− はじまりのおわりとおわりのはじまり −

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【エアポケット】

空は今日もあおくてあおくて
1つ目の曲がり角まで迫っているよ

3つ目の曲がり角の向こうに
急な下り坂を見つけたんだ
2つ目から助走をつけて
向こう岸まで駆け抜けてみよう
あなたの心臓の音を聞きながら
もっと上へ上へ
あおのなかへ あおにとけていく

始まりの終わりと 終わりの始まりが
1つ目の曲がり角まで迫っているよ

空は今日もあおくてあおくて
ちっぽけな哀しみなど吸い込んでしまう
ふたりがどんなに遠く離れても
変わらないものは何だろうって考えながら
あなたの心臓の音にしがみついて
もっと下へ下へ
あおのなかへ あおにとけていく


 

 

【カウントダウン】

昨日からレコードは同じ所を回っている
桜色の空が砂漠に吸い込まれ続けている

言葉が埋もれても気まずさが埋もれても
雲の中の終着点は見えない

メロディー達が流れる水の中を泳いでる
黒板消しが砂の上に取り残されている

そんな時間が重なって重なって
誰もが忘れた約束は延々と守られる

向こう側の葉っぱが絶え間なく揺れている
目を閉じて流れる砂時計になる

夕闇の尖った空気が飛び回っている
堅く繋いだ手と手が一個一個離れていく

そんな記憶が増え続けて増え続けて
増え続けて地面が真っ黒になる

全部消す ひたすら消す
葉っぱを拾い集めてたき火にくべる

火の粉の音で時計達が涙をこぼす
傷口は塗りつぶされて夜になる


 

 

【君を待ちつづけ】

君が眠っている間に時計を進ませて
眠れない僕は夜をまるごと抱き締める

昔のまま変わらない寝顔見つめ続けて
束の間のあたたかさ求めることに疲れてた

 回ってる記憶の海で釣り上げたのは何?
 いつになったら闇の奥の光見つかるの?
 言葉を忘れた僕は気が付けばここに戻っている

寝返りをうちながら君は何か呟いた
耳を澄まして柔らかい空気を感じた

君が眠っている間に時計を進ませて
眠れない日々の怠惰な夜を飛び越えた

 いつになっても僕はここで君を待ちつづけ
 誰かに肩をたたかれても決して目覚めない
 言葉を忘れた僕は気が付けばここに戻っている


 

 

【カケラ】

あなたの記憶に背を向けた夜
みどりの石がビルから降ってきた
7ヶ月分の時間が詰まった石は
車道と歩道の境目で砕け散った
  笹の葉の船で上っていった
  エメラルドの空に黄緑の雲
  言葉にならないイメージの粒が
  固まって雨になる

  どうして地平に壁があるの
  どうして空に屋根があるの

あなたの記憶に背を向けた夜
突然の土砂降りに打たれながら
帰りの道を間違えたことに気付いて
袋小路の壁に手を当ててみた
  蔦の絡まる無人駅で
  順番を知らせるアナウンス
  からっぽになった空中に
  石の扉が開いた

  いつからそこで眠っていたの
  そこに何を置き忘れていたの

カケラを拾い集めていく
蒸発した雨も吸い込んで
白い空に白い雲
それはあたらしい時間


 

 

【友人に捧ぐ】

信じるものが何もない混沌の世界から
君の投げた1枚の毛布が守ってくれたこと
信じるものが何もない混沌の世界を
あの時ジョークに変えてくれたこと 感謝してる

自分の持つ果てしなく肯定的な力に気付いていたのなら
ささやかな肯定からもっと大きな肯定を導くことが出来たなら

そして僕が全身全霊で戦いを挑んだのは
小さな窓の向こうで混乱する旋律
そして僕が気付いていながら背を向けたのは
小さな窓のこちらで消えそうだった拍動

蹲る僕の前に立ちはだかっているものが何なのか
君が示してくれたこと 感謝してる

もしも彼女たちの想いを少しでも嬉しいと感じられたなら
もしも彼女たちの言葉を少しでも真面目に受け止められたなら

ただ、たとえ無力でもその手を掴むことが出来たなら
ささやかな肯定からもっと大きな肯定を導くことが出来たなら


 

 

【1999】

世界の政情だとか景気だとかについて考えて
うす汚れた天井を眺めているわけではない
今日までのレポートに君が間に合ったのかどうかが
気になるから眠れなくて困っているのだ

そう 1999回目の足音が聞こえても
1998回目の日常会話は途切れない
消し忘れていた留守番電話のメッセージに
気付いたときの小さな胸の痛みのように
リアルなものは最後までリアルなままで
たとえ人が世界がなくなるなんて噂をしても

明日の朝この雪が積もっていたら
大至急で君に会いに行くのだろう
この世界に溢れている偽物のことは
しばしの間忘れていられるのだろう

1999個の漠然とした不安に苛まれながら
1998個の告げられない想いは見て見ぬふりをする
明日になっても僕たちは相変わらずで
些細なことではしゃいだり落ち込んだり
恐怖の大王とは何者なのかを語り合ったり
正直言ってそこそこ楽しく過ごしている

そう 1999年の気配が近づいていても
1998年の僕たちはいつものペースで進んでいる


 

 

【POP LIFE】

雲と雲の間から差し込む陽の光のように
言葉にならない微妙な気持ちを運んでくれる
花は花 好きは好き 見えないものは見えない
それは僕が僕である限り否定できない事実

ニセモノのビートに合わせて街を駆け抜けると
ホンモノの気持ちがやがて体中にあふれてくる
大きく手を振る君がだんだん近づいてくる
歌って素晴らしい!って叫びたくなるんだ

雲と雲の間を落ちるようにすり抜けてゆく
翼に乗っていろんなことを考えてみた
僕は僕 太陽は太陽 関係は言葉にならない
死とは飛び込むことではなく飛び込まないこと

僕がいて、君がいて、あいつがいるような
一番ありふれた世界が一番本当の世界なんだ
そんな泣きたくなるくらいPOPな時代を
僕らはこうやって駆け抜けているから

世界が暗闇に飲み込まれるその直前まで
どうでもいいことで一喜一憂しているような
そんな泣きたくなるくらいPOPな時代が
僕らの生まれた、僕らだけの時代なんだ


 

 

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