− from if to itself −

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【コトバを探せ】

すくってもすくっても
指の間からこぼれ落ちていく
コトバを探せ
嵐の夜 耳をふさいでも
体中の皮膚から染み込んでくる
コトバを紡ぎ出せ

地殻が固まらないうちに
秒針が止まらないうちに

若い葉脈を通り抜けて
流れ出るものの、流れそのものを
論理の網をくぐり抜けて
輝くものの、輝きそのものを

魅かれあう惑星と惑星の間から
コトバを探せ
彼と彼女の不等式の隙間から
コトバを紡ぎ出せ

どこにも行かないカプセルに乗って
皮膚感覚を失わないうちに
絶対零度の森に立ちつくして
動体視力を失わないうちに

流れ出るものの、流れそのものを
輝くものの、輝きそのものを


 

 

【えだわかれ】

風の音さえ届かない
冷たい夜は言霊が降ってくる
窓辺の机でうたた寝ているうちに
ありとある言葉たちが破壊力を持つ

ボクとワタシ 正義と恋愛 言葉と音楽
最後の一葉が落ちて初めて全体を見た
ずっと相容れなかった そして哀しかった

風の音さえ届かない
静かな夜に桜が舞う
不安にさせないで
不安にさせないで

義務と権利 仲間と友達 罪と人
歪みそうな良心を正当化したくて
厳格に分けていた そして哀しかった

細くて長いトンネルを抜けて
冷たい夜に高次の言霊が降ってくる
黒と白 大人と子供 現実と夢
築き上げた枝分かれが今無力になる

螺旋階段を登りきったところに
街全体が見渡せる丘がある
偽物と本物 自己と他者 理性と感情
ありとある言葉がきっと優しくなれる


 

 

【リフレイン】

定着したマイナス思考を吹き飛ばそう

壊れるのは負荷の大きさじゃない
タイミングが悪かった、ただそれだけ

何を見てる?何から始める?
今見えてる景色の中に答えはある
哀しみを吸い込んで錆びた籠は
本当はすごく脆いもの

旧き言霊と戦おう
力を合わせれば絶対勝てる
言葉への畏怖 言葉を使うことへの畏怖
忘れてしまえば言葉の奴隷になる

リフレインから抜け出そう

何が許せる?どこまで許せる?
限界を知れば限界は敵じゃなくなる
間違った使い方が生んだ凶器は
正しい使い方で跳ね返せる

旧き言霊と戦おう
力を合わせれば絶対勝てる
本当の自分はそんなに強くない
独りに耐えられるほど強くはない
でも隙を見せたらそこから崩されてしまう

言葉への畏怖 言葉を使うことへの畏怖
忘れてしまえば言葉の奴隷になる

現在形で過去形を吹き飛ばそう
いつまでもこのままではいられない
投げられた枠組みから抜け出して
まだ誰かを救えることを確かめてみよう


 

 

【if】

ゴールのない争いから抜け出そう
今日がきっと最後のチャンスだ
長い年月を語る必要はない
長い年月は無益ではなかった
ここまでは必然 そしてここからが偶然
怖くはないさ、ゼロだから

もし、少しだけ時間が狂っていたら
もし、少しだけ勇気を持っていたら
戦わなくて済んだ? 傷つかないで済んだ?
長い年月を語るのは止めよう
世界は意外と広いみたいだから
糸口は意外と身近な場所にある
ここまでが必然 そしてここからが偶然
ためらう必要はない 雪が降ったら外に出かけよう

ゴールのない争いから抜け出そう
今日がきっと最後のチャンスだ
偶然に感謝? 偶然を恨む?
仮定を語るのはもう止めよう
どうにもならないことはある 
どうにでもなることもある
信じるのは自分 答えるのも自分だ
運命は幾つもある
投げられたら投げ返せばいい、それだけだ


 

 

【春時間】

すぐに立ち止まる僕と
いつも先を進みたがる君と
空気のような人混みを目指して
向かい風にジャンプした

(正午の太陽のように黄色いTシャツを着て。)
(晴れた湖のように青いサンダルを履いて。)
安っぽい歌を口ずさみながら
街の波間を泳ぎだす
色とりどりのビーズを繋げて
長くなるのを見てはしゃいでいた

すぐに立ち止まる僕と
いつも先を進みたがる君と
マイナスGのエレベータに乗って
ふわりと笑っていよう

(終わりと始まりの間には何があるの?)
(過去と未来の間には何もないの?)
もっとあたりまえの言葉で
もっとあたりまえの時間で
色とりどりの糸を腕に絡ませて
街の波間に浮かんでる


 

 

【ストーブ】

長い戦いに敗れて傷ついた体を
ストーブにくべて燃やしてしまいたい

否定を前提にした肯定には意味がない
正しき力を補い続ける必要はない
いつか見上げることに疲れたら、
目を瞑って歌を聴こう、歌を聴こう。

長い戦いに敗れて凍えた心を
ストーブの前で少しずつ溶かしていく

沈む三日月に不完全な感情を託し
細い電話線に不完全な理性を託す

仕方ないなんて悲しい言葉はもう言わない
正当化のための悲しい努力はしなくていい
それでもまだ遠くにあると感じたら
手を繋いで歌を歌おう、歌を歌おう。


 

 

【THERE】

気が付いたらそこにいたからだけでもいい
その場所で始めから作り直せばいい

どこから来たのか
どこに行くのか
知らなくてもよかったの
語ることは許されないの

肌を刺す8月の陽ざしを好きだと言って
最後に1度だけ迎えに来て
今は問いかけることの虚しさに
走れ、走れ、走れ。

どこまで行くのか
信じてもいいのか
沈黙で答えてくれればよかったの
本当は失うことを怖がってるの

時空に現れては消えそうな声を感じて
自分自身の体温を感じて
そこに言葉があるのなら
投げかけて、今すぐ投げかけて。

気が付いたらそこにいたからだけでもいい
その場所で始めから作り直せばいい
今は捜し続けることの虚しさに
走れ、走れ、走れ。


 

 

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