短歌集 『まばたき』
 

 すれ違う車窓に描くキーワード重なり合った刹那の瞬き
 願望の強さに比べ待つという行為の弱さに地団駄を踏む

 繋がった言葉の糸を次々と手繰って一喜一憂している
 走ってる限り倒れぬ自転車のようにわたしは今日を生き抜く

 悪いことするならこっそり見つからぬようするべきだ恋と同じだ
 目に見えるカタチという名の責任は負えないだから言葉にできない

 まばたきをするな己を偽るな逃すな交差する瞬間を
 少しずつ近づく吐息のあたたかさ 先にまばたきしたほうが負け

 上空に至りし希望は冷やされて雫となりて舞い降りるなり
 繋がっていたのでしょうかすきま風みたいに混線しただけですか

 僕たちは世界に恋をするだから世界を繋ぐ人に傅く
 生き急ぎすぎたね叶わない夢はひとつ残らず捨ててしまった

 様々な名前をつける終わりなきものに終わりを与えるために
 孤立無援だったわたしを導いてくれる甘美な夢を見ていた
 
 
 
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