模型誌に起った奇妙な事件
「Models」なんて偉そうなタイトルですけど、何のことはないプラモデルのお話です。私は小学校
時代から第二次大戦のドイツ戦車にハマってしまいました。中学3年の秋以降、高校受験を控えて中断
しました。その中断が20年近くに渡り、3年ほど前から復帰しました。現在はドイツものに限らず、戦
車なら何でも作るという風になってます。
とはいえ、ここでプラモキットや戦車のお話をしても、興味のある方はほとんどいらっしゃらないでし
ょう。そこで、ここでは模型界のことや私がプラモについて考えていることを気ままに書いてみます。
模型界に興味のない方でも読める内容を目指したいと思います。
今、戦車模型界(そんなもんないけど(^^;))でちょっと面白い事件が起きています。面白いといっても
当の御本人方には深刻な事態なのですが、第三者にはなかなか興味深い事件です。ある模型雑誌で、某社
が新発売した戦車キットの一部に間違いがあるという記事を書いたのです。もちろん批判記事ではな
くて、そのキットの製作記事なのですが、その中で「この表現は誤りなので修正した方がよかった」と、
あるライターが記述したわけですね。これを読んだキットの設計担当者が激怒して、キットの表現で正
確であるとして、その根拠となる資料を示しながら雑誌に訂正と謝罪記事の掲載を求めたというのが
あらましです。
ここで現在の戦車模型について豆知識を。80年代半ばから90年代後半にかけてAFV(戦闘装甲車
両の略。つまり戦車や装甲車など陸軍兵器のこと)ブームがありました。過去にもブームはあったのです
が、その時に「このキットはここが3ミリ短い」とか、「ここは1.5ミリ長すぎる」などなど、一部ラ
イターやモデラーがいちゃもんをつけたため売り上げに響き(それだけが原因とは思えませんが)、ブー
ムは一気に冷え込み、AFV氷河期と言われる時代になりました。最初からメーカーが正確なキットを出
せば良かっただけかも知れませんが、動かすためのモーターやギヤを組み込むために、車幅を広げたりと
か、メーカーにはメーカーの事情があったわけですが、その辺を理解せずに好き勝手に批判した人たちが
いたのですね。
今回の事件で、その悪夢を思い起こした人も多数いたということです。ただ違っていたのは、設計者か
らの抗議について雑誌側はすぐに自らの誤りを認め、設計者側の要求のすべて(前号記事の訂正、謝罪
記事の掲載、およびメーカーへの謝罪と事情説明)飲んだことで和解したということです。当時に比べ、
メーカーと雑誌側がいがみ合っている状態ではなかったことと、設計者の言っていることが正しいとすぐ
にわかったこと、また記事を書いたライターも謙虚にそれを認めたこともあり、丸く収まるようです。
この手のことは他の世界にもよくあることだと思うのですが、ここまで迅速な対応というのはかなり珍
しいと思います。雑誌によっては誤りを認めずに突っぱねるところもありますもんね。ゲームソフトなど
でも、明かなバグなのに「それはバグではない。仕様なのだ」というお寒い返答を平気で言ってのける
ソフトハウスもあります。それに比べれば大変に良い傾向だと思うのですが、逆に言えばそれだけ単純な
ミスになぜ気づかなかったのかということもあります。雑誌サイドには猛省を促したいところ。
一方、アニメ雑誌などは、今や完全にアニメ制作サイドの提灯記事を書く、一種の広告誌に成り果て
てしまいました。批判的なことでも書こうものなら、もうその雑誌には掲載許可を出さないからなんです
ね。これをやられるとアニメ誌は全くお手上げなので、遺憾ながら(でもないのかな)そうなっているよ
うです。誤りを認めない雑誌、提灯およびタイアップ記事しか載らない雑誌に比べれば、模型誌はまだ健
全なのかも知れません。