短歌集 『最後の海』
 

高原の変化しやすい空のよう君の便りに笑って泣いて
ストレスも汗も脂肪も温泉で流せるなんて都合良すぎる

三部屋もあるのに僕らは一部屋で雑魚寝するほど淋しいらしい
紙コップ転がる宴の後の部屋は恋の終わりの気持ちに似ている
 

本音など言えなくていいただ少し瞳を閉じて休めればいい
舞い散った羽根を集めて何度でも飛び立ってやるそう何度でも

ここからじゃ花火も見えない本当に僕らは同じ空の下なの
悲しみを消せる魔法を知ってたとしても決して使わぬだろう
 

甘ったるいバニラアイスが欲しくなる君の辛口批評のあとは
好きだとかそういう言葉はできるだけ言わない癖がついてしまった

甲子園試合の残りを数えれば夏の残りも少ないと知る
死の迫る蝉虫みたい夏休み最後の海を見納めに行く
 
 

 
 

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