サウスポー

   メールでの質問が来てますので、今回はこれにお答えしましょ!


理奈 「カントク、カントク。メールで質問来てるよ」
一平 「おぅ、そうか。やっぱうれしいもんだなあ」
理奈 「じゃ早速。えーーと、平島誠さんからの質問でっす。
    ”どうして左投げの投手のことをレフトハンドとか言わないで、サウスポー(南の手)
    って、言うんですか? 教えてください。”だってー」
一平 「ふんふん、なるほど。これも基本的だね」
理奈 「そういや不思議よね。なんで左投手のことをサウスポーっていうんだろ?」
一平 「これはねぇ、大リーグ創設当初まで話がさかのぼるんだ」
理奈 「あ、そんな昔から呼ばれてたんだ」
一平 「まあね。これは球場の作りに関係してるんだ」
理奈 「へ? なにそれ?」
一平 「当初のプロ野球(アメリカのな)は、みんなデーゲームだったんだ」
理奈 「そりゃそうよね。ナイターの歴史はそんなに古くないんでしょ?」
一平 「そうだ。だから試合をやるのはおおむね日中だね。午前中ということも基本的には
    ない。昼過ぎから夕方にかけて、ということだね」
理奈 「それと球場の作りとどんな関係があんのよ」
一平 「最後まで聞けよ(^^;)。真っ昼間なら問題ないけどな、試合が長引いたり、試合開始
    時刻が伸びたりすると夕方にずれこむこともあるわけだ」
理奈 「延長戦なんかになればそうなることもあるだろね」
一平 「そうだね。で、夕方になると西日がきついからまぶしくてプレーにならないこと
    もある
だろう? バッターが打席に立って、正面近くに太陽が沈もうとしてたら、これ
    はちょっと打てないよね」
理奈 「そうだね」
一平 「まあ、そういうのは日本も同じだけどね。広島市民球場なんかは、夕方になるとまと
    もに西日がレフトスタンド後方に来るもんだから、バッターはまぶしくてかなわない。
    だから、レフトスタンド後方には大きな遮光板があるんだよ」
理奈 「そんで、サウスポーの語源はどうなったの?」
一平 「脇へそれちゃったな。で、西日が強いとプレーにならないことがあるわけだ。でな、
    これを防ぐにはどうすればいい?」
理奈 「ナイターでやる」
一平 「だからまだナイター設備がない頃の話だよ(^^;)」
理奈 「じゃあ、バッターが西向きにならなきゃいいんじゃない?」
一平 「その通り。だから当時の球場は、打者が東向きになるようにグラウンドが作られて
    いたんだな」
理奈 「なるほど、そっかー。あ、でもさ、反対にピッチャーが今度はまぶしくなるんじゃない
    のかなあ」
一平 「あはは、そうだね。でもね、基本的に球場というのはバックネット裏の観客席はかな
    り高く作られているものなんだよ。だからピッチャーの方はかなり軽減されているん
    だ」
理奈 「ふぅん」
一平 「となると、どうなる? 打者側が西、投手側が東になるな。すると、投手の右方向が
    北になり、左側が南になるだろう?」
理奈 「あ、すると左手が南になるからサウスポー(southpaw)になるのかー」
一平 「そういうことだね。」
理奈 「だけどさ、そういう理屈なら右投手はノースポーっていうんじゃないの?」
一平 「そうだな。なぜ左投手にだけそういう特別なニックネームがついたのか、と言えば、
    それはやっぱり左投手の数が少ない、つまりは希少価値という意味合いもあったん
    だろうね」
理奈 「野球だけじゃなくって、他の分野でも左利きの人のことをサウスポーって言うことあ
    るよね」
一平 「そうだな。ボクシングなんかでも左利きのことをサウスポーって言うね。もっとも、ゴ
    ルフなんかだと、素直にレフティ(lefty)って表現をするけどね。まあ、それだけサウ
    スポーという言葉が一般化しているってことだろう。英和辞典はもちろん、辞書なん
    かにもサウスポーって言葉が出てるからね」