問1の答え
残念ながらスワローズの主張は通らない。プレートに接触しているピッチャーが、
走者のいない塁へ送球したり、送球する真似をした場合はボークなのである。
例外もある。問1のケースだと、一塁走者の石井琢が二塁へディレード・スチール
をかけた時は、堂々とセカンドへ送球しても良いのである。ただし、きちんと二塁
方向へ足を踏み出して投げないといけない。つまり、通常のセカンド牽制球を投げ
るつもりで投げればいいのだが、いざとなると慌ててしまうケースも多い。だから
こそ、ディレード・スチールが有効なのだ。
実は、実例もある。昭和33年8月21日、後楽園球場での巨人−阪神戦でのこと。
巨人が、無死二、三塁のチャンスを迎えた。バッターはルーキーの長嶋だ。マウンド
は阪神先発のエース・小山正明投手。この時、小山は何を思ったのか、走者の
いない一塁へ牽制球を投げてしまった。もちろんボークとなり、三塁走者が生還した。
これが決勝点になってしまったのだから、小山としては泣くに泣けなかっただろう。