短歌集『卯月』
 

吹き付くる桜の花弁の冷たきに空見上ぐれば雨ぞ降りける
水鏡映りし影と思ひきやここら漂ふ花びらにこそ
夜桜を肴にはしゃぐビニールのシートの下に咲く菫花

*

新しいブーツで歩く 新しい自分の気持ちもてあましてる
終電を待つ改札でふと気づく帰る理由のない僕たちに
安らかに寝息を立てるその夢の中へわたしを連れ去ってみて

*

地に足をつけず二人でいるよりは地に足つけて一人でいたい
差異という壁は僕らを隔ててるわけじゃないんだ繋いでいるんだ
無理をせず強がらないでそのままの君で居てねと願う傲慢

*

笑っても泣き叫んでも怒っても結果は同じだから笑おう
我が侭はもうやめようか「いつも」より「ずっと」一緒に居られるために
君ぐらい素敵な人になってやるそれも一つの成就のかたち
 
 
 

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