視察報告のページ
2011年10月 総務文教常任委員会
日程 10月31日(月)〜11月3日(木)
参加 11名(議員10名、議会事務局1名)
視察場所
1、神戸市役所
防災の取り組みについて
2、宝塚市
教育振興基本計画について
3、京都市
市立小中学校耐震化PFI事業について
4、京都市
全庁「きょうかん」実践運動について
防災の取り組み
1995年1月17日早朝5時46分 (H7年)
M7.3 震度7 深さ16キロ
大都市直下型
死者6,434人(神戸市4,571名)
負傷者43,792人(〃 14,678名)
全半壊249,180棟(〃 全壊67,421棟、半壊55,145棟)
神戸市の火災
当日109件 6:00までの14分間で54件(同時多発)
通電復旧での出火(ブレーカーなど)
市民による救助・消火活動
閉じ込め 164,000人
自力脱出 129,000人
被救助者 35,000人
消防、警察による救助 7,900人(22.5%)
市民による救助 27,100人(77.5%)
消化活動
各所でバケツリレーによる消化、資材の提供
分かったこと
多数の火災、救助、救急に対応できなかった
市民による消化、救助活動が各地で行なわれたが十分な活動ができなかった。
・資機材がなかった
・リーダーがいなかった
・知識・技術がなかった
教訓から
行政 → @公的消防力の強化
A市民の自主防災力の強化
市民による市民のための組織
+
行政の支援
これによって 訓練指導、リーダー養成、資機材配布
自主防災組織とは
法的根拠
災害対策基本法 5条2項
住民の隣保協同の精神に基づく自発的な防災組織
市町村がその充実に努めなければならない
兵庫県内の自主防災組織結成率
H7 25%程が H13は90%
H20では95%
町内会単位 93%
小学校区単位 2.0%
120,299団体
1組織あたり、284世帯
09年10月 建設常任委員会
視察先
1、広島県呉市 @港湾及び海上交通の安全確保と連動する災害の事態対応
A橋梁長寿命化修繕計画策定への取り組み
B外貿貨物取り扱い状況
2、福岡県大牟田市 ○大牟田・荒尾共同浄水場施設等整備・運営事業
3、福岡県福岡市 ○国際海上コンテナ取り扱い
視察の主な内容
呉といえば「軍港」がイメージされます。その名の通り、駅前にスクリューが、戦艦「大和」を中心に展示した「大和ミュージアム」が、あります。 @ 海上自衛隊呉基地への視察は、私は参加しませんでした。理由は、災害は総務常任委員会の所管であり、建設常任委員会としてふさわしくないこと、委員会の視察は全委員一致の場所にすべきこと、さらに釧路市への海上自衛隊の誘致につながる懸念があることからです。そのため私は昼休みの「大和ミュージアム」から参加しました。 A 今、橋の破損や落橋など危険な事例が全国で発生しています。築50年などの橋が増えているのが原因です。 北海道は3年前に「公共土木施設長寿命化」の報告書を作成しました。釧路市も来年度から市内の橋の長寿命化計画を策定する準備を始めます。そのため、すでに実施している呉市の計画を視察しました。 呉市は、幅員2m以上の橋が975橋、7,927mあり、3年前から橋梁台帳を作成し、職員の目視によって215橋の計画を作成していることがわかりました。ただ、財政的余裕がなく、予算付けが困難とのことです。今後は国も含めた責任で、住民の生活と安全を守るための橋の長寿命化計画を策定しなければと思いました。 B 呉市の港湾は、釧路市と同じように韓国からのコンテナ船でした。ただ規模は小さく「ミニコンテナ船」が週一回入港している状況です。 近隣に広島、さらには福岡市など物流ルートは多岐にわたっており、地理的条件で拡大は難しいのではと思いました。 呉市は、戦前は「軍港の呉」として有名でした。戦後も海上自衛隊の基地としての大きな機能を持っており、IHI(石川播磨重工)の航空機エンジンや日進製鋼などの高炉が港にあり、大企業の城下町と自衛隊の基地というイメージの街です。戦前の「戦艦大和」の建造の場所として有名であり、「大和ミュージアム」が観光施設として賑わっていました。 ひときわ目をひいたのが呉で製造された「回天」です。戦争末期の「特攻隊」といえば航空機が主流でしたが、魚雷に人を乗せて敵艦に体当たりするものを製造しました。脱出口はなく、いったん出撃したら「死」しかないという残酷な兵器です。このため百数十名が犠牲になりました。 二度とあってはならない兵器です。 |
呉駅前にある巨大なスクリュー |
大和ミュージアムに展示されている特攻潜水艦「回天」 |
釧路市は、愛国浄水場の改築計画を策定しています。 市民の命綱であるライフラインの水道は、行政が直営で行うことが当たり前でしたが、新自由主義・構造改革路線で民営化が強化されてきています。 建設も運営も「民営化」で進める形態として、PFIとDBO方式が注目されています。 今回の視察は、水道事業の建設・運営をDBO方式で進めている大牟田市を調査しました。 大牟田といえば三井三池炭鉱で有名な産炭地でした。水道も炭鉱会社が設置し、一般家庭の15%まで給水していたとのこと。閉山後、市が買い取る予定であったが、交渉が進まず断念し新しい浄水場の建設になりました。 国の民営化路線の強化のなかで、直営よりどれだけ費用が削減できるかどうかをあらわすVFMという数値があります。大牟田市では、DBO方式で9.7%、PFI方式で6.2%でした。 その結果、DBO方式を採用し、これから建設をはじめようとしています。 釧路市は、来年度にこの建設方式を決めようとしています。 民営化路線は、現在ざまざまな問題を引き起こしています。釧路市でも、これからの50年を安全で安心できる水道事業をどう展開していくか、問われています。 大牟田市では、炭鉱遺産を活用する計画が進んでいます。浄水場への移動のバスのなかで、この炭鉱の立坑櫓(たてこうやぐら)とレンガ造りの建物を見ました。整備はこれからという状況でした。 石炭は地下に莫大な量が眠ったまま全国で閉山が強行され現在は、釧路炭鉱が残っているだけです。石炭を掘る技術はこのままでは、日本から永遠に消滅してしまいます。 目先の損得だけで稼動炭鉱を日本から消滅させてはなりません。 私たちの子どもたち、50年、100年の先をみた政治の責任が厳しく問われています。 |
