というのは、案外と心地よいものである。なんといっても、あの解放感は得難い。私事で恐縮かつ、
    そんなものは想像もしたくないだろうが、私は寝るときはハダカである(^^;)。
     とはいえ、人に見られるのはカンベンして欲しい。まあ、世の中には、ハダカを見られるどころか、
    性行為を他人に見られて興奮するという、羞恥心とは無縁の人もいるらしいが、私には到達不能の
    心境であろう(^^;)。

      今の若い人は、恐らくご存じないであろうが、その昔、ストリーキングなるものが流行したこと
     があった。何のことかと言うと、全裸で公道等の大衆の面前を走り回ることだ。要するに、素っ裸で
     道路をランニングするということだ。無論、見られるためにである。そういう人たちのことは、ストーカー
     ならぬストリーカーと呼ばれた。
      史実(^^;)を紐解いてみると、日本ではおおむね昭和48(1973)年頃に現れだしたらしい。私も
     それとなく憶えているが、昭和50年代初頭あたりまでは、けっこう頻繁にあちこちで活躍していた
     ようだ。

      そのうち球場にも出るのではないかと思われてはいたが、とうとう出た。
     昭和49(1974)年4月20日。後楽園球場で行われていた巨人−中日戦がその舞台である。
     8回裏、巨人の攻撃。1死満塁の好機だ。満員の観衆を飲み込んだスタンドは大歓声を上げている。
     興奮の坩堝だったスタジアムに一瞬、静寂が訪れた。

      ジャイアンツファンで埋まったライトスタンドの外野席から、ひとりの男がグラウンドに飛び込んだ
     のである。暴徒かと思ったが、どうも様子がおかしい。そう、彼はオールヌードだったのだ!
      呆気にとられる観衆、両チーム選手、審判員、球場関係者。その中を、眼鏡をかけた坊主頭の
     ストリーカーはそのまま快走、外野から内野の守備位置付近まで走り抜けた。
     事態に気づき、慌てる関係者と審判員、守備についたまま苦笑する中日ナインと、ダグアウトで
     爆笑する巨人ナインを後目に、彼はその場で万歳三唱したあと、バックネットに向かって土下座
     を繰り返した。
      ヤンヤの喝采と大爆笑に包まれる中、あわてふためいた球場職員がようやくストリーカーを取り押
     さえ、警察に引き渡した。

      まあ、こういう人たちも試合進行の妨げにはなっているのだが、逆に言えばその程度だった。
     そこはかとないユーモア(^^;)も、ないわけではない。が、昨今の一部のファン(というより、フーリガン
     もしくは暴徒と呼んでも差し支えあるまい)による行為は、試合進行の妨げどころか、選手に対して
     危害すら与えるものである。ファンの質の低下は嘆かわしい限りだ。


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