プロ野球チームを作ろう!2

                                   Playstation2  セガ  6,800円


1.はじめに

   まず最初に、「やきゅつく」未経験者の方々(私もだよん)にお断りしておきましょう。
  このゲームで、自分の贔屓チームを完全な状態で指揮したいと思ってもムリです。
  理由は下記しますが、すでに出来上がった阪神なら阪神、ダイエーならダイエーでプレイしたい、
  そうじゃなきゃイヤだ、という人にはハッキリ言って向いていません。買っても後悔しちゃいます。
   それと、これは監督SLGではありません。試合の指揮を執りたいと思ってもダメです。
  これは球団社長になるゲームなんですね。というよりも大リーグで言うところのGMになるゲームです。

2.これは球団再編成のゲームだ

   「やきゅつく」ユーザーの方には当たり前かも知れませんが、このソフトは球団を作るゲーム
  なんですね。まあタイトル通りなんですけど。文字通り頭っから作り直すんです。
  どういうことかと言うとですね…。

  ・初期費用には限りがある
    これがかなりキツイです。人件費としてプレイヤーに託されるのはわずかに9億円です。
   これがいかに少額であるかはプロ野球ファンならどなたでもおわかりでしょう。
   この予算の低さに比して、スタッフや選手の年俸などはほお現実に即しています。つまり、
   少ない予算でグルグルに縛られてしまい、思うような選手と契約できないってことです。

    予算9億円には内訳があります。内3億円がスタッフ用、残り6億円が選手用です。
   最初にプレイヤーは彼らと契約せねばなりません。
    私はドラゴンズでプレイしましたが、監督候補に山田さんが出てきます。これはいいんです。
   しかしですね、山田さんの年俸がなんと2億5000万円! 実際は1億だったと思うんだけど
   なあ(^^;)。それはさておき。

    この山田さんを監督に雇いたい場合、3億しかないスタッフ費用の大半をつぎ込まなければ
   ならないってことです。残り5000万円で、投手コーチに野手コーチ、さらにスカウトと契約する
   必要がありますが、よほど安い人じゃないと契約できなくなりますよね。
    このスタッフ契約で余った資金は選手契約に回せますから、いっそのこと思い切り安上がり
   のスタッフにしてしまって、選手にもっていく金を増やすというのもアリでしょうね。

    で、次に選手契約。ここが問題なわけです。
   先述した通り、選手契約に使える金は基本的に6億。プラス、スタッフ契約の残金です。
   ということはですね、巨人なら松井、近鉄なら中村と契約した場合、それだけで5億持っていかれ
   ちゃうわけです。しかし、当たり前のことながら野球は最低でも9名いなくちゃ出来ませんし、
   パシフィックなら指名打者も必要だから10名要りますね。でも、実際はそんな人数じゃ長い
   ペナントを戦うことは100%不可能ですね。
    つまり、初期段階では高額有名実力選手と多く契約することはムリです。

    まあ、例えば中日の場合、エースの野口は1億4000万ほどだし、川上や朝倉、福留なら
   そう高額でもないので、これらの選手を雇うことは出来ます。ただ、さっき言ったように、松井
   や中村はムリでしょうね。

    もうおわかりでしょうが、この予算足枷があるために、現状(本物)のチーム編成をすることは
   100%(いいですか、100%です)不可能なんです。故に、非常にチーム編成が難しいんです。
   思い入れのある選手を何人か獲っていたら、あっというまに金を使い切ってしまいます。
    だから、何人か主力クラスをとったら、あとはもう将来性を見越した(というか安い選手)を
   かき集めて人数を作るしかありません。
    あ、ちなみに初期選手契約は自分のチームの選手で行います。つまり、中日なら本物の
   ドラゴンズ選手の中からピックアップすることになります。もっとも全員いるわけじゃありません
   けどね。契約しきれなかった選手は他の球団に入ったり引退したりします。