古い建築物の大牟田市役所 |
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現在の宮原浄水場の沈殿池 |
巨大な博多港の国際コンテナ! 福岡市は、国際コンテナ港として大きな発展をとげています。扱うコンテナ量は75万TEU。釧路市は1万台です。しかし、ガントリークレーンを導入し、14年後に6万TEUとなる計画を持っています。 物流のコンテナ化は世界の流れではあるが、地理的条件や後背地の産業構造をよくみないと「過大投資」に落ち込む危険があります。 博多港の国際コンテナは「博多港ふ頭株式会社」という第3セクターで運営されていますが、世界的経済危機で黒字から赤字に落ち込んでしまったとのこと。 博多港は釧路港と比較にならないほど巨大ですが、物流の基本は同じと受け止めました。その意味で、地域経済とその将来をしっかりと見きわめることが重要だと思いました。 |
視察先 1、大阪府八尾市 @国民健康保険法44条の適用状況 A住民税の減税 B中小企業地域経済振興基本条例 2、千葉県野田市 @公契約条例の制定 A土地開発公社における金利の引き下げ 3、横浜市 川井浄水場のPFI事業 |
野田市役所において公契約条例の説明を受 ける市議団、 左から梅津議員、石川議員 |
視察の主な内容
1、国保44条の適用
国保は高い保険料の減免が話題になり、また保険料減免の取組みは多く行われています。
いま、住民のなかには、保険料とともに、3割負担の医療費に悲鳴があがっています。
「お金がなくて入院できない」「医療費がもう少し安くならないか」などの相談が寄せられています。
国民健康保険法44条は、
第44条 保険者は、特別の理由がある被保険者で、保険医療機関等に第42条又は前条の規定による一部負担金を
支払うことが困難であると認められるものに対し、次の各号の措置を採ることができる。
1.一部負担金を減額すること。
2.一部負担金の支払を免除すること。
3.保険医療機関等に対する支払に代えて、一部負担金を直接に徴収することとし、その徴収を猶予すること。
一部負担金とは、3割負担のことです。
低所得者など支払いが困難な方h減免ができるという立派な規定がありますが、釧路市ではほとんど行われていません。
八尾市では、
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なんと1,800人も医療費の減免を受けています。すごい件数ですね。H21年度の今年は、さらに
増えているとのことでした。さらに減免には、1/3、 2/3、 全額免除とありますが、1,800人のほとんど
が全額免除になっています。
なぜ、ここまで広がっているのか?
住民運動の取組みと、市側の努力が結びついているようです。
困った人にこそ援助の手をさしのべるべきです。
2、住民税の減免
八尾市の市民税減免適用件数は、
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今の経済状況を反映し、大きく伸びています。
担当者から、「八尾市の特徴として被爆者健康手帳を持っている人を減免対象にしている」と述べていました。
「市・府民税減免申請書」の見本をいただきましたが、減免事由が11項目記入されており、チェックするだけでOKに
なっています。
3、中小企業地域経済進行条例
八尾市は、東京大田区などと同じように町工場が集中している中小企業の街です。数人で経営している小さな町工場
が高度な技術力を持っており、そうした中小企業の振興をどうはかっていくかは、行政として大きな課題となっています。
また、多くが社会保険ではなく、国保加入者になっているとのことでした。
中小企業サポートセンターが、町工場の単品加工を高付加価値化への転換をはかるサポートをしています。
技術経営革新相談839件、人材相談784件、その他77件と計1700件を受けています。H18年度が332件、H19年度1296件
ですから、相談がいっきに増えています。
相談を担当している7人の方々は、それぞれの分野で30〜40年も勤めてきたベテランのOBを採用しています。
将来の子どもたちへの関心を高めるために、八尾ロボットフェアを開催し、地域の技術力、子どもの科学への関心を高めて
います。
4、公契約条例の制定
千葉県野田市は、全国で初めて自治体で「公契約条例」を制定しました。各地の議員から視察ラッシュで、担当者は毎日
応対に追われているとのことです。
簡単なメモをとりましたので こちらで→
5、土地開発公社の金利について
土地開発公社の「塩漬け土地」は全国の多くの自治体の不良債権として悩みの種になっています。
釧路市も簿価で100億円以上売れない土地を抱え込んでいました。そうしたなか、野田市の土地開発公社の金利が低い
という情報を得たため視察項目にいれました。
結論は、市としてとりわけ交渉して下げたということではなく、もともと低いものを活用したとのことです。なお、所有している
土地は少なく、「塩漬け土地」は無いようでした。
6、横浜市の川井浄水場のPFI事業について
水道の浄水場の建設方法で、全国で初めてPFI事業を導入しました。
横浜市は人口366万人の政令指定都市で、釧路市とは比較になりませんが、水道は5系統に分かれており、そのうち川井
浄水場は、明治34年からはじまった古い浄水場でした。全面改築をむかえ、新しい浄水施設の建設が課題にあがっていたわ
けです。 簡単なメモをとりましたので、こちらで→