夜が来る!

                                        PC-Windows  アリスソフト  8,500円


   実はこれ、18禁です(^^;)。うちのページに訪れてくれて、なおかつこんなコンテンツに
  まで来てくれる人には、恐らく女性は天文学的に少ないだろう、ということで。
   ただ。ただね、これ純粋に18禁と言っていいのだろうか、とも思うところもあるわけで、
  その辺も書いてみます。

   私、実は18禁ゲームに関して、かなり偏見持ってました。実際、いくつかプレイしたものの、
  要するにHなグラフィックを見せるために、各種イベントやダンジョン、戦闘をクリアする、
  というものばかりで、これは私は興味ないな、と思ってたわけです。ところが、知人に勧められた
  「ランス2」。これがもう、めちゃめちゃに面白くて、見事にハマってしまいました。もう10年
  くらい前になるかも知れないなあ。それでも、ハズレ(私にとってですよ)の方が圧倒的に多そうな
  ので、滅多なことでは購入はしませんでした。このランスの続編や、開発したソフトハウスの他作品
  などは買ってましたけど。それでも、それまで抱いていた偏見を薄めていってくれたのです。

   このソフトを開発したアリスソフトの他作品、「ランス」シリーズ、「闘神都市」シリーズなど
  は、私の評価としては、これはもうエロなしでも充分なゲーム性を持っている、というものです。
  これら以外でプレイして面白かったのは、あとは「妖獣戦記」シリーズくらいかなあ。この「妖獣
  戦記」も、特に最終作はシナリオがかなりいい出来で、ラストは泣けました。シリーズものの決着の
  つけ方として、潔かったと思います。

   さて、今回の「夜が来る!」。これもランスなどと同様、エロなしで充分。ムリにエロを入れて
  18禁にしてしまうと、女性がプレイできない(ことはないけど)ではないか、これは非常にもった
  いない、と思っています。実際の話、18禁となっていますが、エロを期待して買った人は、まず
  絶対に失望する
んじゃないかと思います。それくらい少ないです。
   だからこそ、わざわざ18禁にして欲しくなかったと思う次第です。なんていうか、18禁にする
  ために、なくてもいいのにわざわざエロを入れている感すらあります。ブランドが18禁だから、と
  いうことなんだろうなあ。大変に惜しい。

   では、内容を少々。育成型のRPGです。ただし、ダンジョンを巡って冒険を…、というタイプ
  ではありません。舞台は現在の日本で、架空の市になります。ここで、高校2年生の主人公に、その
  先輩の3年生の女の子が「一緒に戦って欲しい」というところから物語が始まるわけです。彼女た
  ちは「火者」という特殊能力を持った人たちです。彼らは天文部を隠れ蓑に、敵対する「光狩」という
  モンスターたちと戦っています。主人公はこのメンバーに誘われることになります。
   ゲーム・システムは以下に。

   ボス戦で負けるとアウトです(特例はある)。で、このボス戦というのがイベントで発生ますの
  で、それに負けないようにキャラを育てるわけですね。1週間単位でゲームが進みます。
   まず月曜日に、金曜日までの訓練内容を決めます。体力をつけるとか、素早さを上げるとかね。で、
  これを決定すると一気に金曜日まで進みます。「一気に」と書きましたが、大抵は大小のイベントが
  入ります。このイベント頻度が本当に多いので、飽きることはないでしょう。土曜日は「特訓」に
  なります。特訓では、他のキャラを誘って一緒に訓練をします。この時の相手キャラの特性(というか
  能力かな)によって、主人公の伸びる項目が変わるということです。ついでながら、一緒に特訓する
  と少し親密度が上がる
ようです。
   そして日曜日。この日は、火者が結界を開いて光狩を狩る日になります。要はダンジョンに潜って
  戦闘するわけです。この辺は他のRPGと同じで、モンスターを倒すと経験値が上がり、月片(アイ
  テム生成に使う)がもらえます。宝箱もあり、ここにも月片やアイテムが入っています。もちろん、
  このダンジョン探索でも他キャラを誘えます(主人公を合わせて最大3名)。ここで誘ったキャラとの
  親密度も上がります。

