短歌集 『ジレンマ』
 

贅沢なランチと日帰り温泉が癒してしまう程度の疲れ
100やれと言われりゃ50出来るのに50をやれと言われりゃ25

芝居さえあるなら何も要らないと言ってたような時代もあった
胃が痛くなるまでコーヒー飲み干すと何故か答えが出たような気に

*

木刀をガラス売場で振り回し全商品を叩き割りたい
切れそうなナイフだ しかし審判が見守る此処で吾を刺せるのか

好かれたいけど我などを好くような男に興味は持てぬジレンマ
幸福を背負うリスクに比べたら不幸を選びたくなるビョーキ

*

何気ない一言だけで骨抜きにされた私をどうしてくれる
なぜ僕が一人の一挙一動に一喜一憂しなきゃならない

一段と高まってきた心音をうち消すためにバスドラ叩け
焼き上がるスポンジケーキの甘い香にとろけるような遥かな記憶
 
 

 
 

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