RING of RED
Playstation2 KONAMI 7,800円
もうけっこう古いソフトになるのかな? 多分、一昨年の秋から冬にかけてのソフトです。発売
当時のPS2フィーバーもひと段落し、そろそろかなと思ってハードを購入したときに一緒に買
ったゲームでした。つまり、私にとってPS2専用ソフトとしては初めてのものです(ちなみに
PSの時はFF7が最初だったなあ)。
形態としては戦闘SLGです。戦争物ですね。陸戦兵器の主力が、戦車ではなくAFWと呼ばれ
るロボットになっている世界が舞台になります。これだけですと、ありがちなんですが、設定がもう
ガチガチにハードでして。戦車オタクも充分に面白いようになってるんですね。なにしろ、世界観
からして燃えるんですわ(^^;)。
簡単に説明しますね。まず主役たるAFW。Armored Fighting Walkerの略ですね。これ、
現実の装甲戦闘車輌のことをAFV(Vはビークルのことね)と呼ぶのをもじったのでしょう。
こいつは、戦車等の機動性の悪さの解消を目的として開発されたことになってます。実際、戦車って
のは、出現当時(つまり第一次大戦)は移動砲台(もしくは要塞)的な意味合いが強かったので
そういう発想があってもいいでしょう。しかしながら、その表面投影面積の巨大さから考えて、
この手のロボット兵器が実用化されるとは思えませんけどね(^^;)。
んでまあ、こいつも戦車と同じように実戦投入されたわけですが、初陣となったクルスク戦では
初期不良頻発(パンターみたいだなあ(^^;))。そもそも、だだっ広いロシアの平原ではこんな
ものより戦車の方がずっと役立つことは目に見えており、思うように力を発揮できなかった。
大戦後期、舞台がヨーロッパ、ドイツ本国周辺になっても条件は同じですね。
ところが、同盟国同士の技術交換で日本へも基礎理論やパーツなどはUボートで渡っていた。
日本は欧州と違い、その山がちな国土は従来のAFVよりAFWの方が適していたわけです。
1946年になっても太平洋戦争は終結せず、アメリカはオリンピック作戦(九州上陸作戦)、
コロネット作戦(関東上陸作戦)を成功させ、ソ連も一方的に不可侵条約を破棄、樺太に侵攻、
北海道を陥落させ、東北へ上陸。そんな中、松代に遷都した日本は、AFWをゲリラ的に使用し
成功を収めていた、とまあ、こんな感じです。で、1946年12月、降伏します。
そして1947年1月に、米英中ソにより日本は分割当時されることになります。その後、
占領政策の行き違いから、ソ連と連合国側が対立。1948年6月にソ連が支配する北日本が
日本民主共和国として独立を宣言。1950年、突如、北日本が南日本の国境線を越えて軍事
行動を開始。日本戦争勃発。ここに国連軍(アメリカ)と中国、ソ連が参戦、約10ヶ月の間、
戦われることになります。
ざっと読んでいただければおわかりかと思いますが、ズバリ朝鮮戦争の舞台が日本になってる
ってことです。これだけでもけっこう燃えるでしょ(^^;)。
物語は、この13年後、1964年から始まります。南が開発した試作AFWを北が奪取、
それを主人公たちが追いかけるという形で進んでいきます(って、どっかで聞いた話だなあ)。
システムの方ですが、ヘクス戦+リアルタイムという感じのSLGです。各ユニットを動かす
時はヘクスなんですが、このヘクス同士が戦いに入るとリアルタイムになります。ヘクス戦で、
敵ユニットに対して攻撃を仕掛けるか、敵から仕掛けられるとリアルタイム戦に突入することに
なります。ですので、リアルタイム戦では1対1ということです。
このリアルタイム戦がこのゲームのキモです。敵のAFWとの砲撃戦(もしくは格闘戦)を
行ないます。敵に照準をつけ主砲一閃というわけですが、照準をつけるには時間がかかります。
さらに、気象条件などでもタイムラグが生じます。時間をかければかけるほど、命中率が上がる
のは道理ですが、あまり時間を掛けすぎると、敵が砲撃してきます。相手から命中弾を食らうと、
せっかく合わせた照準が狂ってしまう。ですから、自機の命中率と敵の砲撃までの兼ね合い、駆け
引きが楽しいのですね。
さらに。この戦闘システムでは1対1ではありますが、指揮するのはAFWのみではありません。
直轄の小隊を最大3個まで率いることが出来るのです。兵科も様々で、オーソドックスな歩兵の他、
猟兵(対AFW兵)、戦闘工兵、偵察兵、衛生兵があります。各々、特長があり、自分の作戦や
好みによって自在に組織可能です。この小隊システムがこのゲームの深みを与えています。
この兵たちが重要で、勝敗を左右すると言っても過言ではないでしょう。夜戦になった場合には
照明弾を上げてもらったり出来ますし、工兵がいれば地雷や鉄条網を施して相手の足を止められます。
また、相手に仕掛けられた障害物の撤去も出来ます。猟兵を多く配属させれば敵AFWを仕留める
大きな助っ人になるでしょう。それぞれの部隊が特殊能力を持っていることも多いので、これを活用
することにより、さらに有利に戦いを進められます。但し、敵も小隊を使いますので、逆にこれを
いかに無力化するかがキーになるでしょう。
BGMもよく雰囲気が出ており、悪くありません。ゲームは面クリ型のSLGですので、クリアを
続けることによりストーリーを進めて行く方式です。私のような、戦車好き、戦史好きにはたまらない
ソフトです。ただ、普通のゲーマーにはどうかなあ。そもそも、AFWのデザイン自体すごいんです
よ。だってもう、ホントに戦車に脚が生えてるってイメージなんだもん(^^;)。戦車好きにとっては、
モデルになった戦車が一目でわかるので、それはそれで面白いのですけど、普通の人が見たら、やっぱ
ダサイと思うよなあ。
それと、このソフト最大の欠点が「時間がかかる」こと。序盤はまだいい。しかし、徐々に仲間や
敵の数が増えるに連れて、比例してプレイ時間が長くなる。終盤に行くと、1マップで3時間以上かか
るのがゴロゴロありますからねぇ。マップでのセーブもできるんだけど、これがおかしなシステムで、
1回でもロードすると、もう2度とロードができない(普通のセーブはそんなことないですけど)。
だから、やばそうなところで1回セーブして、失敗したらやり直すということが、同一セーブデータで
は1回しか出来ません。まあ、私はリプレイしない主義なのであんまり関係ないんですけど。
去年に、ベストとして廉価版が発売になりました。とてもよく出来た戦術級SLGです。その手の
ゲームの好きな人にはお奨めです。