    さらに、1シーズン過ごしたら、FAやドラフト、新外国人による補強、そしてトレードもあります
   から、上記のことも踏まえれば、チームの原型はすぐになくなってしまうと思います。なにしろ、
   最初契約できる安い選手というのも、ほとんどが架空選手ですから。

3.試合でできることできないこと

    「やきゅつく」のサイトやゲーム雑誌なんかをお読みの方はおわかりでしょうけど、このゲーム
   では、あまり試合に介入できません。球団社長になるゲームなんだから、当然といえば当然で、
   試合の指揮を執るのは契約した監督なわけですね。だから監督SLGではないよ、と言ったわけ
   です。
    ただまあ、やっぱり指揮したいよね、という人のために1試合に3回だけ指示ができます。
   これ、勘違いしやすいんだけど、1試合に3回の指示というわけじゃなくて(まあ、マニュアルにも
   そう書いてあるけど)、1試合に3イニングだけ細かい指示ができるってのが本当です。

    選手交代とか、そういうことはいつでも何回でも出来ます。作戦的なこと、例えばバントの指示
   とかゴロを打てとか、そういうことが3イニングしか出来ないんです。
    どういうことかっていうと、ここぞというイニングで介入指示を出すわけです。すると、そのイニング
   だけは細かい作戦指示が可能ということになるんですね。これは攻撃時でも守備時でも可能です。

    ただまあ、そんなもんどんな意味があるのかって気はしますよね(^^;)。例えば、無死で走者が
   出たら介入したりするわけですが、これをいつにするのか。初回からするのか終盤なのか。
   なんていうか、これは試合グラフィックを見せたいための演出に過ぎない気もしますね。実際、
   あまり使えそうにない。普通は監督に全権お任せで、どうしても落とせない試合、連敗中とか
   優勝争いの天王山だとか、あるいは投手タイトルがかかってる試合だとかね。そう言うときくらい
   しか使わないような……。
    だから基本的には、試合は監督に任せるってのが正しい姿勢なんでしょうね。
   このゲームは球団社長…というよりGMになるゲームですし。

    試合自体はあっというまに終わります。まあ140試合もやるわけですしね。
   結果だけ見るなら本当に一瞬。試合を見るモードにしても、無介入なら3分もかからない。

4.その他諸々

    なんか否定的なことばっか書いてるような気はするけど、そんなことないのよ(^^;)。
   なにせ凝り方が半端じゃないです。とにかく、球団運営で思いつくことはすべて出来ると言って
   過言でないでしょう。書き連ねようかと思ったのですが、挫折しました(^^;)。
   とにかくスゴイです。私レベルで思いつくこと、やりたいことはほぼすべて出来ます。本当に
   GM気分が味わえます。
    だから、監督SLGまで望もうと思うのはムリなのかも知れません。というか、煩雑になり過ぎる
   んでしょうね。

    最初にも書いた通り、本物のメンバー通りで戦いたいって人には向いてません。また、試合
   での指揮を執ることが楽しいのだ、という人にも向かないかも知れない。これは、文字通り球団
   運営を楽しむソフトですから。
    逆に、経営SLGが好きな人なら面白いでしょうね。あるいは、既存球団じゃなく、一から作って
   みたいって人ですね。

    ただ難関は……。これは私にとっても、なんですが、とにかく初期費用の少なさ。というか、
   初期に契約できる選手数の少なさですね。選手枠いっぱいに選手を獲得するなんて不可能で、
   2軍もあるんですが、使いようがありません。少なくとも最初の1年は20名程度の選手(それも
   実力の低い)でやり繰りして乗り切らなくてはなりません。特に投手なんかは、使いすぎで故障
   が続出してしまうかも知れません。最初の年さえ乗り越えられればなんとかなると思いますが。
   せめて15億くらいあれば。あるいは最初は所属チームの選手全員と契約している状態であれ
   ば、と思いますが、それをやると簡単にユーザーチームが最強になってしまうってことなんで
   しょうね。CPUに対するハンデなんでしょう。

