投球モーション2


理奈 「カントク、こないだのモーションのことで後追いで来てるよ」
一平 「お、やっぱりそうか。うんうん、ここの読者の方はつくづくレベルが高いよなあ」
理奈 「なにそれ」
一平 「いや実はね、前回、ちょっと説明し忘れたことがあったんだよ。まあ、ちょっと長く
    なっちゃってたし、いいかなと」
理奈 「そうなの? で、質問なんだけど丹羽秀雄さんからでね、「投球に長い時間を
    かけてはいけないことはわかりました。では、全然止まらないでいきなり投げ
    るのはいいんでしょうか」だって。これは?」
一平 「うん、まったく予想通りの展開だ、うれしいなあ。つまりだな、こないだの説明では、
    走者のいない時に、投球するのに20秒以上かけてはいけないって話だったろ?
    その時にさ、逆に早く投げすぎるのもダメなんだって言い忘れたんだよ」
理奈 「早く投げるのはいいんじゃないの? そもそも20秒ルールってのは試合時間短縮
    を狙ったものだったんでしょ?」
一平 「これはクイックリターン・ピッチっていうんだよ。野球規則2.64だ。つまり、バッ
    ターの不意打ちを狙って投げることだね」
理奈 「不意打ちって?」
一平 「簡単に言えば、バッターが構える前に、いきなり投球しちまうことだよ。いくら間隔
    を短くたって限度があるし、打者にも都合がある」
理奈 「ふぅん。ピッチャーがバッターに合わせるの?」
一平 「そりゃそうだよ。だって野球ってのはピッチャーがバッターに投げなきゃ始まらない
    んだから。投手が主導権を握ってるのさ。それだけに、投手は気を遣う必要がある
    んだ」
理奈 「両方の気合いが合うまで待つって言うの? あはは、まるでお相撲だね」
一平 「お、うまいこと言うな。そうだ、相撲の立ち合いみたいなもんさ」
理奈 「でもさ、あんまりそういうことするピッチャーっていないんじゃないの?」
一平 「そうだな、最近はめっきり見なくなったよ。」今から20年くらい前だけど、中日(その
    後、阪急)に松本幸行っていうサウスポーがいたんだ。特に球威はないし、変化球も
    そこそこだったんだけど、20勝したこともある主力投手だった」
理奈 「その松本さんがクイックなんとかをしてたの?」
一平 「うん。このピッチャーの特徴はね、とにかく捕手からボールを受けたらすぐに投球す
    るというところにあったんだ。インターバルもなにもない」
理奈 「ルール違反だったの?」
一平 「ギリギリってところだね。打者は松本のペースにはまると、あれよあれよといううち
    に仕留められた。なぜあんなヒョロ球が打てないのかって思ってたろうさ」
理奈 「サイン交換もしなかったのかな」
一平 「松本によると、捕手から送球を受けるときにサインを見ていて、ボールを受けたら
    すぐにモーションを起こしたんだそうだ」
理奈 「今はそういう人いないんでしょ」
一平 「いないねぇ。そういう意味では個性的な投手だったよ」
理奈 「丹羽さん、そういうことだそうです。おわかりになりましたか?
    みなさん、このように後追いというか関連質問の場合は、採用される確率が上がり、
    また時期も早くなりますので狙い目ですよ」