短歌集『五分桜』
 

いつ来るか知らぬ春よりやがて来る四温が恋しい三寒の朝
悲しいと思う暇さえないくらい日々に追われることが悲しい

冬物の服を溢るる思い出と少しの涙と一緒に仕舞う
記憶にも防虫剤を添えておく いつか歪んでしまわぬように

*

大盛りをの皿を残さず平らげるそんな姿で癒されている
飾らない理由は信頼してるから? どうでもいいと思っているから?

充電器差し込まれてる携帯が幸せそうな約束の朝
いざという時に助けに来てくれる人が居るなら一番幸せ

*

晩春に旅立つ人を切れそうな飛行機雲がつなぎ止めてる
羊の数かぞえて眠り待つように会える日までの数をかぞえる

瓶詰めの蓋が固くて一人では開けられないと独りを嘆きぬ
五分咲きの桜の香より日本酒の甘い香よりも恋の香が欲し
 

 
 

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