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動シリーズ第2弾は、やっぱり「これ」の広島事件。とは言え、広島球場は
騒動のメッカですからね、他にもいろいろあるんです。昭和28年−審判員缶詰事
件、29年-中日・木下選手負傷事件、31年−巨人・木戸投手負傷事件、39年−
稲田審判誤審事件、41年−竹下審判負傷事件。他諸々。
今回取り上げるのは、昭和50年の事件なんですが、この50年だけでも、4月に
中日選手バス缶詰事件、6月にヤクルト選手バス投石事件が起こっています。
で、本題は9月10日の広島−中日25回戦。この年は、ご存知の通り、カープが
初優勝した年なんですが、9月はまだ広島と中日、阪神の3強が激烈な優勝争い
を展開していたわけです。それだけに広島ファンが余計に熱くなっていたってこと
はあるのでしょうね。
天王山の3連戦、最初の試合は4−0で外木場がドラゴンズを完封していた。
そして問題の2試合目を迎える。9回表を終わって、中日5−3広島。中日のマウ
ンドを守るのはエース・星野仙一。
粘る広島は、代打の久保、1番・大下、2番・三村が三連打して1点差に追い上
げる。二死後、4番・山本浩二がカープファンの期待に応え、見事にセンター前へ
弾き返した。二塁走者・三村は長躯三塁を蹴ってホームへ突っ込む。中日のセン
ターは、ダイヤモンドグラブも獲得した強肩好守のローン。山本の打球を捕球して
素晴らしい返球を捕手・新宅へ送った。ローンの強肩が三村の脚に勝って、見事
にホームタッチアウト。
ここで終われば、「いやぁ、いい試合だったねぇ」で済むのだが、新宅のタッチが
三村の頭に命中し、三村が吹っ飛んだからたまらない。頭に血が上った三村は
新宅に体当たりして食ってかかり、小競り合いを演じる。両者のもみ合いから
1分も経たないうちにファンがグラウンドになだれ込み、新宅に暴行する。止めに
入った中日ナインももちろん殴られた。
グラウンドで暴れたファンはおよそ300人。中日の選手が球場を出るを待ち構
えていたファンは、正面玄関だけでも2,000人。興奮したファンの一人が、入口
のガラス窓を壊して警官に逮捕されると、怒った群集が取り戻す有り様。
結局、広島県警から出動した警官および機動隊は400名。警察に守られた
中日ナインが三川町の宿舎に帰れたのは23時10分だった。
負傷者は、星野仙一、ローン・ウッズ、大島康徳、竹田和史。素手だけではなく、
ビール瓶で殴られたというから悪質だ。
翌日、広島球団は正式に中日に謝罪。県警、リーグ当局と事態について話し合
った結果、広島球団社長は「このような状況下では、球団として警備に自信が持て
ない」として、涙ながらに翌日の中日最終戦の中止を発表した。
この事件で本当に残念に思うのは、一部のカープ選手もファンに混じって中日
ナインに暴行を加えていたという事実だ。中には、衣笠祥雄のように止めに入っ
た選手もいたのだが、悲しいことに傍若無人な振る舞いをした選手が多かった。