白である。
…まあ、彼女も一応女の子であるからな…
何より武の心得があるわけではない。レオニスは仲裁に入ることにした。
煽り立てる人々をかき分け輪の中へ入ると、ようやくメイの姿が見えた。
げいん
見事な音が鳴り響いた。
…メイがやられたわけではないことは言うまでもない。
意外にあっさり決着がつき、野次馬は少々不満気に散会し始める。
中には、「なんだよ、兄ちゃんだらしねーな」などとこぼす人までいた。当事者ではないから言える事である。
メイは解散する野次馬の中から一つ飛び出た頭を見つけ駆け寄った。
「ちょっと、人がチンピラに絡まれているのに見てるだけとは何事よ。」
どうやら、"会いたかったー"という雰囲気ではないらしい。
「その必要は無いように見受けるが?」
レオニスの視線の先で、チンピラだろう青年は見事に地面で伸びていた。
「口答えしないの。」
メイの理屈は無茶苦茶だ。
「サテンのパフェで許してあげる。」
初めからそれが目的だったか…
レオニスは呆れた表情だ。
それでも承諾してしまうあたり、やっぱり押しに弱いなこの人は…

チンピラが意識を取り戻したのは、しっかり自警団に突き出された後。
何の被害も出なかったので、厳重注意と言う事で放免となったのだが…
女の子に伸されてきたとの報告で、自警団の連中にも笑い者にされてしまった。
ちくしょー。今日はついてねー。
夕暮れの町に背をかがめて、チンピラはそう思った。
いい加減 足洗いなさいね。君。

…アン乙の前に書き始めたのに…
またもや、メイの喧嘩ネタ。芸が無い…
しかも無理矢理な展開だし、ゲームもチャットもご無沙汰だから
キャラの性格忘れてしまってるよ。(誰これ?)