    スタッフを安物にして選手に驕るか(といっても高が知れてますが)、あるいは選手は安物
   オンリーで固めて数を増やし、スタッフも育成に優れた人を集めるか。
   いずれにせよ、初年度は最下位当たり前くらいの気持ちでいた方がいいでしょう。ゲームオーバー
   条件は5年以内に日本一になれなかった場合です。まあ最初の2〜3年は我慢我慢てことか
   なあ。だからそれまでは試合は監督任せで飛ばしてしまった方がいいかも。

    あ、忘れてましたが、選手の所属チームは2002年開幕の状態です。つまり松井秀樹は巨人
   にいます。しかし、成績は2002年シーズン終了状態です。

5.実際にプレイしてみて

    わかりましたよ、このソフトの正体が。つまり、これはダビスタなんですね。馬の代わりが選手な
   わけです。ですから、何度も言うように、監督SLGとしてプレイすると失望します。試合が思うように
   見られませんからね。しかしこれはダビスタ系のゲームであり、育成プラス経営ゲームだとわかって
   しまえばあとは簡単です。ただ、好みはありましょうがね。

    ゲームオーバー条件として、5年以内の日本一と10年以内の世界一というのがあります。
   私の場合、5年目でようやく日本一、8年目で世界一でした。初期チームのままでは、恐らく優勝は
   難しいので、FAやトレードを駆使して補強を重ねます。大選手の移籍が頻繁にありますので、そんな
   につらくはありません。
    そして世界一をクリアするとエンディングを迎えます(しかし、これが退屈で長いだけのエンディング
   なのに、飛ばすことが出来ないので苦痛です(^^;))。すると、今度は4つのモードが示されます。
   1.そのままチームを引き継ぐ。
   2.戦力激減で指揮を執る。
   3.セントラル最下位の監督になる。
   4.パシフィック最下位の監督になる。

    1はもう簡単というか、チームが強すぎるのですぐ飽きます。私は2でプレイしたのですが、これは
   けっこう大変かと思ったものの、案外ラクでした。主力投手が10名、野手はレギュラー全員がいなく
   なるというひどい状態でプレイすることになるのですが、割といけます。最初の年ですら5位でしたし、
   2年目は優勝争いをして3位、3年目は2位に10ゲーム差をつけての優勝でした。

    なぜ戦力がないのにそんなにラクに勝てるのかというと、これは資金力の問題です。最初のプレイの
   時、各地域への資金投資や施設の増強などをきちんとしておけば、使える資金はかなり余裕ができる
   はずです。3年目に優勝したときには200億円以上の資金が余ってましたから。
    私はエンディング以降では主力選手のFAは獲りませんでしたし、レギュラークラスのトレードもしません
   でした。層の薄いポジションはトレードしましたが、控え止まりです。それでも勝てます。

    最後に。これはかの名作・ベストプレープロ野球と対極にあるソフトです。さらに日本クリエイトの野球道
   シリーズとも比較してみましょう。
    野球道。これは、プロ野球のオーナーと監督の両方を満喫できるソフトでした。当時としては異例のシステム
   で、プロ野球ファンなら大はまりでした。育成、経営、監督指揮。贅沢なゲームでした。
    ベストプレープロ野球。これは野球道から監督指揮以外の要素を潔くとっぱらい、監督指揮にこだわった
   ゲームでした。COM側の選手起用、采配も納得できるものが多く、「さすが」と思わせました。
    そして「やきゅつく2」。やきゅつくは、ベスプレとは逆に、監督指揮を一気に省略し、育成・経営に特化した
   ゲームなのです。故に、試合画面が見られないという批判は、的はずれな感がします。

    よく出来たソフトですが、かなり人を選ぶでしょう。私の評価は高いですが、もうちょっと苦しみたいかな。
   苦労するのは最初の2年くらいでしたから。
    それと。日本クリエイトさん、頑張ってください。この「やきゅつく」、どう見たってパソコン向けのゲームです。
   これを先に作られちゃってどうするんですか!