短歌集「ブラックボックス」
 
 

世界という大きなブラックボックスでこの恋だけは信じてみよう
僕たちの思考の跡が1本のハイパーリンクで繋がっている

我が狭きキャパシティなど君の声一片だけで溢れてしまう
歯を見せて笑う横顔それ以上何も望まぬ何も伝えぬ

   *

あつあつのトマトスープを飲み干して外に出かけてみようと思う
「またね」って手を振ってみる本当に「また」があるのか疑いながら

さりげなく投げかけられた湯たんぽのような言葉を抱えて眠る
癒されたような笑顔を見ることで癒されたいから癒しているのだ

   *

外された梯子の上で手を伸ばしまだ信じてる愚かさがある
サヨナラは世の常だから涙など枯れ果てているはずだったのに

目が覚めるたびにリセットできてない我が感情が恨めしくなる
電源を切れば記録も繋がりも夢さえ消えてしまうのだろうか
 
 

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