フィールド距離

   基本編かな。


理奈 「あ、これ掲示板であった質問だね」
一平 「うむ、こういうパターンでもOKだな」
理奈 「むっくさんの質問でぇ、マウンドからホームベースまでの距離はどれくらいですか
    ってやつね」
一平 「うん、ちょうどいいから、いろんな距離についてやってみよう。どうせやろうと思ったと
    ころだしね」
理奈 「掲示板でくろすさんが答えてくれてたけど、18.44メートルでいいんだよね?」
一平 「ああ、そうだ」
理奈 「中途半端だけど、例によってフィートに直すとキレイな数字になるんだよね?」
一平 「いや、ならないんだよ、それが。60フィート6インチだな」
理奈 「・・・・・・なによ、そのハンパな数字は?」
一平 「最初はもっと短かったんだよ。45フィートから始まって、50フィートになり、1893年
    に今の60フィートに改変されたんだ」
理奈 「だんだんと長くなってんのね。どして?」
一平 「当時、ニューヨーク・ジャイアンツにアモス・ラジーって速球投手がいたんだよ。
    サンダーボルトというニックネームを持ってたくらい速いタマを投げてたらしい」
理奈 「へー」
一平 「もともと外野手だったんだけど、その強肩を見込まれて投手をやらせてみたら、これ
    が奪三振の山。めちゃくちゃに速かったんだろうね」
理奈 「それとどういう関係があんの?」
一平 「ぶっちゃけた話、あまりにも速くて、これじゃ打てるわけないよって打者側が苦情を
    出したらしいんだな」
理奈 「そんな理由でルールが変わっちゃうの??」
一平 「そんな中、ラジーが相手打者の頭にぶっつけちまったんだな。その選手は4日間も
    意識不明の状態だったらしい」
理奈 「・・・・・・」
一平 「まあ、そんなこともあったんで、ルール委員会は10フィート距離を伸ばして60フィー
    トにすることを決めたんだ。それが1893年」
理奈 「だって60フィート6インチなんでしょ?」
一平 「まあ聞け。ルール委員会で決定したのはもちろん60フィートなんだが、委員会がこ
    の数字の修正を出したところ、それを担当した製図屋が60フィート0インチの0イン
    チを
6インチと見間違えたらしいんだ」
理奈 「あんた真面目に言ってんの?(怒)」
一平 「い、いや待て(^^;)、ホントなんだよ。山崎武さんもこう言ってるしな。手書きで乱暴
    に書いてあったんじゃないか、その数字が」
理奈 「だって、出来上がったルールブックに間違った数字が入ってれば、そのなんとか委
    員会だって、これは間違いだ、直しなさいって言うでしょうが」
一平 「それが、当のルール委員会も、「まあ、それでいいんじゃないの?」で片づけちゃ
    ったらしいんだ(^^;)」
理奈 「そんないい加減な」
一平 「私もそう思うがね(^^;)。まあ6フィートならともかく6インチ(約15センチ)くらいなら
    いいかって感じなんじゃないかな」
理奈 「ちょっと信じらんないね」
一平 「ついでだから他のもやろう。マウンドの高さも決まってるんだ。1988年に改正が
    あって、高さ10インチ(25.4センチ)になった。傾斜はホームに向かって6フィート
    の地点まで、1フィート進むにつれ1インチずつ下げることになってる」
理奈 「へー、高さもだけど傾斜の角度まで決まってんだー」
一平 「ま、表向きはね。実際は各球場まちまちだよ」
理奈 「それくらい、いいよね」
一平 「あんまりそうは思わない。高いマウンドはオーバースローの速球投手に有利で、低
    いマウンドはサイドやアンダーの投手に有利なんだ。プロなんかだと、自分とこのピッ
    チャーの顔ぶれを考えて、マウンドの高低を勝手に変えてるのが実状だね」
理奈 「またインチキ?」
一平 「インチキとは言わないけどね、あんまり正々堂々としてるとは思えないね」
理奈 「じゃ塁間はどれくらい?」
一平 「塁間は90フィート(27.432メートル)の正方形だ」
理奈 「ふ〜ん。じゃ一周すると90×4で360フィートか」
一平 「うん。109.724メートルだね。ただ、走る時はだいぶふくらんで走るから、おおよそ
    120メートルくらいになるんじゃないかな。この120メートルというのは、ホームから
    センターフェンスまでの距離と同じだね。まあこれは偶然というかこじつけだけど」
理奈 「あ、じゃあさ、外野フェンスまでの距離は決まってんの?」
一平 「ホームから一塁か三塁を通ってライトまたはレフトのフェンスまでの距離は、最低
    250フィート(76.199メートル)
とされてる。だけど、両翼は320フィート(97.
    534メートル)、センターは400フィート(121.918メートル)
が理想である、
    とされてるね」
理奈 「でも日本の球場ってそんなに広くないんとちゃう?」
一平 「おまえ、いつから関西人になったんだ(^^;)。理奈の言う通り、規定通りの球場は
    少なかった。大抵は両翼300フィート(91.437メートル)、センターは390フィート
    (118.868メートル)ってのが多かったね。でもね、ひどいところだと、これすら守ら
    れていない球場もあったんだ。有名なのは後楽園球場だね。両翼フェンスには90メ
    ートル、センターには120メートルと書き入れてあったんだけど、コミッショナー委員
    会で計測してみたら、なんと両翼は87メートルしかなく、センターも117メートルしか
    ないことがバレちまったんだ。さすがにみっともないと思ったんだろうね、その後は90
    と120という数字は消しちゃったよ。これは神宮やナゴヤも同じ、広島もそうだろう
    ね。狭い球場でホームランを量産する、というのが日本プロ野球だったから(--;)」
理奈 「なんだかなあ。圧縮バットや飛ぶボールの話もそうだったけど、日本てどうしてこん
    なにセコいんだろうね」
一平 「まあ、そう悲観することもないさ。新しい球場はちゃんと規定に合うように作ってる。
    横浜スタジアムから始まって、西武球場、東京ドーム、ナゴヤドーム、福岡ドーム、大
    阪ドームと、どれもちゃんと距離のある立派な球場だよ。欠点は人工芝ってことだけ
    だ」
理奈 「ふぅん。反省したのかな?」
一平 「というか、メジャーや韓国、台湾のプロ野球なんかとオープン戦やエキビジョンをや
    ることが増えたろ? 今年はなんとメジャーの開幕戦が日本で行われたしな。そうい
    う試合をヘンな球場でやったら恥ずかしいって気持ちになったんじゃないかな。こりゃ
    ちゃんと作らんと、大事な試合をウチの球場でやってくれそうにないってことで」
理奈 「そっかー。あ、人工芝だけが欠点て言ったけど、どうして人工芝がいけないの?」
一平 「あ、それはまた別の機会に話そう。ちょっと話がズレちゃうし、だいぶ長くなったから
    な」
理奈 「あんた、逃げたんじゃないでしょうね」