   基本的には、これの繰り返しです。しかし、前述している通り、しょっちゅうイベントが起こり
  ます
ので、退屈だという印象はありません。ゲームが進行すると、たびたびボス戦のイベントが発生
  しますので、これに勝っていけばOKです。じゃ次に、一応キャラを説明します。

火倉いずみ…天文部部長で、古より光狩と戦ってきた火者の末裔。比較的おっとりした感じ。
      シャギーで眼鏡。

七荻 鏡花…主人公と同級生。いずみとは以前からの知り合い。金髪、ツインテールで、外見も
      性格も、エヴァンゲリオンのアスカとほぼ同じ(^^;)。

三輪坂真言美…後輩。演技の才があり、火者の仲間入り。瞳が大きい目パッチリタイプで、長い
       黒髪。オデコさん。根が正直で、すぐに顔に出る。

祁答院マコト…かなり変わった姓だが、実在する名字(事実、ATOKでは一発変換である)。
       いずみと同じ一族。長身で言葉遣いが中世的(というか侍的)。手入れはほとんど
       していないだろう長い髪。

新開 健人…いずみと同級生。がっちりした体格でプロレスラー志望。己が肉体を武器とする。
      いずみに気があるようだ。

星川  翼…長身、やせ型の金髪。二枚目であることを自覚しており、かなりのナルちゃん。
      フェンシングを得意とし、長剣を武器とする。

百瀬 壮一…小柄だが気が強く、かなりの突っ張りさんだった。いずみに助けられ、以後、自ら
      志願して仲間入り。メンバーでは唯一の能力者ではない人間。無論、いずみに
      惚れている。

   これらが主人公サイドのキャラです。他にもいますが、戦闘に使えるのはこれだけです。で、
  上の4人の女の子を攻略(^^;)するわけですが、このゲームの場合、それは脇道に近いです。
  多分、攻略できなくてもクリアは出来るでしょうし、不満もないと思います。まあ、主人公と
  女の子のHシーンは攻略しないと見られませんけどね。各キャラ毎に物語がありますので、完全
  攻略するのもいいでしょう。敵方や脇役もそれこそ山のようにいます。

   ふつうのRPGとは少し変わった形態だったからかも知れませんが、私はとても気に入ってい
  ます。RPGで最後までクリアしたのはFF9以来ですし、リプレイしたのはFF7以来ではな
  いかと思います。ダンジョンがめんどくさい、普通のRPGは飽きた、という人には本当にお奨
  めです。じゃあ短いんじゃないか、と思う人もいましょうが、ボリュームもたっぷりです。
  ゲーム時間で4月〜11月まで。しかも、上記した通り、大小含めてしょっちゅうイベントが発生
  しますので、作業化してしまうこともありません。

   本当にベタ褒めしてしまいますが、欠点があるとしたら、最後のボス戦で、ボスにたどり着く
  までのダンジョンが少々長いかな、という点と、わざわざエロゲーにしないでもよかった、という
  ことくらいです。ちょっと複雑というか、難解(でもないんだけど)な謎解きがある時などは、
  失敗する毎にちゃんとヒントが少しづつ出てくれて、最終的には突破できるようになっている
親切
  設計
です。

   私が最近RPGやAVGをやらなくなったのは、ストーリーの陳腐さもありますが、どうにも
  ジュヴナイル化しすぎてしまって、私くらいの年齢の人間が遊ぶには恥ずかしい内容やセリフが多
  すぎて、ちょっと引いてしまうのですね。この「夜が来る!」でも、その要素はありますし、そう
  いうセリフもあるのですが、他のソフトよりはずっとマシでした。シナリオもよく練ってありますし、
  これは小説にしても面白いかも知れません。
   設定にしてもストーリー展開にしてもキャラクターにしても、特に奇をてらっているわけでも
  ないのにこれだけ面白いのは、タイミングのいいイベントや熟成したシナリオ(本当にそう思う)
  のおかげでしょう。
   しつこいけど、エロを抜いてゲーム機に移植すれば大ヒットするんじゃないかなあ。