いつもの朝

いつもの朝




いつもの朝
神殿の鐘が鳴る前に目が覚めて、鐘が鳴るまでそこに留まっていたり、
連日の疲れが出て机の上で目が覚めたり、
はた又一睡もしないまま迎える朝だったりと、
多少変則ではあるがいつもは穏やかな朝を迎えていた。
どたーーーん。
確かにもうすぐ神殿の鐘は鳴るが多分に近所迷惑と呼べる時間だった。
一瞬何事か!と思ったが、原因はすぐに思い当たった。
仕方なく起きてそちらの方へと向かう。
「メイ。一体何の騒ぎだ?」
彼の表情を見れば不機嫌である事は明白だ。
「あ、ごめーん。ちょっと倒しちゃってさ。」
しかし、原因たる少女はそれを意に介した様子は無い。
見ると足元には棚が一つ無残に転がっていた。
彼女が倒した事は言わずともわかる。
「何やってるんだ?慣れない早起きなんかするからだろ。」
いつも寝坊がちのメイを皮肉って言う。
「あ、いやその…」
てっきり、反論が返ってくると思ったが、メイは言いにくそうに口篭もる。
おや?
「いやね、朝ご飯くらい作ろうと思ってさ。」
これから、二人でやっていくんだしさ。と照れくさそうに彼女は言った。
メイが元の世界に帰らないと言ったのはつい先日の事。
帰したくないと言ったキールの思いに彼女は答えたのだ。
メイはあっさり承諾したが、実際はつらい選択だったと思う。
どんなに帰りたがっていたか、キールが一番良く知っていた。
その事実をキールは一人かみ締める。
よっこらせ、と立ち上がり、「どうしたの?」と聞くメイに「何でもない」と答える。
それから、
これまでとは違い、これからは騒々しい朝となりそうだ。
覚悟しなければならないな、とキールは思ったりしたのだった。


甘い、甘い。
初めてキール×メイを書いた気がする。
いや、いつもはキール&メイだからさ…。