果てしなくブルー 2



青年団とは海岸近くに立てられた小さな小屋を指すようだ。
道なりに小屋が見え、その先の道が行き止まりなのが確認されるとメイはそう判断した。
案の定「あれが青年団の集会場だ。」とガゼルが教えてくれた。
脇に自転車を止め、ガゼルがビール2ダース+日本酒5升を運ぶ間手持ち無沙汰のメイはつまみに用意された惣菜を運ぶのを手伝うことにした。
「ガゼル遅かったじゃないか。」
「待ってたぜ。酒。」
ガゼルの運んでいたビールに飛びつかんばかりの勢いにメイは少し腰引けながらも後に続く。
「ん?」
「ガゼルの彼女か?」
酒も入っていないのに酔っ払いのような連中である。
「違うよ。ここのついでに岬のコテージに送っていくんだ。」
心持ち、顔を赤くしながらガゼルが答えた。
興味深そうにメイは団員に鑑賞されたが、その興味はすぐに酒に直った。
「あれ?団長は。」
手早く全ての商品を台所まで運んでガゼルは団員に聞いた。
「団長なら海のほうに行ったぜ。」
既にビールに手を付けていた団員の一人が海の方角らしき方向を指差して言った。
「伝票にサインしてもらわなきゃな。」
と、背を向けたガゼルの肩を団員が羽交い締めにした。
「まあ、お前も飲め。」
「柾さん。おれ未成年。」
「細かいことにこだわるな。」
こ、細かいことなのか?
「そうだぞぉガゼル、俺達の酒が飲めないのか?」
ガゼルを捕らえるのにもう一人加わった。
「なにをぉ生意気な。」
もう一人。
あれよあれよという間にガゼルの体は酔っ払いの中に飲み込まれていった。
ご愁傷様。
「メイ。頼む海岸に団長がいるから呼んできて。」
密かにガゼルの消えた方角に手を合わせていたメイにガゼルの声だけが届いた。
どんな人?と聞ける様子ではなかったので諦めてメイは一人小屋を出た。

小屋を出ると途端に中の騒ぎが小さくなり潮騒が聞こえるようになる。
その音を辿れば聞かずとも海がどちらの方角かは知れたもの。
堤防を乗り越え、岩場に上がると右手に砂浜が見えた。
左には足元の岩場がずっと広がっていたのでとりあえずメイは砂浜に降りる事にした。
「青年団の団長さん?」
後ろに疑問形を含む言い方でメイは聞いた。
砂場をぐるりと囲む形で岩場は終わっているのだが、その弧の中心くらいに人影を見つけそれ以外に人が居ないのは確認している。
要するにその人しか居ないのである。
それでも初対面の人に声を掛けるのは勇気を要する。
それで聞く形をとったのだ。
声を掛けられると、その人物はゆっくりと振り返った。
「だれだ。」
ええと、
説明仕掛けて、はたと止まる。
なんと言ったらいいのかな?
まあ、取りあえず団長さんには間違いないわね。
そう考えるとメイは岩場からざーと飛び降りた。
「ええと、ガゼルの配達を手伝っていて、
んで、ガゼルが酔っ払いに捕まって伝票にサインもらえないと嘆いていたのを聞き届けた者かな。」
ふざけてはいるが的を得た説明である。
近寄りながら説明をしていたメイは次の瞬間絶句する。
な、何でこんなかっこいい人が…
ぼーっと見ほれていたメイに気づかずその人物は困ったような顔を見せ「全くあいつらは」と呟いた。
「礼を言う。」
そう言うとその人物はメイの横を通り、小屋のほうへ戻っていった。




団長(隊長)さんの登場です。(笑)
書こうと思っていて出てこなかったのでここに書いてしまおう。
今後かけるかどうかわからないしね。
彼の職業は漁師さん。海の男なのさ。(あ、怒らないで)
次回、は無理だな。シルフィスの登場は次次回かな?